5月の挨拶文を書くとき、「立夏の候」と「新緑の候」のどちらを選べばいいか、迷ったことはありませんか。
5月は穀雨・立夏・小満と二十四節気がまたがる月で、上旬と下旬では使う言葉がはっきり変わります。さらにビジネスメールと個人の手紙でも表現を切り替える必要があり、例文を一覧で見ても自分の状況に合うものが探しづらい、というのが実情です。
この記事では、5月の挨拶文を「時期(上旬・中旬・下旬)×シーン(ビジネス・カジュアル)×書き出しと結び」の3点で整理して、そのまま使える例文と組み立てのコツをまとめました。丸暗記は不要、自分のシーンに合う例文がすぐ見つかります。
5月の挨拶文の基本|押さえるべき3つのルール
5月の挨拶文は、3つのルールを押さえれば誰でも自然な文章が書けます。例文を闇雲に探す前に、まずこの基本を確認しましょう。
二十四節気で時期を区切る(立夏5/5・小満5/21)
5月の時候の挨拶は、二十四節気を境に表現が変わります。具体的には次の3つの区切りで考えると分かりやすくなります。
- 5月上旬(〜5月5日頃):穀雨。暦上はまだ春で「晩春」「惜春」を使う
- 5月中旬(5月6日〜20日頃):立夏以降。「初夏」「新緑」「薫風」が中心
- 5月下旬(5月21日頃〜):小満以降。「向暑」「軽暑」など夏に向かう表現
この区切りを意識せず「5月=新緑」と決めつけて使うと、5月3日に「新緑の候」と書いてしまう違和感が生まれます。立夏の前後で表現を切り替えるだけで、文章の質がぐっと上がります。
漢語調と口語調の使い分け
5月の挨拶文には、大きく分けて2つの文体があります。相手との関係性で使い分けましょう。
| 文体 | 例 | 使う相手 |
|---|---|---|
| 漢語調 | 新緑の候、薫風の候 | 取引先・上司・改まった手紙 |
| 口語調 | 風薫る5月となりました、若葉が美しい季節です | 友人・親しい人・カジュアルなはがき |
漢語調はフォーマルで簡潔、口語調はやわらかく親しみやすい印象を与えます。1通の手紙の中で混ぜないのが鉄則です。
書き出しと結びはセットで考える
挨拶文は書き出しだけでなく、結びの言葉も季節に合わせると統一感が出ます。書き出しで「新緑の候」と使ったなら、結びも「若葉の美しい季節、ご自愛ください」のように初夏の表現で揃えるのがコツです。

