毎年秋になると話題になるノーベル平和賞。受賞のニュースを見て「そもそも、何を基準に選ばれているの?」と気になったことはありませんか。
じつはノーベル平和賞には、創設者アルフレッド・ノーベルが残した遺言にもとづく明確な「基準」があります。とはいえ、その文言はとても短く、解釈の幅も広いのが特徴です。
この記事では、ノーベル平和賞の受賞基準と、誰がどうやって選んでいるのかという選考プロセスを、できるだけわかりやすく整理して解説します。
ノーベル平和賞の受賞基準とは?まず結論
ノーベル平和賞の受賞基準は、創設者アルフレッド・ノーベルの遺言にひとことで書かれています。要約すると「世界の平和のために、もっとも大きな、あるいはもっとも優れた働きをした人」です。
もう少しくわしく見ると、遺言では平和への貢献を3つの分野に分けています。次の章で、その3つの柱をひとつずつ見ていきましょう。
受賞基準のおおもとは「平和への具体的な貢献」です。学問の業績や名声そのものではなく、平和のために実際に何をしたかが問われます。
受賞基準の3つの柱(ノーベルの遺言)
ノーベルの遺言では、平和賞を「次の3つのために、もっとも貢献した人物に贈る」と定めています。いずれも国どうしの争いを減らすことに関わる内容です。
(1) 国家間の友愛(国どうしの和解・協力)
1つめは、国と国とのあいだに友好関係を築く働きです。対立していた国どうしを和解させたり、争いを話し合いで解決へ導いたりした取り組みが当てはまります。
歴史的には、紛争の仲介や和平交渉に尽力した政治家・外交官などがこの観点で評価されてきました。
(2) 常備軍の廃止・削減
2つめは、軍隊や軍備を減らす方向への働きです。ノーベルが生きた19世紀末は、各国が軍備を増やしていた時代でした。そうした流れに歯止めをかける活動が想定されています。
現代では、核兵器の廃絶を訴える運動や、軍縮に向けた国際的な取り組みなどが、この柱に近い評価を受けています。
(3) 平和会議の開催と推進
3つめは、平和のための話し合いの場をつくり、広げていく働きです。国際的な会議や枠組みを通じて、争いを未然に防ぐしくみづくりが該当します。
国際機関や、平和を目的とした団体の活動が評価されるのも、この観点が背景にあります。
実際はもっと幅広く解釈されている
ここまでが遺言に書かれた基準ですが、実際の受賞はこの3つの枠を超えて、もっと幅広く解釈されています。
たとえば、次のような分野の活動も平和への貢献とみなされ、受賞につながってきました。
- 人権を守る運動(差別との闘い、表現の自由など)
- 核兵器の廃絶を求める運動
- 貧困や飢餓をなくすための支援活動
- 女性や子どもの権利を守る取り組み
- 環境問題への対応(気候変動への警鐘など)
遺言の文言が短いぶん、時代に合わせて「平和とは何か」を柔軟にとらえてきた、と考えるとわかりやすいかもしれません。
誰がどうやって決める?選考プロセス
受賞者を決めるのは、ノルウェーに置かれた専門の委員会です。ほかのノーベル賞(物理学賞や化学賞など)とは、選ぶ国も組織も異なります。
選ぶのは「ノルウェー・ノーベル委員会」(5名)
ノーベル平和賞の受賞者を最終的に決めるのは、「ノルウェー・ノーベル委員会」です。ノルウェーの国会によって選ばれた5名の委員で構成されます。
この5名が、推薦された候補のなかから議論を重ね、その年の受賞者を決定します。
なぜ平和賞だけノルウェーなの?
