「学校の校門や廊下に、防犯カメラがついているのを見かけた」という方は多いのではないでしょうか。子どものころには見なかったのに、いつの間に増えたのだろうと不思議に感じることもあります。
実は、学校への防犯カメラ設置には、子どもたちを守るためのはっきりとした理由と、社会的な背景があります。この記事では、なぜ学校に防犯カメラがあるのか、その目的と普及してきた歴史をやさしく解説します。
学校に防犯カメラがあるのはなぜ?まず結論から
学校に防犯カメラが設置されている一番の理由は、子どもたちの安全を守るためです。外部から侵入しようとする不審者に「見られている」という意識を持たせ、犯行を思いとどまらせる効果が期待されています。
もちろん、カメラがあれば不審者を完全に防げるわけではありません。それでも、心理的なプレッシャーを与えたり、万が一の際に状況を記録したりと、複数の役割を担っています。

「監視されているみたいで少しこわい」と感じる人もいますが、目的はあくまで子どもを見守ることなんですね。
学校に防犯カメラを設置する5つの理由・目的
防犯カメラの役割は「不審者対策」だけではありません。文部科学省も、犯罪を企てる人の侵入防止や犯意の抑制、子どもたちの安心感の醸成などを設置目的として挙げています。ここでは主な5つの目的を整理します。


(1) 不審者の侵入を防ぐ・見つける
もっとも重要な目的が、外部からの不審者対策です。来訪者を確認したり、見通しの悪い場所や死角の状況を把握したりすることで、不審者が校内に入りにくい環境をつくります。カメラの存在そのものが、侵入をためらわせる抑止力になります。
(2) いじめや校内トラブルの早期発見
いじめは、人目につかない場所で起こりやすいものです。教員がすべての場所を見回るのは難しく、気づきにくいという課題があります。防犯カメラがあれば、教員が普段見回らない場所の様子も確認でき、トラブルの早期発見や抑止につながると考えられています。
(3) 器物破損・盗難の防止
学校では、設備が壊されたり、子どもの持ち物が盗まれたりといったトラブルが起きることもあります。カメラによって「いつでも見られている」状態をつくることで、こうした行為を防ぐ効果が期待できます。
(4) 子どもや保護者の安心感
防犯カメラは、抑止や記録のためだけにあるのではありません。子どもたちや保護者が「学校が守られている」と感じられること、つまり安心感をもたらすことも大切な役割のひとつです。
(5) トラブル発生時の状況確認
事故やトラブルが起きてしまったとき、映像があれば、何が起きたのかを客観的に確認できます。原因の把握や、その後の再発防止に役立てられる点も、設置のメリットといえるでしょう。
- 不審者の侵入を防ぎ、見つける
- いじめや校内トラブルを早期に発見する
- 器物破損・盗難を防止する
- 子どもや保護者に安心感をもたらす
- トラブル発生時に状況を確認する
いつから増えた?防犯カメラ普及のきっかけと歴史
学校の防犯カメラが大きく増えるきっかけとなったのは、2001年に起きたある事件でした。それ以降、国による対策が進み、設置率は年々高まってきました。ここでは、その流れを順を追って見ていきます。
2001年・附属池田小事件という転機
2001年6月8日、大阪教育大学附属池田小学校で、校内に侵入した男によって児童が犠牲になる痛ましい事件が起きました。この出来事は、学校の安全対策に大きな課題を突きつけることになります。
「校内に侵入した不審者に、どう対応するか」という問題が広く認識され、これをきっかけに全国の学校で防犯カメラやインターホンの設置など、安全対策を強化する動きが目立つようになりました。
文部科学省の危機管理マニュアル
国もすぐに対応に乗り出しました。文部科学省は、事件の翌年にあたる2002年に、学校へ不審者が侵入した際の対応などを示す危機管理マニュアルを作成しています。これにより、各学校が安全対策に取り組む土台が整えられていきました。
設置率の推移
防犯カメラの設置率は、この20年ほどで大きく伸びています。文部科学省の調査によると、2011年5月時点での設置率は32.3%でした。その後さらに普及が進み、令和5年(2023年)の調査では、防犯カメラを設置している教育機関の割合は64.6%にのぼっています。
- 2011年5月時点:32.3%
- 令和5年(2023年)調査:64.6%
※ 数値は文部科学省の調査によるもので、学校種や調査時点によって異なります。
防犯カメラはどこに設置されている?
学校の防犯カメラは、やみくもに置かれているわけではありません。不審者が入りやすい場所や、死角になりやすい場所を中心に、効果的に配置されています。
校門・出入口・外周
もっとも多いのが、校門や昇降口といった出入口、そして校舎の外周です。学校に出入りする人を確認できる場所であり、外部からの侵入を見張るうえで重要なポイントになります。
校舎内・廊下・死角になる場所
校舎の中でも、廊下や階段、人目につきにくい死角となる場所にカメラが置かれることがあります。日常的に教員の目が届きにくい場所をカバーする狙いです。
一方で、教室の中にカメラを設置するかどうかについては、賛否が分かれています。トラブルの記録に役立つという意見もあれば、子どもや教員のプライバシーへの配慮が必要だという声もあり、慎重に検討されているのが現状です。


