旅行や出張、冠婚葬祭、あるいは急な体調不良。愛犬と暮らしていると、どうしてもお世話ができない状況に直面することがありますよね。そんなとき頼りになるのが「ペットホテル」です。
とはいえ、初めて愛犬を預けるとなると「うちの子、大丈夫かな?」「何を準備すればいいんだろう?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。なかには「預けようとしたら断られてしまった」という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、初めてペットホテルを利用する飼い主さんに向けて、予約から当日までの流れ、事前準備のコツ、万が一断られた場合の対処法まで、知っておきたい情報をまるっとお伝えします。この記事を読み終えるころには、きっと「これなら安心して預けられそう!」と思えるはずです。
初めてでも安心!ペットホテル利用の基本を知ろう
まずは、ペットホテルがどんな場所なのか、基本的なことから押さえておきましょう。初めての利用でも落ち着いて準備できるよう、サービスの全体像をご紹介します。
ペットホテルってどんなところ?
ペットホテルは、飼い主さんが留守の間、愛犬を預かってお世話をしてくれる施設です。基本的なサービスとしては、食事の提供、トイレのお世話、そして散歩や運動の時間が含まれています。
施設のタイプはさまざまで、ケージで個別に管理するスタイルのところもあれば、広い個室でゆったり過ごせるところ、他の犬たちと一緒に遊べるドッグランを併設しているところもあります。料金は1泊あたり3,000円から10,000円程度が相場ですが、犬種やサイズ、施設のグレードによって変わってきます。
最近では、Webカメラで滞在中の様子をリアルタイムで確認できたり、SNSやアプリで写真や動画を送ってくれたりするサービスを提供している施設も増えています。「今どうしてるかな」という飼い主さんの不安を和らげる工夫がされているんですね。
予約から当日までの流れ
初めてペットホテルを利用するときの一般的な流れを、ステップごとに見ていきましょう。
まずは施設探しと問い合わせです。インターネットで近隣のペットホテルを検索し、気になる施設をいくつかピックアップします。この段階で、料金、サービス内容、受け入れ条件(ワクチン接種の有無など)をざっと確認しておくとスムーズです。
次に見学・事前面談を行います。多くのペットホテルでは、初めて利用する場合に事前の見学や面談を推奨しています。実際に施設を見て、スタッフと話し、愛犬との相性を確認できる大切な機会です。この時点で予約を入れることも多いでしょう。
予約が確定したら、当日に向けた準備を進めます。必要な書類(ワクチン証明書など)を用意し、持ち物をそろえ、愛犬の情報をまとめておきましょう。詳しくは後ほど説明しますね。
当日は、指定された時間にチェックインします。スタッフに愛犬の性格や注意点を改めて伝え、緊急連絡先を共有したら、あとはプロにお任せ。お迎えの日時も確認しておきましょう。
事前に準備しておきたい持ち物リスト
当日慌てないために、持ち物は早めにそろえておくのがおすすめです。
必ず持っていくものとしては、狂犬病予防接種証明書(1年以内)と混合ワクチン接種証明書(1年以内)が挙げられます。これらがないと預かってもらえない施設がほとんどなので、必ず確認しておきましょう。また、いつも食べているフードは日数分に加えて予備も持参すると安心です。急にフードが変わるとお腹を壊す子もいるため、普段と同じものを用意してください。処方されている薬がある場合は、投薬スケジュールのメモと一緒に渡しましょう。かかりつけの動物病院の連絡先も伝えておくと、万が一のときにスムーズです。
あると安心なものとしては、普段使っているおもちゃや、飼い主さんの匂いがついたタオル・ブランケットがあります。見慣れたもの、嗅ぎ慣れた匂いがあると、愛犬の緊張がやわらぎます。特に初めての環境に不安を感じやすい子には、ぜひ持たせてあげてください。
後悔しない預け先選び!事前にチェックすべきポイント
ペットホテルは数多くありますが、どこでも同じというわけではありません。大切な愛犬を預ける場所だからこそ、しっかり見極めたいですよね。ここでは、施設選びで後悔しないためのチェックポイントをお伝えします。
施設見学は必ず行こう
可能であれば、予約前に必ず施設を見学させてもらいましょう。ホームページの写真だけでは分からないことがたくさんあります。
清掃は行き届いているか、においは気にならないか、ケージや個室の広さは十分か、換気や空調は適切か。これらは実際に足を運んでみないと分かりません。また、すでに預けられている犬たちの様子も観察してみてください。落ち着いた表情をしているか、ストレスを感じているような行動をしていないか。犬たちの雰囲気は、その施設のケアの質を映し出しています。
