暑中見舞いを書こうとして手が止まるのは、たいてい同じ場所です。句読点は打っていいのか。喪中の相手に送ってもいいのか。私製はがきの切手はいくらだったか。
この記事では、暑中見舞いのマナーと文例にしぼって解説します。宛名の敬称、句読点の判断基準、喪中のときの正しい対応、そして友人・親戚・恩師にそのまま使える文例まで。読み終えたときには、迷わず一枚書き上げられる状態になります。
なお2026年の暑中見舞いは、小暑の7月7日から立秋前日の8月6日まで。立秋は8月7日です。時期の考え方をもっと詳しく知りたい方は、下の記事にまとめてあります。

暑中見舞いのマナーは、この5つで足ります
細かい作法はいろいろありますが、失礼を避けるという一点にしぼれば、押さえるべきは5つだけです。まずは全体像を見てください。
| 押さえること | 結論 |
|---|---|
| 頭語・結語 | 「拝啓」「敬具」は書かない。「暑中お見舞い申し上げます」から始める |
| 句読点 | 目上・仕事相手には打たない。親しい相手には打ってよい |
| 日付 | 「令和八年 盛夏」と書く。具体的な日付は入れない |
| 切手 | 私製はがきには85円切手を貼る(2024年10月改定) |
| 期限 | 8月6日まで。過ぎたら「残暑見舞い」に切り替える |
暑中見舞いは形式より気持ちが優先される挨拶状です。5つを外していなければ、多少ぎこちなくても失礼にはあたりません。
はがきと切手えらび|いまの正解
ここは数年で事情が変わった部分です。古い情報のまま準備すると、料金不足で戻ってきたり、もう売っていないはがきを探し回ったりすることになります。
はがきは3種類。相手で選び分けます
暑中見舞いに専用のはがきは必要ありません。次の3つから、相手との距離感で選べば十分です。
| 種類 | 切手 | 向いている相手 |
|---|---|---|
| 通常はがき(郵便はがき) | 不要(1枚85円で購入) | 誰にでも。仕事関係もこれで問題なし |
| 夏の絵入りはがき | 不要(郵便局・ネットショップで販売) | 友人・親戚など、季節感を出したい相手 |
| 私製はがき | 85円切手が必要 | 好みのデザインで送りたいとき |
通常はがきは事務的に見えると心配されがちですが、涼しげな色のペンを使ったり、余白に小さくイラストを添えたりするだけで印象は変わります。かしこまった相手ほど、無地のはがきに丁寧な字という組み合わせが好まれます。
私製はがきの切手は85円です
はがきの料金は2024年10月1日に63円から85円へ改定されました。消費税増税時をのぞくと1994年以来の値上げで、幅も過去最大です。数年前の情報を載せたままのサイトや、家に残っている案内には63円と書かれていることがあるので注意してください。
私製はがきを使うときは、大きさと重さの規格にも気を配ってください。郵便はがきとして扱われるのは長辺14〜15.4cm、短辺9〜10.7cm、重さ2〜6gの範囲です。厚紙で作ったカードがこの範囲を外れると、はがきではなく封書(定形郵便物)の料金がかかります。
くじ付きの「かもめーる」はもうありません
夏の定番だった、くじ付きの郵便葉書「かもめーる」は2020年度の発行をもって終了しました。日本郵便が2021年3月に発表したもので、電子メールの普及で利用が減り続けたことが理由です。いまから探しても手に入りません。
代わりに、すいか・ひまわり・風鈴・花火といった夏らしい絵柄の絵入りはがきが、郵便局の窓口や郵便局のネットショップで販売されています。ただし取り扱う商品や絵柄は年ごとに変わるので、買いに行く前にネットショップで在庫を見ておくと確実です。