【5月上旬】挨拶文の例文|書き出しと結び
5月上旬(〜5月5日頃)はゴールデンウィークと重なる時期で、暦の上ではまだ春です。立夏(5月5日頃)の前は「過ぎゆく春を惜しむ表現」を選びましょう。
ビジネスメール・手紙(漢語調)
取引先や上司宛のフォーマルな文書では、次の表現がよく使われます。
- 晩春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
- 葉桜の候、貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます。
- 惜春の候、皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのことと存じます。
結びは、新緑の季節に向かう時期の体調管理を気遣う表現で締めます。
- 春暖の折、皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
- 連休中はゆっくりとお休みになり、英気を養われますようお祈り申し上げます。
- 季節の変わり目、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます。
個人・カジュアル(口語調)
友人や親戚への手紙・はがきには、やわらかい口語調が向いています。
- 八十八夜も過ぎ、初夏の気配が感じられる頃となりました。
- 桜が散り、若葉のまぶしい季節がやってきました。
- ゴールデンウィークはいかがお過ごしですか。
- 連休疲れが出ませんよう、ご自愛ください。
- 過ごしやすい季節です。お元気でお過ごしください。
- また落ち着いた頃にお会いできるのを楽しみにしています。
上旬に使える季語と表現
5月上旬らしさを出す季語をストックしておくと、文章のバリエーションが広がります。
- 季語:晩春、惜春、葉桜、八十八夜、暮春
- 自然表現:藤の花、つつじ、こいのぼり、緑の風、若葉
- 行事関連:ゴールデンウィーク、こどもの日、憲法記念日
【5月中旬】挨拶文の例文|書き出しと結び
5月中旬(5月6日〜20日頃)は立夏を過ぎ、暦の上では夏に入ります。新緑が深まり、爽やかな風を表現する季語が主役になります。
ビジネスメール・手紙(漢語調)
5月中旬は、ビジネス文書で最も「5月らしさ」を表現しやすい時期です。
- 新緑の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
- 立夏の候、皆様におかれましてはご清祥のこととお喜び申し上げます。
- 薫風の候、貴社いよいよご隆盛の段、心よりお慶び申し上げます。
- 若葉の候、平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 新緑の美しい季節、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
- 爽やかな初夏の候、なお一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
- 季節の変わり目、ご自愛専一にてお願い申し上げます。
個人・カジュアル(口語調)
母の日(5月の第2日曜日)が含まれる時期でもあるため、家族への手紙にも適した表現が増えます。
- 新緑がまぶしい季節となりました。お変わりありませんか。
- 風薫る5月、爽やかな日が続いていますね。
- 若葉の緑が日ごとに濃くなる頃、いかがお過ごしでしょうか。
- 気持ちのいい季節です。お元気でお過ごしください。
- 新緑の中、楽しい毎日でありますように。
- 近いうちにまたお目にかかれるのを楽しみにしています。
中旬に使える季語と表現
- 季語:新緑、立夏、薫風、若葉、青葉、緑風、万緑
- 自然表現:山々の緑、五月晴れ、青空、つばめ、初鰹
- 行事関連:母の日、運動会シーズン
【5月下旬】挨拶文の例文|書き出しと結び
5月下旬(5月21日頃〜)は小満に入り、日差しが強くなって夏の気配が濃くなる時期です。「初夏」よりも一歩進んで「向暑」「軽暑」など、暑さに向かう表現を選びましょう。
ビジネスメール・手紙(漢語調)
- 小満の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 軽暑の候、皆様におかれましてはご活躍のこととお喜び申し上げます。
- 向暑の候、平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 麦秋の候、貴社いよいよご隆盛のことと拝察申し上げます。
- 向暑の折、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます。
- 梅雨を控え、ご健康には十分ご留意くださいませ。
- 季節柄、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
個人・カジュアル(口語調)
- 木々の緑が深くなり、初夏らしい日が増えてきました。
- 日差しに夏の気配を感じる頃となりました。
- もうすぐ梅雨入りですね。お変わりありませんか。
- 梅雨入り前の貴重な晴れ間を楽しんでくださいね。
- 暑くなってきました。体調を崩さないようにお過ごしください。
- 夏の気配を感じる頃、お元気でいらしてください。
下旬に使える季語と表現
- 季語:小満、向暑、軽暑、麦秋、初夏、梅雨入り前
- 自然表現:青田、麦の穂、紫陽花のつぼみ、清涼な風
- 行事関連:運動会、田植え時期
シーン別に使える5月の挨拶文
同じ5月でも、誰に・どんな場面で送るかで適切な表現は変わります。代表的な4つのシーンに分けて、すぐ使える例文を紹介します。

ビジネスメールの定型と例文
ビジネスメールの場合、「拝啓」「敬具」を省略するのが一般的です。時候の挨拶も短めに、簡潔にまとめます。
株式会社○○
営業部 ○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の□□です。
新緑の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
さて、先日お打ち合わせいただいた件について…
挨拶メールの例文をもっと詳しく見たい場合は、新入社員向けの記事もあわせて参考にしてください。

取引先への手紙・送付状
送付状や挨拶状など、紙の手紙では「拝啓」「敬具」を入れるのが正式です。
拝啓 薫風の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび○○資料を送付いたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
PTA・町内会・保護者会のお便り
PTA総会の案内や町内会の回覧など、地域の文書では「やわらかい漢語調」が無難です。堅すぎず砕けすぎない表現を選びます。
- 新緑の候、保護者の皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。
- 若葉の美しい季節、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 風薫る5月、保護者の皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
親しい人への手紙・はがき
家族や親しい友人へは、堅苦しさを抜いた口語調で書きましょう。「拝啓」「敬具」も省略してかまいません。
- 新緑がきれいな季節になりましたね。お元気ですか。
- 薫風の心地よい毎日、いかがお過ごしですか。
- 風薫る5月、ふと懐かしくなってお手紙を書いています。
引っ越し後のご近所への挨拶や、新生活の手紙には、こちらの記事も参考になります。