防犯カメラのメリットと気をつけたい点
防犯カメラには多くのメリットがある一方で、運用にあたって配慮すべき点もあります。両方を知っておくことで、カメラが置かれている理由をより深く理解できます。
主なメリット
- 不審者への抑止力になる
- トラブルやいじめの早期発見につながる
- 器物破損や盗難を防ぎやすくなる
- 子どもや保護者に安心感を与える
- 万が一の際に状況を客観的に確認できる
気をつけたい点・配慮すべきこと
一方で、防犯カメラはプライバシーに関わるものでもあります。撮影された映像をどう管理し、誰がどんなときに見るのか、ルールを明確にすることが大切です。多くの学校では、設置場所や運用方法について保護者に説明し、理解を得ながら運用しています。
また、カメラはあくまで対策のひとつにすぎません。教職員による見回りや、地域の人による見守り、子ども自身が身を守る力を育てることなど、複数の取り組みと組み合わせてこそ効果を発揮します。



カメラだけに頼るのではなく、みんなで子どもを見守る仕組みの一部、と考えるとわかりやすいですね。
よくある質問
- 学校の防犯カメラの映像は誰でも見られるのですか?
-
いいえ。映像は学校が管理しており、誰もが自由に見られるわけではありません。多くの学校では、管理方法や閲覧のルールを定めて運用しています。詳しい取り扱いは各学校の方針によります。
- すべての学校に防犯カメラがあるのですか?
-
すべての学校にあるわけではありません。文部科学省の令和5年の調査では、防犯カメラを設置している教育機関は64.6%でした。設置の有無は学校や自治体によって異なります。
- 防犯カメラがあれば不審者は完全に防げますか?
-
カメラだけで完全に防ぐことは難しいとされています。抑止力や記録としての役割はありますが、見回りや見守りなど、ほかの対策と組み合わせることが重要だと考えられています。
まとめ:防犯カメラは「子どもを見守る目」
学校に防犯カメラがあるのは、何よりも子どもたちの安全を守るためです。不審者対策やいじめの早期発見、安心感の醸成など、複数の目的を担っています。
普及のきっかけとなったのは2001年の附属池田小事件で、その後、国の対策とともに設置率は大きく高まってきました。今では多くの学校で、子どもたちを見守る目として役立っています。
- 学校の防犯カメラは、子どもの安全を守るために設置されている
- 不審者対策・いじめ発見・安心感など、目的は複数ある
- 2001年の附属池田小事件が普及の大きなきっかけになった
- 設置率は令和5年時点で64.6%まで高まっている
- カメラだけでなく、見回りや見守りと組み合わせることが大切









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