「また千葉県北西部で地震があった」。スマホの速報を見て、そう感じたことはありませんか。テレビの地震情報でこの地名を耳にする機会は、たしかに多いものです。
じつは千葉県北西部の地下では、世界でもめずらしい構造が広がっています。3枚のプレートが重なり合う、いわば「地震が起きやすい条件」がそろった場所なのです。
この記事では、千葉県北西部で地震が多いといわれる理由を、地下のしくみからやさしく解説します。むずかしい専門用語はかみくだいて説明するので、地学が苦手な方も安心して読み進めてください。
千葉県北西部で地震が多いといわれる理由をひとことで
結論からお伝えします。千葉県北西部で地震が多いのは、3枚のプレートが重なり合う「世界でもめずらしい場所」だからです。
地球の表面は、プレートと呼ばれる岩盤でおおわれています。ふつう、ある地域の地下にはプレートの境目が1つあるかどうか、という程度です。ところが関東地方の地下には、なんと3枚ものプレートが重なっています。
3枚のプレートが重なる特殊な場所
千葉県をふくむ関東地方は、陸側の「北アメリカプレート」の上にのっています。その下に、南からやってきた「フィリピン海プレート」がもぐり込みます。さらにその下に、東からやってきた「太平洋プレート」がもぐり込んでいるのです。
プレートどうしがこすれ合う境目では、ひずみ(力のたまり)が生じます。そのひずみが限界に達したときに、地震となって解放されます。境目が多ければ、それだけ地震のきっかけも増えるというわけです。

3枚重ねのミルフィーユのような地下、と考えるとイメージしやすいですね。
「地震の巣」とは何か
千葉県北西部から茨城県南西部にかけての一帯は、地震の専門家から「地震の巣」と呼ばれています。震源が一か所に密集し、くりかえし地震が発生する場所のことです。
体に感じない小さな地震もふくめると、東京湾北部から千葉県北西部の一帯では、1か月に100個ほどの地震が起きているとされます。多くは深い場所で発生するため、ふだんは気づかないだけなのです。
千葉県の地下で起きている「二重沈み込み」のしくみ
千葉県の地下では「二重沈み込み」という現象が起きています。これは、2枚の海のプレートが上下に重なって、陸のプレートの下へもぐり込んでいる状態のことです。この複雑な構造が、地震の多さの大もとになっています。
陸のプレートの下に2枚の海のプレートが沈み込む
もう少しくわしく見てみましょう。一番上にあるのが、私たちがのっている陸側の北アメリカプレートです。
その下に、フィリピン海プレートが南西の方向からもぐり込みます。そして一番下を、太平洋プレートが東から西へとくぐり抜けていきます。3枚が立体的に交わるこの構造は、世界を見わたしてもごくまれです。


北アメリカプレート(陸側・一番上)/フィリピン海プレート(南からもぐり込む)/太平洋プレート(東からもぐり込む・一番下)。この3層構造が千葉県の地下に広がっています。
深さ60〜70kmで地震が起きるのはなぜ?
千葉県北西部の地震には、ひとつの特徴があります。それは、震源が深いことです。多くは地下60〜70kmほどの深さで発生します。
これは、もぐり込んだフィリピン海プレートと、その下の太平洋プレートが接する深さにあたります。2枚の海のプレートがこすれ合う、まさにその場所でひずみがたまり、地震が起きていると考えられています。
震源が深いと、地表での揺れは比較的おだやかになりやすい一方、揺れが広い範囲に伝わりやすいという性質があります。千葉の地震で「広い地域が同じくらい揺れた」と感じるのは、このためです。
千葉県北西部の地震にみられる特徴
千葉県北西部の地震には、見すごせない2つの特徴があります。ひとつは「くりかえし起きてきた」こと、もうひとつは「ふだんから小さな地震が多い」ことです。順に見ていきましょう。
くりかえし起きてきた過去の地震
千葉県北西部のやや深い場所では、過去にも同じような地震がくりかえし発生してきました。記録に残っている主なものを表にまとめます。
| 発生年 | 規模(マグニチュード) | 深さの目安 |
|---|---|---|
| 1928年5月 | M6.2 | 約75km |
| 1956年9月 | M6.3 | 約81km |
| 1980年9月 | M6.0 | 約80km |
こうして並べると、いずれも深さ70〜80kmほどで、規模もM6前後でよく似ています。同じしくみで起きてきたことがうかがえます。これらの記録は気象庁や地震調査研究推進本部の資料にもとづくものです。



