緊急地震速報取り消しの2つの要因とは?M9.9になった理由を解説

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2026年10月16日の昼、北海道から東海地方にかけての広い範囲で緊急地震速報(警報)が鳴り、およそ8分後に取り消されました。スマホの警報音に驚いたものの揺れはほとんどなく、「結局なにが起きたの?」「ニュースで聞いた2つの要因って何?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、気象庁が説明した取り消しの2つの要因を、緊急地震速報のしくみや過去の誤報とあわせてやさしく整理します。内容は2026年10月17日時点の報道と気象庁の説明にもとづいています。

要因は「震源から遠すぎる観測点のデータまで使って規模をM9.9と過大に見積もったこと」と「規模の計算と震度の予測で別々の震源を使ったこと」の2つです。実際の地震はカムチャツカ半島付近のM6.9で、国内の最大震度は1でした。

目次

緊急地震速報取り消しの2つの要因

今回の取り消しは、コンピューターが自動で行う計算の途中で、2つのずれが重なって起きました。1つは地震の規模(マグニチュード)の見積もり、もう1つは「どこで起きた地震として揺れを予測するか」という震源の扱いです。

気象庁は16日夕方の会見とその後の説明でこの2点を挙げ、謝罪しました。外部からのサイバー攻撃の可能性は否定しています。一方で、なぜ2つのずれが同時に起きたのかという詳しい原因は、17日時点で調査中です。ここでは2つの要因を順に見たうえで、それが重なってどうして「千島列島でM9.9・最大震度7」という予測になったのかを整理します。

要因1:震源から遠すぎる観測点のデータで規模を計算した

緊急地震速報は、各地の観測点が記録した揺れの大きさと、震源までの距離を組み合わせてマグニチュードを見積もります。この計算式は、日本の周辺で起きる地震を前提に作られています。そのため気象庁のシステムには、震源から700km以上離れた観測点のデータは規模の計算に使わないという決まりが組み込まれていました。

ところが今回は、この「遠い観測点を外す機能」が正常に動いていませんでした。報道によると、気象庁の担当課長は会見で、本来は使わないはずの遠い観測点のデータが計算に入ってしまったと説明しています。その結果、日本から遠く離れた地震に国内向けの計算式がそのまま当てはめられ、速報値でM6.9だった規模がM9.9と見積もられました。

マグニチュードは1大きくなるとエネルギーが約32倍になる目盛りです。3違うと約3万倍になるので、M6.9とM9.9の差は「少し大きめに出た」という程度ではありません。

要因2:規模の計算と震度の予測で別々の震源を使った

各地の震度を予測するには、「どこで(震源)」「どれくらいの規模で(マグニチュード)」起きたかの2つが必要です。気象庁の説明では、本来この2つの計算に使う震源は同じ地点でなければなりません。ところが今回は、マグニチュードの計算に使った震源と、震度の予測に使った震源が別々になっていました。

報道によると、震度の予測に使われた震源は、最初に震源とした場所よりかなり日本に近い位置に置かれていました。速報で「千島列島付近」と発表されたのはこのためです。たとえるなら、大きな花火の音量を遠くの会場で測ったのに、打ち上げ場所はすぐ近所だと思い込んで「窓が割れるほどの音が来る」と予想してしまったような状態です。

2つが重なって「千島列島でM9.9・最大震度7」になった流れ

2つのずれは、どちらも予測される揺れを大きくする方向に働きました。報道と気象庁の説明をもとに、流れを順番に並べると次のようになります。

  1. 12時38分ごろ、カムチャツカ半島付近の深いところで地震が起きる
  2. 遠い観測点のデータまで使ったため、規模がM9.9と見積もられる
  3. 震度の予測には、日本に近い千島列島付近の震源が使われる
  4. 「巨大な規模」と「近い震源」の組み合わせで、最大震度7と北海道から東海までの強い揺れが予測される
  5. 予測が警報の基準を超えたため、12時40分ごろに警報が発表される

実際には、予測した強い揺れはどこでも観測されませんでした。気象庁はこのずれを確認して、発表からおよそ8分後に警報を取り消しています。

2026年10月16日に何が起きたのか(10月17日時点)

実際に起きたのは、カムチャツカ半島付近の深いところで発生した地震で、日本国内では強い揺れはありませんでした。一方で、警報は北海道から東海地方までの広い範囲に出され、スマホやテレビで一斉に警報音が流れました。