スタッフの対応を見極める
見学時には、スタッフの対応もしっかりチェックしましょう。愛犬に対して愛情を持って接しているか、こちらの質問に丁寧に答えてくれるか、犬の扱いに慣れているか。これらは信頼できる施設かどうかを判断する大きな材料になります。
動物関連の資格(愛玩動物飼養管理士、ドッグトレーナー、動物看護師など)を持つスタッフが在籍しているかどうかも、一つの目安になります。資格がすべてではありませんが、専門知識を持ったスタッフがいると安心感が違いますよね。
確認しておきたいルールと緊急時の対応
施設ごとにルールは異なります。営業時間やチェックイン・チェックアウトの時間、キャンセルポリシー、散歩の回数や時間帯などは事前に確認しておきましょう。普段の散歩の習慣と大きく異なると、愛犬にストレスがかかることもあります。
そして最も重要なのが、緊急時の対応フローです。滞在中に体調を崩したらどう対応してくれるのか、提携している動物病院はあるのか、飼い主への連絡はどのタイミングで行われるのか。これらを事前に確認しておくことで、いざというときの不安を軽減できます。
預ける前に自宅でできる!愛犬の慣らしトレーニング
いきなりペットホテルに預けると、愛犬によっては大きなストレスを感じてしまうことがあります。事前に自宅で少しずつ慣らしておくことで、初めてのお泊まりもスムーズになりますよ。
ケージで過ごす練習をしよう
ペットホテルでは、ケージや個室で過ごす時間が多くなります。普段ケージを使っていない子は、まず「ケージは安心できる場所」と感じてもらうところから始めましょう。
最初はケージの扉を開けたまま、おやつやおもちゃでケージの中に誘導します。自分から入って出てくる、を繰り返すうちに抵抗感が薄れていきます。慣れてきたら、中でごはんを食べさせたり、短時間扉を閉めてみたり、少しずつステップアップしていきましょう。焦らず、愛犬のペースに合わせることが大切です。
短時間のお留守番で練習
飼い主さんと離れることに慣れていない子には、短時間のお留守番練習も効果的です。最初は5分、10分と短い時間から始め、徐々に時間を延ばしていきます。
ポイントは、出かけるときも帰ってきたときも、過度に大騒ぎしないこと。「行ってくるね」「ただいま」は落ち着いたトーンで、さらっと済ませましょう。特別なイベントではなく「日常の一部」と感じてもらうことで、お留守番への不安が軽減されます。
お試し預かり(デイユース)を活用しよう
いきなり宿泊は不安という場合は、日中だけ預ける「デイユース」や「一時預かり」を利用してみるのがおすすめです。多くのペットホテルで提供されているサービスで、数時間から1日単位で愛犬を預けることができます。
デイユースのメリットは、宿泊前の「予行演習」になること。愛犬が施設の環境やスタッフに慣れる機会になりますし、飼い主さんも「うちの子、大丈夫そうだな」と安心材料を得られます。いきなり長期間のお泊まりをするより、まずは短時間から試してみると、双方にとって負担が少なくて済みますよ。
知っておきたい!ペットホテルで断られる5つの理由
ここまで準備のお話をしてきましたが、実は「すべての犬がペットホテルに預けられるわけではない」という現実もあります。預けようとしたら断られてしまった、という経験をお持ちの方もいるかもしれません。
ペットホテルがお断りをするのには、必ず理由があります。それは多くの場合、他の預かり犬やスタッフ、そして何よりあなた自身の愛犬の安全と健康を守るためです。ここでは、代表的な5つの理由を見ていきましょう。
理由1:しつけの問題(吠え癖・噛み癖・分離不安)
他の犬や人に対して過度に吠え続けたり、恐怖心からスタッフに噛みつこうとしたりする行動は、お断りの理由として最も多いものの一つです。
ペットホテルは、たくさんの犬が同じ空間で過ごす場所です。一頭が絶えず吠え続けると、他の犬たちにもストレスがかかり、連鎖的に吠え始めるなど施設全体の環境が悪化してしまいます。また、スタッフが安全にお世話をすることが難しくなり、食事の提供やケージの清掃、散歩といった基本的なサービスに支障が出ることもあります。
飼い主さんと離れることで極度の不安に陥る「分離不安」の症状が重い子も、専門的なケアができない施設では受け入れが難しいと判断されることがあります。食事を一切とらない、破壊行動に出る、体調を崩すといった症状がある場合は、事前に相談してみてください。
理由2:年齢制限(子犬・高齢犬)
心身がまだ未熟な子犬や、体力が低下している高齢犬(シニア犬)は、年齢を理由に受け入れを断られるケースがあります。