同じ場所で似た地震がくりかえされてきた、というのは興味深いですね。
体に感じない小さな地震が毎月たくさん起きている
大きな地震ばかりが注目されますが、じつはふだんから小さな地震が数多く発生しています。前にも触れたとおり、東京湾北部から千葉県北西部の一帯では、感じないものをふくめると1か月に100個ほどの地震が起きているとされます。
つまり、地下では絶えずプレートが動き、少しずつひずみが解放され続けているのです。「最近やけに地震が多い気がする」という感覚は、けっして気のせいではありません。
千葉県は全国でも地震が多い地域なの?
結論として、千葉県は全国のなかでも地震が多い地域のひとつです。ただし、千葉県内でも場所によって地震の起きやすさにはかなり差があります。
全国の地震回数からみる千葉県の位置
2024年の1年間に千葉県で観測された震度1以上の地震は、184回にのぼりました。福島県や宮城県、茨城県などとともに、千葉県は地震回数が上位に入る常連です。
過去10年間で見ても、震度4以上の比較的大きな地震の回数で千葉県は全国上位に位置します。「地震が多い」という体感は、データのうえでも裏づけられています。
千葉県内でも地震が多いエリアの違い
同じ千葉県でも、どこで地震が多いのかは一様ではありません。過去およそ20年間の有感地震(震度1以上)の震源を地域別に見ると、次のようになります。
| 千葉県内の震源域 | 有感地震のおおよその回数(約20年間) |
|---|---|
| 千葉県東方沖 | 約1,256回 |
| 千葉県北西部 | 約410回 |
| 千葉県南部 | 約138回 |
回数だけなら東方沖が群をぬいて多いことがわかります。ただし北西部は人口が集中する地域の地下で起きるため、揺れを感じる人が多く、ニュースでも取り上げられやすいという事情があります。「北西部の地震をよく耳にする」と感じる背景には、こうした理由もあるのです。
「地震の巣」の原因として注目される新しい説
千葉県北西部に「地震の巣」がある理由は、長らくくわしくはわかっていませんでした。近年、その原因を説明する新しい考え方が研究者から提案されています。
沈み込んだ「海山」がひずみを集める?
注目されているのが「海山(かいざん)」の存在です。海山とは、海底にそびえる山のような大きな地形のこと。これがプレートにのって地下深くへもぐり込み、ひっかかるようにしてひずみを一か所に集めているのではないか、という説です。
これは東京科学大学などの研究で示された考え方で、地震の巣ができるしくみを説明する有力なモデルのひとつとして提案されています。今後の研究で、さらに解明が進むことが期待されています。
「海山がひずみを集める」という説は、現在も検証が進められている研究段階の考え方です。地震のしくみには未解明の部分が多く残されています。
よくある質問
- 千葉県北西部で地震が多いのは大地震の前ぶれですか?
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いいえ、特定の地震を前ぶれと結びつける科学的な根拠はありません。千葉県北西部はもともと地下構造の都合で日常的に地震が多い地域です。小さな地震が増えても、それが大地震の予知につながるわけではありません。日ごろの備えを整えておくことが大切です。
- 千葉県北西部の地震はなぜ震源が深いのですか?
-
もぐり込んだフィリピン海プレートと太平洋プレートが接する深さ(地下60〜70kmほど)でひずみがたまり、地震が起きるためです。陸の浅い場所で起きる地震とは、発生する場所が異なります。
- 千葉県と東京都では、どちらが地震が多いですか?
-
観測される地震の回数では千葉県のほうが多い傾向にあります。千葉県は東方沖をはじめ複数の活発な震源域をかかえているためです。ただし揺れの大きさは震源との位置関係で変わるため、回数だけで危険度は決められません。
まとめ|理由を知って、できる備えを
千葉県北西部で地震が多い理由を、地下のしくみからお伝えしてきました。最後に要点を整理します。
千葉県北西部の地下は、3枚のプレートが重なる世界でもめずらしい場所。2枚の海のプレートがこすれ合う深さ60〜70kmで地震が起き、「地震の巣」と呼ばれるほど震源が密集しています。原因として「海山の沈み込み」という新しい説も注目されています。
地震が多いのは土地のせいではなく、地下構造という変えられない条件によるもの。だからこそ「来たときにどう動くか」を整えておくことが、いちばん確実な対策になります。
理由がわかると、むやみに不安がる必要はないと感じられたのではないでしょうか。地震は予知できませんが、備えはいつでも始められます。ご家庭の防災グッズや、お住まいの地域のハザードマップを、この機会に見直してみてください。















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