「秋分の日は昼と夜の長さが同じ」と習った覚えがあっても、本当にぴったり同じなのか気になったことはありませんか。実は春分・秋分の日でも、東京では昼が夜より十数分長くなっています。
この記事では、昼と夜の長さが本当に等しくなる日と、そのずれが生まれる理由を最初に整理します。そのうえで、1年を通した昼の長さの変化、季節で変わるしくみ、住む場所による違いを順に見ていきます。日照時間との違いや、日の出・日の入り時刻の調べ方もあわせて紹介します。
昼と夜の長さが同じになる日はいつ?【結論】
結論からお伝えします。昼と夜の長さがほぼ等しくなるのは、秋分の日の数日後と、春分の日の数日前です。春分・秋分の当日は、昼のほうが少し長くなっています。
昼と夜が等しくなるのは、秋分の3〜4日後(2026年は9月26〜27日ごろ)と、春分の3〜4日前(2027年は3月17日ごろ)です。春分・秋分の当日は、東京で昼が夜より約16分長くなります。
秋分・春分の日は、昼が夜より十数分長い
国立天文台の解説によると、2020年の春分の日(3月20日)の東京は、日の出が5時45分、日の入りが17時53分でした。昼の長さは12時間8分で、夜は11時間52分です。
差はおよそ16分。秋分の日も同じような結果になり、「昼と夜が同じ長さ」という説明は、あくまで目安だとわかります。
この差は東京だけのものではありません。日本のどの地域でも、春分・秋分の日は昼のほうがわずかに長くなります。差の大きさは緯度によって少しずつ違い、北へ行くほど大きくなる傾向があります。
本当に等しくなるのは秋分の数日後・春分の数日前
昼と夜の長さが入れ替わる日は、秋は秋分より後ろに、春は春分より前にずれます。国立天文台暦計算室の資料では、そのずれはおよそ4日とされています。
秋分を過ぎると、昼は1日に2分ほどずつ短くなります。16分の差を埋めるのに数日かかる、というわけです。春はその逆で、春分より前の段階で、すでに昼の長さが夜に追いついています。
秋分の日に「今日から夜のほうが長い」と思っていた方は、実際にはあと数日、昼のほうが長い日が続くと覚えておくとよいでしょう。春分・秋分の日付そのものがどう決まるのかは、次の記事で詳しく解説しています。

春分・秋分でも昼のほうが長くなる2つの理由
昼が長くなる原因は、「日の出・日の入りの決め方」と「大気による光の曲がり」の2つです。どちらも、太陽が実際にはまだ地平線の下にあるうちから、「昼」として数える方向に働きます。
日の出・日の入りは「太陽の上の縁」で決まる
日本の暦では、日の出は太陽の上の縁が地平線から出た瞬間、日の入りは上の縁が地平線に沈んだ瞬間と決められています。太陽の中心が地平線を通る時刻ではありません。
太陽は空で約0.5度の大きさがあるため、上の縁と中心の間には半径分の約0.25度の差があります。中心がまだ地平線の下にあるうちに日の出となり、中心が沈んでも上の縁が残っている間は昼が続くのです。
大気の屈折で太陽が浮き上がって見える
もう一つの理由が、大気による光の屈折です。地平線近くの太陽の光は、厚い空気の層を斜めに通るあいだに曲がり、実際の位置より高く見えます。
地平線付近では、この浮き上がりが約0.6度にもなります。太陽1個分ほど持ち上がって見えるため、本当はまだ地平線の下にある太陽が、すでに顔を出しているように見えるのです。
半径分と屈折分を合わせると、日の出は数分早く、日の入りは数分遅くなります。東京の春分・秋分ごろなら、朝と夕方でそれぞれ約4分ずつ昼が延び、その分だけ夜が短くなります。昼と夜の差が約16分になるのはこのためです。