ここでは、発表から取り消しまでの時系列、実際の地震の規模と揺れ、警報が出た地域と社会への影響の3つに分けて整理します。数値の多くは発生直後の速報値で、気象庁の調査によって今後見直される可能性があります。また、報道によって時刻の表記に1〜2分の差があるため、ここでは「ごろ」で示しています。

発表から取り消しまでの時系列

16日の動きを、報道で伝えられた時刻の順に並べると次のとおりです。警報が出ていたのは、およそ8分間でした。

時刻(10月16日)出来事
12時38分ごろカムチャツカ半島付近で地震が発生
12時40分ごろ気象庁が緊急地震速報(警報)を発表。千島列島付近でM9.9、最大震度7と推定
12時48分ごろ警報を取り消し
夕方気象庁が会見。規模の計算と震度の予測で震源が別々だったと説明し、謝罪
その後(17日まで)700km以上離れた観測点を除く機能が動いていなかったことを説明

取り消しの直後には「地震は発生していない」という形で伝えた報道もありました。その後、実際にはカムチャツカ半島付近で小さくない地震が起きていたことがわかり、警報の内容がその地震を大きく見誤ったものだったと整理されています。

実際の地震はカムチャツカ半島付近のM6.9

気象庁などの発表によると、実際の地震はカムチャツカ半島付近で12時38分ごろに発生し、規模はM6.9(速報値)、震源の深さは約160kmと推定されています。日本国内で観測された揺れは、北海道函館市の震度1が最大で、震度2以上を観測した地点はありませんでした。

カムチャツカ半島は、千島列島の北東の先に続くロシアの半島です。北海道から見ると千島列島より遠い位置にあり、規模がM6.9で震源も深かったことから、日本で感じた揺れはごく小さなものでした。海外で起きた地震が日本でどのように発表され、どう読めばよいのかは、次の記事でも取り上げています。

警報が出た地域と広がった影響

警報は、北海道から東海地方にかけての広い範囲に出されました。緊急地震速報(警報)は、強い揺れが予想される地域に加えて震度4程度が予想される地域にも出るしくみなので、予測の規模が大きいほど対象は広がります。今回は最大震度7という予測だったため、東海地方まで警報の対象になりました。

平日の昼休みの時間帯だったこともあり、職場や学校、駅などで多くの人のスマホが同時に鳴りました。東京新聞の報道によると、東海道新幹線が一時運転を見合わせるなど、交通にも影響が出ています。

この記事の内容は2026年10月17日時点のものです。原因の詳しい調査結果や再発防止策は、今後気象庁から発表される見込みです。最新の情報は気象庁の発表で確認してください。

緊急地震速報は震源と規模をどう決めているのか

緊急地震速報は、強い揺れが来る数秒から数十秒前に知らせることを最優先にした情報です。地震が起きた直後の、ごく少ない観測データだけで震源と規模を推定するため、もともとある程度の誤差を含む前提で作られています。今回の2つの要因も、この「少ないデータで素早く決める」しくみの中で起きました。

ここでは、震源と規模を推定する基本のしくみ、テレビやスマホに流れる「警報」と専用アプリなどに届く「予報」の違い、そして今回のような遠い場所の地震が苦手な理由を順に見ていきます。しくみを知っておくと、次に速報が鳴ったときにも落ち着いて受け止めやすくなります。

昼休みのオフィスで、机の上のスマホの画面を見て驚く会社員のイメージ

P波をとらえて震源と規模を推定するしくみ

地震が起きると、速く伝わるが揺れの小さいP波と、遅れて届く揺れの大きいS波が出ます。P波は秒速約7km、S波は秒速約4kmで伝わるため、震源から離れるほど2つの到着時間の差が開きます。緊急地震速報は、震源に近い観測点で先に届いたP波をとらえ、その情報から震源の位置とマグニチュードをすぐに計算します。

震源と規模がわかれば、各地にどのくらいの強さの揺れが、いつごろ届くかを予測できます。この予測が基準を超えた地域に、S波が来る前に知らせるのが緊急地震速報のしくみです。ただし、震源のすぐ近くではP波とS波の到着がほぼ同時になるため、速報が揺れに間に合わないこともあります。

「予報」と「警報」の違い

緊急地震速報には「予報」と「警報」の2種類があります。ふだんテレビやスマホの緊急速報メールで流れるのは警報のほうで、予報は主に専用の受信端末や一部のアプリで受け取る情報です。気象庁の説明をもとに、違いをまとめると次のとおりです。