5月の挨拶文でやりがちなNGと注意点
例文をそのまま使えば失敗は減りますが、ちょっとした言葉選びで違和感が生まれることがあります。事前に注意点を確認しておきましょう。
立夏前なのに「初夏」を使う
5月1日〜5日頃は暦上まだ春。この時期に「初夏の候」「新緑の候」と書くと、季節感のずれが生まれます。立夏(5月5日頃)を過ぎてから初夏の表現に切り替えるのが基本です。

カレンダーで5月になったら、つい「新緑の候」と書きたくなりますよね。でも5月3日に書くなら「晩春の候」のほうが自然なんです。
漢語調と口語調を混ぜる
「新緑の候、お元気ですか?」のように、漢語調と口語調を混ぜると不自然な印象になります。1通の手紙の中ではどちらかに統一しましょう。
- NG:新緑の候、最近どうしてる?
- OK(漢語調):新緑の候、ご清祥のこととお慶び申し上げます。
- OK(口語調):新緑の美しい季節、お変わりありませんか。
「貴社」「御社」の使い分け
ビジネス文書で頻出する「貴社」と「御社」は、使う場面が異なります。混同すると違和感が出るため、明確に区別しましょう。
| 表現 | 使う場面 | 例 |
|---|---|---|
| 貴社 | 書き言葉(メール・手紙) | 貴社ますますご繁栄のこと |
| 御社 | 話し言葉(会話・電話・面接) | 御社の事業内容について |
挨拶文は基本的に書き言葉なので「貴社」を使います。電話で話すときだけ「御社」に切り替える、と覚えておくと迷いません。
よくある質問(FAQ)
- ゴールデンウィーク中の挨拶はどう書く?
-
5月上旬(〜5日頃)は「晩春の候」「葉桜の候」など春の名残を表す表現が適切です。口語調なら「ゴールデンウィークはいかがお過ごしですか」と直接触れる書き出しも自然です。
- 母の日の手紙に時候の挨拶は必要?
-
必須ではありません。親しい家族宛なら「お母さん、いつもありがとう」と直接的に始めて問題ありません。やや改まった義母への手紙なら「新緑のまぶしい季節、お変わりありませんか」と一文添えると上品になります。
- 「立夏の候」はいつまで使える?
-
立夏(5月5日頃)から小満(5月21日頃)までの約2週間が目安です。5月22日以降は「小満の候」「軽暑の候」に切り替えるのがマナーです。
- メールでも「拝啓」「敬具」は必要?
-
通常のビジネスメールでは「拝啓」「敬具」は省略します。代わりに「いつもお世話になっております」を使い、必要に応じて時候の挨拶を一文添えるのが一般的です。紙の手紙や正式な挨拶状では「拝啓」「敬具」を入れます。
- 5月全般で使える便利な季語は?
-
「新緑」「薫風」「若葉」は5月の中旬以降ほぼ全般で使えます。時期を問わず迷ったときは「薫風の候」が安全な選択肢です。
まとめ|5月の挨拶文は時期とシーンで選ぶ
5月の挨拶文は「いつ」「誰に」を最初に確定させることで、迷わず書けるようになります。
5月の挨拶文を書くときの3ステップは、(1)立夏(5/5)と小満(5/21)で時期を3区分する、(2)相手との関係性で漢語調か口語調かを選ぶ、(3)書き出しと結びを必ずセットで揃える、の3つです。この型さえ押さえれば、テンプレートに頼らず自分の言葉で挨拶文が書けるようになります。
関連する季節の挨拶として、ビジネスでの暑中見舞いの書き方も参考になります。5月の延長線上で、6月以降の文書作成にも役立ちます。











コメント