薄明を含めた「明るい時間」はさらに長い
日の入りのあとも、空はすぐには暗くなりません。太陽が地平線の下にあっても、上空の大気が光を散らすため、しばらくは明るさが残ります。この時間帯を薄明(はくめい)と呼びます。
なかでも、明かりをつけなくても屋外で活動できる程度の明るさが残る時間は、市民薄明と呼ばれます。東京では季節によって25〜30分ほど続き、朝の日の出前にも同じくらいの時間があります。
1年で昼と夜の長さはどう変わる?夏至・冬至と比べてみる
昼の長さは、夏至に最も長く、冬至に最も短くなり、その間を毎日少しずつ行き来しています。東京では、1年の中で最長と最短の差がおよそ4時間50分にもなります。
東京の昼の長さは最長14時間35分・最短9時間45分
季節の節目ごとの昼と夜の長さを、東京の目安で並べると次のようになります。時刻は年によって少しずつ変わるため、おおよその値として見てください。
| 節目 | 時期 | 昼の長さ | 夜の長さ |
|---|---|---|---|
| 春分 | 3月20日ごろ | 約12時間8分 | 約11時間52分 |
| 夏至 | 6月21日ごろ | 約14時間35分 | 約9時間25分 |
| 秋分 | 9月23日ごろ | 約12時間8分 | 約11時間52分 |
| 冬至 | 12月22日ごろ | 約9時間45分 | 約14時間15分 |
夏至の日の昼は、冬至の日より5時間近く長い計算です。夏の夕方に「まだ明るい」と感じ、冬の夕方に「もう暗い」と感じるのは、この差が大きいからです。昼が最も長い夏至に、地域ごとにどんなものを食べる習慣があるかは、次の記事でまとめています。

変化が速いのは春分・秋分のころ(秋の日はつるべ落とし)
昼の長さの変わり方は一定ではありません。夏至・冬至の前後はほとんど変わらず、1日あたり数秒から数十秒ほどの変化にとどまります。
反対に、春分・秋分のころは変化が最も速くなります。東京では1日に約2分ずつ昼の長さが変わり、1週間で15分ほどの差になります。
秋に「日が暮れるのが急に早くなった」と感じるのはこのためです。東京の日の入りは、9月初めの18時10分ごろから、10月初めには17時30分ごろまで早まります。1か月で40分ほど夕方が短くなる計算です。
「秋の日はつるべ落とし」ということわざは、井戸のつるべが一気に落ちるように、秋の夕日があっという間に沈むようすをたとえた言葉です。昼の長さの変化が速い時期の実感を、うまく言い表しています。
日の出が最も早い日は夏至ではない
昼が最も長いのは夏至ですが、日の出が最も早い日と、日の入りが最も遅い日は、夏至とは一致しません。東京では、日の出が最も早いのは夏至の1週間ほど前、日の入りが最も遅いのは夏至の1週間ほど後です。
冬も同じで、日の入りが最も早いのは12月上旬、日の出が最も遅いのは1月上旬ごろです。冬至の日は、そのどちらでもありません。
ずれの原因は、太陽が真南に来る「南中」の時刻が、季節によって前後に動くことにあります。地球の軌道がきれいな円ではないことと、地軸が傾いていることが重なって起こる現象で、この時刻のずれを「均時差」と呼びます。冬至が季節の区切りのうえでどう扱われるかは、次の記事で整理しています。

昼と夜の長さが季節で変わるしくみ|地軸の傾き
昼と夜の長さが季節で変わるのは、地球が自転軸を傾けたまま太陽のまわりを回っているからです。傾きがなければ、世界中どこでも1年中ほぼ12時間ずつになります。
地軸は約23.4度傾いたまま公転している
地球の自転軸(地軸)は、公転する面に垂直な方向から約23.4度傾いています。しかも1年を通して、傾きの向きはほとんど変わりません。
そのため、6月ごろは北半球が太陽のほうへ傾き、12月ごろは太陽と反対側へ傾く位置関係になります。北半球が太陽に向いている時期は、1日のうち日の当たる側にいる時間が長くなるため、昼が長くなるのです。
春分・秋分は、どちらの半球も太陽の側に傾いていない位置に地球が来るときです。このとき太陽はほぼ真東から昇って真西に沈み、昼と夜がほぼ半分ずつになります。