区分発表の目安主な伝わり方
予報M3.5以上、または最大震度3以上などが予想されたとき専用の受信端末、一部のアプリなど
警報2点以上の観測点で地震波をとらえ、最大震度5弱以上(または長周期地震動階級3以上)が予想されたとき。震度4以上が予想される地域が対象テレビ、ラジオ、スマホの緊急速報メールなど
特別警報警報のうち、震度6弱以上(または長周期地震動階級4)が予想されるもの警報と同じ

気象庁は、緊急地震速報の予測震度には「±1程度」の誤差があると説明しています。震度4の地域まで警報の対象にしているのは、予測が少し外れて実際には震度5弱になる場合に備えるためです。

遠くの地震が苦手な理由

緊急地震速報に使う観測点は、日本の陸上と周辺の海底に置かれています。日本の近くで起きた地震なら、震源を囲むように並んだ観測点のデータで位置を決められます。一方、カムチャツカ半島のように国外の離れた場所で起きた地震では、震源のまわりに観測点がありません。北海道新聞も、カムチャツカ半島付近は観測点が少ないことを今回の背景として伝えています。

このような場合、日本の端にある一部の観測点のデータだけで、遠くの震源の方向と距離を推定することになります。方向や距離がずれると、規模の見積もりもいっしょにずれやすくなるのが難しいところです。実際、2020年7月に震源から遠い鳥島近海の地震で過大な警報が出たときも、震源の位置を誤って決めたことが原因とされています。

過去の誤報・過大予測と比べてわかること

緊急地震速報が実際の揺れより大きく外れたことは、今回が初めてではありません。ただし過去の主な例は、小さいながら実際に地震があって警報が出たままになったものか、警報より手前の「予報」の段階で取り消されたものでした。

ここでは、よく取り上げられる過去の事例を表で比べたうえで、今回が「初めての取り消し」とされる理由を整理します。過去の事例ごとに原因はノイズ、機器の故障、震源の誤りとさまざまで、そのたびにシステムの改善が重ねられてきました。

2013年・2016年・2020年の主な事例

気象庁の発表や当時の報道をもとに、主な事例を並べると次のようになります。予測と実際の揺れの差がどれも大きいことがわかります。

年月日区分速報の内容実際主な原因
2013年8月8日警報近畿地方を中心に、M7.8・最大震度7と予測和歌山県北部でM2.3の小さな地震三重県南東沖の海底地震計のノイズを揺れと誤って計算
2016年8月1日予報東京湾付近でM9.1、最大震度7と予測地震は発生していない千葉県富津市の観測点の電源部の故障。約15秒後に取り消し
2020年7月30日警報関東地方などに警報。規模をM7.3と推定鳥島近海でM5.8。震度1以上の観測なし震源の位置を誤って決め、規模を過大に推定
2026年10月16日警報千島列島付近でM9.9、最大震度7と予測カムチャツカ半島付近でM6.9。最大震度1遠い観測点を除く機能が動かず、規模と震度の計算で別々の震源を使用

2016年の例は、警報ではなく予報だったため、テレビやスマホの緊急速報メールでは流れませんでした。ただ、予報を受け取る民間のアプリには通知が届き、その後アプリの側でも取り消しの知らせを自動で表示する機能が加えられています。

今回が「初めての警報の取り消し」とされる理由

2013年と2020年の例では、規模は小さくても実際に地震が起きていました。そのため気象庁は警報そのものを取り消すのではなく、予測が過大だったことをあとから説明する形をとっています。2016年は取り消しまで行いましたが、対象は予報でした。

今回は、テレビやスマホで広く流れる警報を出したあと、内容が誤っていたとして正式に取り消しました。東京新聞などはこれを緊急地震速報で初めての「取り消し」と伝えています。2020年の過大な警報のあとには気象庁が緊急の改善策を打ち出しており、今回も調査の結果をふまえた対策が示される見込みです。

緊急地震速報が鳴ったとき・取り消されたときの受け止め方

今回のように取り消しになることがあっても、緊急地震速報が鳴ったらまず身を守る行動をとるのが基本です。速報から揺れが届くまでは長くても数十秒しかなく、その場で本物か誤りかを見分ける時間はありません。取り消されたかどうかは、揺れがおさまってから確かめれば十分です。

ここでは、気象庁が呼びかけている「鳴った直後の行動」、取り消しの知らせの確かめ方、そして誤りがあったあとでも次の速報で動いたほうがよい理由を順に紹介します。家族や職場で一度話し合っておくと、いざというときに迷いにくくなります。

鳴った直後はまず身を守る

気象庁は、緊急地震速報を見聞きしたときに「周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する」よう呼びかけています。いる場所ごとの主な行動は次のとおりです。