ノーベル賞のうち、平和賞以外はスウェーデンの機関が選考します。にもかかわらず、平和賞だけはノルウェーが担当しています。
これは、創設者ノーベルの遺言にそう書かれているためです。遺言では、平和賞の選考をノルウェーの国会に委ねると指定されていました。なぜノーベルがそう定めたのかについては、確かな理由は遺言に明記されておらず、はっきりとはわかっていません。

「ノーベル賞=スウェーデン」のイメージが強いですが、平和賞だけはノルウェーが選ぶ、というのは覚えておくと話のネタになりますね。
推薦できるのは限られた人だけ
ノーベル平和賞の候補は、誰でも自由に推薦できるわけではありません。推薦できるのは、一定の資格を持つ人に限られています。
おもに、次のような立場の人が推薦資格を持つとされています。
- 各国の国会議員や閣僚
- 過去のノーベル平和賞の受賞者
- 国際法や政治学などの大学教授
- 一定の国際機関の代表者
つまり、推薦の段階ですでに専門的なフィルターがかかっているわけです。なお、自分で自分を推薦する「自薦」は認められていません。
推薦から発表までの年間スケジュール
選考は1年がかりで進みます。おおまかな流れは次のとおりです。
資格を持つ人から、その年の候補者の推薦を受け付けます。
委員会が推薦リストを検討し、候補を少数に絞っていきます。
専門家の助言も得ながら候補を調査し、委員会で議論を重ねます。
その年の受賞者を発表します。授賞式は12月に行われます。
授賞式は、ノーベルの命日にあたる12月10日に、ノルウェーの首都オスロで開かれるのが恒例です。
受賞のポイントになりやすい要素
明文化された基準は遺言のとおりですが、実際の受賞を見ていくと、選ばれやすい傾向もうかがえます。あくまで傾向として整理してみましょう。
「具体的な成果」が重視される傾向
理念や主張だけでなく、実際に世界へ影響を与えた具体的な行動や成果が評価されやすい傾向があります。和平の実現や、社会を動かした運動などがその例です。
個人だけでなく団体も受賞できる
ノーベル平和賞は、個人だけでなく団体(組織)も受賞できるのが特徴です。これは、ほかのノーベル賞には見られない大きな違いです。
国際機関や、平和・人権に取り組むNGO・NPOなどが受賞してきました。1人の力ではなく、組織としての継続的な活動が評価される点も、平和賞ならではといえます。
タイミングや国際情勢も影響すると言われる理由
選考は委員会の判断によるものですが、その時々の国際情勢や時代の空気が結果に影響していると指摘されることもあります。
受賞には、世界へ平和のメッセージを発信するという側面もあります。そのため、「いま、誰に贈れば平和への後押しになるか」というタイミングも、結果を読み解くうえで注目されるポイントです。
ノーベル平和賞の選考過程は、原則として50年間は非公開とされています。誰が誰を推薦したか、どんな議論があったかは、長い年月を経てから明らかになるしくみです。
ノーベル平和賞のよくある疑問
- 賞金はいくらもらえるの?
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年によって金額は変わりますが、ほかのノーベル賞と同額で、近年は数億円規模です。賞金額はその年ごとに決められます。複数で同時受賞した場合は、賞金を分け合うのが基本です。
- 自分で応募(自薦)はできる?
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できません。推薦は資格を持つ人に限られ、自分で自分を推薦することは認められていません。
- 受賞を辞退することはできる?
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受賞自体を辞退した例は、歴史上ごくわずかながら存在します。ただし非常に異例で、ほとんどの受賞者は受け取っています。
- 亡くなった人でも受賞できる?
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原則として、存命の人物・現存する団体が対象です。発表後・受賞決定後に亡くなった場合などは例外的に扱われますが、基本は故人への授与は行いません。
まとめ:受賞基準は「平和への具体的な貢献」
ノーベル平和賞の受賞基準を、最後にもう一度整理します。
受賞基準のおおもとは、ノーベルの遺言にある「世界の平和にもっとも貢献した人」。具体的には(1)国家間の友愛、(2)軍備の削減、(3)平和会議の推進という3本柱で、実際には人権や核廃絶など幅広い活動が評価されています。
そして、受賞者を決めるのはノルウェー・ノーベル委員会の5名。資格を持つ人からの推薦をもとに、1年をかけて選考が進みます。
受賞のニュースを見るときに「この人は、どんな平和への貢献が評価されたんだろう?」という視点で見ると、賞の意味がぐっと身近に感じられるはずです。











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