夏は太陽の通り道が長く、冬は短い
地上から見ると、季節による違いは太陽の通り道の長さとして表れます。夏の太陽は北寄りの東から昇り、高く上がって北寄りの西へ沈みます。冬は南寄りの東から昇り、低い位置を通って南寄りの西へ沈みます。
太陽が真南に来たときの高さ(南中高度)は、東京で夏至が約78度、春分・秋分が約54度、冬至が約31度です。空を通る道のりが長い夏ほど、地平線の上にいる時間が長くなります。
冬の日差しが部屋の奥まで届き、夏は軒先で遮られやすいのも、この南中高度の違いによるものです。
南半球では関係が逆になる
北半球が太陽のほうへ傾いている6月ごろ、南半球は太陽と反対側に傾いています。そのため南半球では、6月ごろが1年で最も昼が短く、12月ごろが最も昼の長い時期になります。
オーストラリアのクリスマスが真夏になるのも、この仕組みによるものです。春分・秋分のころだけは、北半球でも南半球でも昼と夜がほぼ半分ずつになります。春分・秋分の日付を計算式で求める方法は、次の記事で紹介しています。

住む場所でこんなに違う|地域差と世界の昼の長さ
昼の長さの季節差は、北へ行くほど大きくなります。南北に長い日本では、北海道と沖縄で、夏至と冬至の差が3時間ほども違います。
札幌・東京・那覇の夏至と冬至を比べる
3つの都市で、夏至と冬至の昼の長さを比べると次のとおりです。
| 都市 | 夏至の昼の長さ | 冬至の昼の長さ | 夏至と冬至の差 |
|---|---|---|---|
| 札幌 | 約15時間23分 | 約9時間2分 | 約6時間21分 |
| 東京 | 約14時間35分 | 約9時間45分 | 約4時間50分 |
| 那覇 | 約13時間47分 | 約10時間32分 | 約3時間15分 |
札幌の夏至は東京より約50分昼が長く、冬至は約40分短くなります。那覇はその逆で、夏と冬の差が小さく、1年を通して昼の長さが安定しています。北国の夏の夕方がいつまでも明るく、冬は午後4時ごろに日が沈むのは、この緯度の差によるものです。
赤道付近はほぼ一年中12時間
赤道の近くでは、地軸の傾きの影響がほとんど表れません。1年を通して昼と夜がほぼ12時間ずつで、季節による差はごくわずかです。
ただしここでも、日の出・日の入りの決め方と大気の屈折は同じように働くため、昼は12時間よりほんの少し長くなります。シンガポールなど赤道に近い地域では、日の出と日の入りの時刻が1年を通してあまり変わりません。
北極圏・南極圏の白夜と極夜
反対に、北緯約66.6度より北の北極圏では、夏至のころに太陽が1日中沈まない「白夜」になります。冬至のころには、1日中太陽が昇らない「極夜」が訪れます。
南極圏では季節が逆になり、12月ごろが白夜、6月ごろが極夜です。北欧のノルウェーやフィンランドの北部には、夏に真夜中の太陽を見られる地域があります。