場所ごとの身の守り方(気象庁の呼びかけより)
  • 家の中:頭を保護し、丈夫な机の下など安全な場所に身を寄せる。あわてて外へ飛び出さない
  • 火を使っているとき:その場で火を消せるなら消し、離れているときは無理に消しに行かない
  • 人が大勢いる施設:係員の指示に従い、あわてて出口に走り出さない
  • 屋外:ブロック塀や自動販売機など倒れてくるものから離れ、落ちてくる看板やガラスに注意する
  • 車の運転中:あわてて急ブレーキをかけず、ハザードランプをつけてゆるやかに速度を落とす
  • エレベーターの中:最寄りの階で止めて、すぐに降りる

車の運転中に急ブレーキを避けるのは、後ろの車に追突されるおそれがあるためです。周りの車も速報を聞いて減速しているとは限らないので、ゆっくり速度を落とすことが大切です。

取り消しの知らせはどう確かめるか

今回の取り消しは、テレビやラジオのニュース、気象庁のホームページ、ニュースサイトなどで伝えられました。予報や取り消しの知らせ(キャンセル報)まで通知する防災アプリもあります。一方、スマホの緊急速報メールは強い揺れが予想される地域に一斉に届く仕組みのため、鳴ったあとの続報は別の手段で確かめるほうが確実です。

揺れを感じなかったのに警報が鳴ったときは、まず周りの安全を確かめてから、テレビやラジオ、信頼できるニュースで状況を確認しましょう。SNSには根拠のない情報が流れやすいため、気象庁などの公的な発表をもとに判断することが大切です。通知の出方はアプリによって違うので、ふだん使っているアプリの設定も一度見ておくと安心です。

誤報があっても次の速報で動いたほうがよい理由

空振りが続くと「どうせまた外れる」と感じてしまいがちです。けれども緊急地震速報は、予測に誤差があることを承知のうえで、強い揺れに間に合うことを優先して作られた情報です。外れるたびに動くのをやめてしまうと、本当に強い揺れが来たときに、身を守るための数秒を失うことになります。

机の下に入る、頭を守るといった行動は、空振りだったとしても失うものはほとんどありません。反対に、本物の揺れで何もしていなければ、落ちてくる物や倒れる家具でけがをするおそれがあります。気象の防災情報でも、段階に応じて「警報」や「危険警報」が出され、それに合わせて行動するしくみが整えられています。

リビングで丈夫なテーブルの下に入り、クッションで頭を守る家族のイメージ

よくある質問

今回の取り消しはサイバー攻撃が原因だったのですか?

気象庁は、外部からのサイバー攻撃を受けた可能性はないと説明しています。原因はシステム内部の計算の問題とされ、詳しい経緯は2026年10月17日時点で調査中です。

M9.9とはどれくらいの規模ですか?

観測史上最大とされる1960年のチリ地震がM9.5、2011年の東北地方太平洋沖地震がM9.0です。M9.9はそれらを上回る値で、実際のM6.9と比べるとエネルギーはおよそ3万倍にあたります。

緊急地震速報が取り消されることはよくあるのですか?

専用端末やアプリ向けの「予報」では、2016年8月1日のように取り消しの例があります。テレビやスマホで流れる「警報」の取り消しは、今回が初めてと報じられています。

取り消しのあと、何かしておくことはありますか?

今回は国内で強い揺れはなかったため、特別な行動は必要ありません。身を守るためにガスを止めたり家具から離れたりした場合は、周りの安全を確かめてから元に戻しましょう。

同じような取り消しはまた起きるのですか?

気象庁は原因を調べており、再発防止策は今後示される見込みです。ただし緊急地震速報は少ないデータで素早く予測する情報なので、予測が外れる可能性をゼロにすることはできません。

まとめ

2026年10月16日の緊急地震速報(警報)は、カムチャツカ半島付近で起きたM6.9の地震を、千島列島付近のM9.9・最大震度7と大きく見誤ったものでした。警報は北海道から東海地方までの広い範囲に出され、およそ8分後に取り消されています。警報の取り消しは今回が初めてと報じられました。

取り消しの2つの要因は、震源から700km以上離れた観測点を規模の計算から外す機能が動かずM9.9と過大に見積もったこと、そして規模の計算と震度の予測で別々の震源を使ったことです。詳しい原因と再発防止策は、2026年10月17日時点で調査中です。

緊急地震速報は、誤差があることを前提に、揺れの前の数秒を生かすための情報です。今回のような取り消しがあっても、次に鳴ったときはまず身を守り、続報は揺れがおさまってから気象庁の発表やニュースで確かめるようにしましょう。

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