失礼にならない文章は、6つの型でできています
暑中見舞いの文面には決まった順序があります。この順に並べるだけで、誰に出しても整った一枚になります。文章を考えるのが苦手な方こそ、型に沿って埋めていくほうが早く仕上がります。
「暑中お見舞い申し上げます」と書きます。目上の方には「暑中お伺い申し上げます」がより丁寧です。本文より少し大きめの字にすると全体が引き締まります。
「連日厳しい暑さが続いておりますが」のように、その年の気候にふれます。冷夏の年に「猛暑の候」と書くとちぐはぐになるので、実際の天気を見て言葉を選びます。
「いかがお過ごしでしょうか」「お変わりありませんでしょうか」など。ここが暑中見舞いの主役なので、あっさり流さず一言そえると印象が変わります。
仕事や家族のことを短く伝えます。はがき一枚に収める必要があるので、2行程度が目安です。目上の方には自慢話にならないよう控えめに書きます。
「まだまだ暑い日が続きますが お身体を大切にお過ごしください」のように、相手の健康や活躍を願う言葉で締めます。
2026年なら「令和八年 盛夏」と書きます。年月日は入れません。届く日が読めない挨拶状なので、季節を表す言葉でぼかすのが習わしです。
「拝啓」「敬具」は書きません
ふつうの手紙では頭語と結語をそろえますが、暑中見舞いは季節の挨拶状なので使いません。いきなり「暑中お見舞い申し上げます」から書き始めるのが正しい形です。丁寧にしようとして「拝啓」を足すと、かえって形式を外したことになります。
句読点は「相手で決める」でうまくいきます
正式な挨拶状では句読点(、。)を打たないとされています。毛筆で書いていた時代の名残で、区切りをつけないことが縁を切らない意味につながる、という説明がよく添えられます。
とはいえ現代では、読みやすさを優先して句読点を打つことも一般的です。マナー違反として問題にされる場面はほとんどありません。判断に迷ったら、次の線引きで十分です。
- 句読点なし…上司、恩師、取引先、義理の親族など、格式を重んじる相手
- 句読点あり…友人、きょうだい、親しい同僚など、読みやすさを優先したい相手
句読点を打たない場合は、代わりに1文字分の空白か改行で区切ります。詰めて書くと読みにくいので、ここは意識して間を空けてください。
日付は「令和八年 盛夏」
2026年は令和8年です。「令和八年 盛夏」と書くのがもっとも一般的で、7月中に届くなら「令和八年 七月」でもかまいません。立秋を過ぎて残暑見舞いに切り替えたときは「令和八年 晩夏」または「令和八年 八月」とします。
宛名で差がつく|敬称と連名の書き方
文面をどれだけ丁寧に書いても、宛名面が雑だと第一印象で損をします。相手が最初に目にするのは宛名面だからです。住所は都道府県から省略せず、名前は中央よりやや右に、少し大きめの字で書きます。
| 宛先 | 敬称の付け方 |
|---|---|
| 個人 | 山田太郎様 |
| 会社・団体そのもの | 株式会社○○御中 |
| 会社の中の個人 | 株式会社○○ 営業部 山田太郎様 |
| 夫婦の連名 | 山田太郎様 花子様(妻は名前のみ・敬称は両方に) |
| 家族全員 | 山田家御一同様 |
| 先生・恩師 | 山田太郎先生(「先生様」にしない) |
やりがちな3つのNG
宛名で起きるつまずきは、ほぼこの3つに集約されます。書き始める前に頭に入れておくと安心です。
- 「御中」と「様」を重ねる…「株式会社○○御中 山田太郎様」は誤りです。個人宛なら御中は不要です
- 住所を省略する…都道府県やビル名を省くと配達が遅れることがあります。省略せず書きます
- 宛名面と文面で書式がちぐはぐ…文面を縦書きにしたら、宛名面も縦書きでそろえます
喪中の暑中見舞いは「送ってよい」が基本です
ここはとくに誤解が多い部分です。結論からいうと、喪中の相手にも、自分が喪中でも、暑中見舞いは送れます。年賀状と違ってお祝いではなく、暑さを気づかう季節の挨拶だからです。
喪中は1年間ずっと控える、と考える必要はありません。避けるのは「忌中」の期間だけで、それを過ぎれば通常どおり出せます。
避けるのは忌中の期間だけです
忌中とは、故人を偲んで身をつつしむ期間のこと。この間は挨拶状を控え、明けてから出します。宗派によって区切りが異なります。
| 形式 | 忌明けの目安 |
|---|---|
| 仏式 | 四十九日の法要まで |
| 神式 | 五十日祭まで |
| キリスト教式 | 追悼ミサ(カトリック)/召天記念日(プロテスタント)まで |
忌中が暑中見舞いの時期と重なってしまったら、無理に出さず、忌明けを待って残暑見舞いとして送るのがおすすめです。8月末までなら残暑見舞いとして自然に届きます。
はがきのデザインと文面は控えめに
送れるとはいえ、いつもと同じ調子でよいわけではありません。次の3点に気を配ると、相手の状況に寄り添った一枚になります。
- 絵柄は落ち着いたものを選ぶ…花火やスイカなどにぎやかな絵柄は避け、シンプルなはがきにします
- お祝いごとの報告は入れない…結婚や出産の報告は、別の機会にあらためて伝えます
- お悔やみを長々と書かない…体調を気づかう言葉を中心にし、簡潔にまとめます
相手が喪中と知っている場合の文例です。そのまま使えます。
自分が喪中の場合も同じ考え方です。近況の欄で不幸について詳しく書く必要はなく、いつもより少し落ち着いた文面にすれば十分です。
そのまま使える文例|友人・親戚・恩師・ご近所
ここからは相手別の文例です。○○の部分を差し替えて、近況の一行だけ自分の言葉にすれば、それらしい一枚になります。
親しい友人へ
友人あてなら堅くする必要はありません。句読点を打って、話しかけるように書くほうが伝わります。
親戚へ
親戚には、お盆や帰省の予定を一言そえると話がつながります。会う約束が入っている相手なら、それを書くだけで自然な文面になります。
恩師・先生へ
恩師には、いまの自分の様子を一行だけ入れると喜ばれます。長く書く必要はありません。近況と感謝がそろっていれば十分です。
ご近所・お世話になった方へ
ご近所や、引っ越し前にお世話になった方へ。深入りしすぎず、気持ちだけを伝える短い文面が向いています。