「昼の長さ」と「日照時間」の違いと調べ方
天気予報や統計でよく見る「日照時間」は、昼の長さとは別の数字です。昼の長さを知りたいときは、日の出・日の入りの時刻から求めるのが確実です。
可照時間と日照時間は別の数字
日の出から日の入りまでの時間、つまり晴れていれば日が当たるはずの時間を「可照時間」といいます。この記事で扱ってきた昼の長さは、この可照時間にあたります。
一方、気象庁の「日照時間」は、直射日光が一定以上の強さ(1平方メートルあたり0.12キロワット以上)で地面を照らした時間の合計です。曇りや雨の日は短くなり、同じ日の可照時間より長くなることはありません。
| 項目 | 可照時間(昼の長さ) | 日照時間 |
|---|---|---|
| 意味 | 日の出から日の入りまでの時間 | 直射日光が一定以上の強さで照った時間 |
| 天気の影響 | 受けない | 受ける(曇り・雨で短くなる) |
| 決まり方 | 日付と場所の緯度・経度で決まる | 日照計で観測する |
| 主な使われ方 | 暦・昼夜の比較 | 気象統計・農業・太陽光発電 |
日照時間を可照時間で割った割合は「日照率」と呼ばれます。夏至のころは昼が長くても、多くの地域で梅雨の時期と重なるため、日照時間は伸びにくいということも起こります。
日の出・日の入り時刻は国立天文台で調べられる
住んでいる地域の昼の長さを正確に知りたいときは、国立天文台暦計算室のウェブサイトが便利です。「各地のこよみ」では、都道府県庁所在地などの日の出・日の入り時刻を日付ごとに確認できます。
「こよみの計算」のページを使えば、緯度・経度を指定して、任意の場所の時刻を計算することもできます。日の入りの時刻から日の出の時刻を引けば、その日の昼の長さが求められます。
親子の自由研究にもなる観察のしかた
昼の長さの変化は、身近な観察でも確かめられます。夏から秋、秋から冬への移り変わりを数字でとらえられるので、自由研究にも向いています。
- 同じ場所から、毎週決まった曜日に日の入りの時刻を記録する
- 国立天文台の時刻と自分の記録を表にして比べる
- 晴れた日の正午ごろ、同じ棒の影の長さを月に1回測る
- 太陽は直接見ず、影や周りの明るさで確かめる
影の長さを記録すると、南中高度が季節で変わるようすが数字で見えてきます。太陽を直接見ると目を傷めるおそれがあるため、観察は影や空の明るさで行いましょう。
昼と夜の長さに関するよくある質問
- 昼と夜の長さが同じになる日は、毎年同じ日付ですか
-
毎年少しずつずれます。基準となる春分・秋分の日そのものが、年によって前後するためです。目安としては、秋は9月26日前後、春は3月17日前後と考えておくとよいでしょう。
- 1年で昼が一番長い日と短い日はいつですか
-
昼が最も長いのは夏至(6月21日ごろ)、最も短いのは冬至(12月22日ごろ)です。2026年の冬至は12月22日です。
- 「秋の夜長」とはいつごろのことですか
-
秋分を過ぎて、夜が昼より長くなっていく時期を指す言葉です。夜はそのまま冬至に向かって長くなり、秋の間にどんどん夜の時間が増えていきます。俳句では「夜長」が秋の季語として使われます。
- 南半球では昼と夜の長さはどうなりますか
-
北半球と逆になります。12月ごろに昼が最も長く、6月ごろに最も短くなります。春分・秋分のころは、南半球でも昼と夜がほぼ同じ長さです。
- 東と西の地域では、日の出の時刻も違いますか
-
違います。東にある地域ほど、日の出・日の入りが早くなります。経度が15度違うと、太陽が同じ位置に来る時刻は約1時間ずれます。昼の長さを主に決めるのは緯度で、時刻のずれを生むのが経度です。
まとめ
昼と夜の長さについて、この記事のポイントを振り返ります。
- 春分・秋分の日は、東京で昼が夜より約16分長い
- 昼と夜が等しくなるのは、秋分の数日後・春分の数日前
- 昼が長くなる理由は「太陽の上の縁で決める定義」と「大気の屈折」
- 東京の昼は夏至で約14時間35分、冬至で約9時間45分
- 変化が最も速いのは春分・秋分のころで、東京では1日に約2分
- 季節差を生むのは約23.4度の地軸の傾きで、北へ行くほど差が大きい
- 昼の長さ(可照時間)と日照時間は別の数字
秋分を過ぎたこれからの時期は、1日ごとに夕方が短くなっていきます。国立天文台の時刻表で住んでいる地域の日の入りを確かめ、季節の移り変わりを数字で感じてみてください。

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