取引先や上司など、仕事関係あての文面はルールが変わります。書き出しの決まり文句や、メールで送る場合の作法まで含めて別の記事にまとめてあるので、そちらを参考にしてください。


一言そえるだけで印象が変わります
文例をそのまま写すと、どうしても既製品の顔になります。最後に一行だけ、相手の顔を思い浮かべた言葉を足してください。それだけで手紙になります。
健康を気づかう一言
- 連日の暑さですが くれぐれもご無理をなさらないでください
- エアコンと上手に付き合って 涼しくお過ごしください
- 水分補給をこまめにとって 元気に夏を越えてくださいね
近況を伝える一言
- おかげさまで ○○の仕事も順調に進んでおります
- この夏は家族で久しぶりに ○○へ出かける予定です
- 新しい部署にも ずいぶん慣れてまいりました
次につながる一言
- 涼しくなりましたら またお食事でもいかがでしょうか
- 秋にはあらためてご挨拶に伺わせていただきます
- 近いうちに ゆっくりお話しできる機会をつくれたらと思っています
もうひとつ、相手の住む地域に合わせると気配りが伝わります。北海道や東北の方に「猛暑」「酷暑」を並べると実感とずれるので「夏らしい陽気」くらいがちょうどよく、逆に沖縄・九州の方には具体的な体調の気づかいを添えると響きます。
はがきではなくメールや社内文書で夏の挨拶を書く場合は、時候の言葉の選び方が少し変わります。8月に使える書き出しは下の記事にまとめました。

暑中見舞いをもらったら|返事の書き方
返信は義務ではありませんが、お世話になっている方や目上の方からいただいたなら返すのが丁寧です。返事を書くときのポイントは3つあります。
- できるだけ早く出す…受け取ってから1週間以内が目安です
- 冒頭にお礼を入れる…挨拶のあとに「ご丁寧なお便りをありがとうございました」と続けます
- 8月7日以降は残暑見舞いにする…立秋を過ぎたら書き出しを「残暑お見舞い申し上げます」に変えます
残暑見舞いの期限や書き方のちがいは、下の記事で詳しくまとめています。

よくある質問
- 印刷したはがきでも失礼になりませんか?
-
失礼にはあたりません。枚数が多いときは印刷が現実的です。
ただし全文が印刷だと事務連絡のように見えてしまうので、余白に手書きで一行そえてください。「暑さが続きますね」の一言があるだけで、受け取ったときの印象がまったく変わります。
- 年賀状のやり取りがない相手に送ってもいいですか?
-
問題ありません。暑中見舞いは年賀状とは別の挨拶状です。
ふだん連絡を取っていない相手だと驚かれることもあるので、「近況をお知らせしたく筆をとりました」のように、送った理由が伝わる一文を入れておくと自然です。
- 8月6日を過ぎてしまいました。どうすればいいですか?
-
「残暑見舞い」に切り替えれば大丈夫です。
書き出しを「残暑お見舞い申し上げます」に変え、日付を「令和八年 晩夏」または「令和八年 八月」にします。届くのは8月末までを目安にしてください。
- 相手の住所が今も合っているか分かりません
-
送る前に確認するか、今回は見送るのが無難です。
住所が変わっていると、いまお住まいの方に迷惑がかかります。SNSやメールで連絡が取れる相手なら、そのときに住所をたずねるか、メッセージでの挨拶に切り替えましょう。
- メールで送っても大丈夫ですか?
-
相手との関係によります。友人や社内であればメールでも十分です。
一方、あらたまった相手や、これまではがきでやり取りしてきた方には、はがきのほうが気持ちが伝わります。相手から先にメールで届いた場合は、メールで返して差し支えありません。
まとめ
暑中見舞いのマナーで押さえるべき点を振り返ります。
- 「拝啓」「敬具」は書かず、お見舞いの挨拶から始める
- 句読点は、目上の方には打たず、友人には打ってよい
- 日付は「令和八年 盛夏」。年月日は入れない
- 私製はがきの切手は85円。63円のままだと料金不足になる
- 喪中でも忌明けなら送ってよい。絵柄と文面を控えめにする
型どおりに書けているかより、相手を思い浮かべた一行が入っているかのほうが、受け取る側にはずっと伝わります。
まずは、いちばん顔が浮かぶ相手を一人だけ決めて、はがきを一枚書いてみてください。文例をなぞるだけでも、届いた側にとっては十分うれしい便りになります。
参考にした情報
- 日本郵便「第二種郵便物 はがき」(料金・規格)
- 国立天文台 暦計算室「暦要項」(小暑・立秋の日付)

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