子犬の場合、一般的には生後3~4ヶ月未満で、狂犬病や混合ワクチンの接種プログラムが完了していない子は預かり対象外となることがほとんどです。感染症への抵抗力がまだ弱いこと、そしてこの時期は社会化の真っ只中で心身ともにデリケートなことが理由です。
高齢犬の場合は、10歳前後を目安とした年齢制限を設けている施設が多いです。年を重ねると体力や免疫力が低下し、環境の変化に対応しづらくなります。慣れない場所でのストレスが持病の悪化や予期せぬ体調不良につながるリスクがあるため、慎重な対応が求められるのです。
理由3:健康上の理由(持病・投薬・アレルギー)
てんかんや心臓病、腎臓病といった持病がある場合や、定期的な投薬、インスリン注射など特別な医療ケアが必要な場合も、受け入れが難しくなります。
これらのケアには専門的な知識と技術が求められます。動物看護師などの有資格者が常駐していない施設では、万が一の急変時に適切な対応ができないからです。アレルギーに関しても、他の犬のフードやホテルの環境が原因で症状が悪化するリスクがあります。持病やアレルギーがある場合は、必ず事前に申告し、受け入れ態勢を確認しましょう。
理由4:予防接種・寄生虫対策の未実施
ほとんどのペットホテルでは、狂犬病予防接種証明書と混合ワクチン接種証明書(いずれも1年以内)の提示が必須条件となっています。
これは、多くの犬が集まる場所での感染症の蔓延を防ぐためのルールです。ワクチン未接種の犬は、他の犬から病気をもらうリスクも、他の犬に病気をうつすリスクも高くなります。ノミ・マダニなどの外部寄生虫の予防・駆除を行っていない場合も、衛生管理の観点からお断りされます。預ける予定がある場合は、早めにかかりつけの動物病院で接種を済ませておきましょう。
理由5:その他(犬種・サイズ・未去勢など)
施設ごとのルールによって、他にも受け入れが制限される場合があります。
超大型犬を受け入れるための十分なスペースや設備がない施設では、犬種や体重によって断られることがあります。また、未去勢のオス同士のトラブルや、発情中のメスがいることによるオス犬たちの興奮を避けるため、未去勢のオスや発情期のメスの受け入れを制限している施設も少なくありません。
もしペットホテルに断られてしまったら?3つの対処法
希望していたペットホテルに断られてしまっても、落ち込む必要はありません。愛犬の特性に合った、より良い選択肢が存在します。ここでは、代表的な3つの対処法をご紹介します。
対処法1:動物病院併設のペットホテルを探す
持病がある、高齢である、あるいは体調面に少しでも不安がある場合におすすめなのが、動物病院に併設されたペットホテルです。
最大のメリットは、獣医師や動物看護師がそばにいるという圧倒的な安心感です。万が一、滞在中に体調が急変しても、すぐに適切な医療処置を受けることができます。持病のケアや投薬にも専門スタッフが対応してくれるので、一般的なペットホテルでは断られてしまった子でも、受け入れてもらえる可能性があります。
一方で、治療が目的の施設であるため、一般的なペットホテルに比べてケージが狭かったり、運動の時間が短かったりする傾向があります。料金もやや高めのことが多いです。まずは、かかりつけの動物病院でペットホテルサービスを提供しているか聞いてみるとよいでしょう。
対処法2:ペットシッターを利用する
知らない場所や他の犬が苦手な、いわゆる「内弁慶」タイプの愛犬には、ペットシッターという選択肢があります。
ペットシッターは、飼い主さんの自宅を訪問して、食事やトイレの世話、散歩などを代行してくれるサービスです。愛犬は住み慣れた自宅で過ごせるため、環境の変化によるストレスを最小限に抑えられます。
サービス内容は、1日に1~2回、1時間程度の訪問が基本ですが、長時間の滞在や宿泊込みのプランを提供している事業者もあります。料金は1回の訪問あたり3,000円~5,000円程度が相場で、交通費やオプションによって変動します。最近では、オンラインで個人のシッターとマッチングできるサービスも増えています。利用する際は、事前の面談でシッターとの相性をしっかり確認することが大切です。
対処法3:ドッグトレーナーに相談してしつけを改善する
吠え癖や噛み癖といったしつけの問題で断られてしまった場合、この機会にプロのドッグトレーナーに相談するのも一つの手です。
これは長期的な視点での解決策になりますが、問題行動が改善されれば、今後ペットホテル選びで困ることはなくなります。それだけでなく、日常の散歩や来客時、他の犬との交流など、愛犬との生活そのものがより豊かで快適なものになるでしょう。お近くのしつけ教室や、出張トレーニングサービスを探してみてください。
ペットホテルとペットシッター、どちらを選ぶ?
「結局、うちの子にはどっちがいいの?」という疑問をお持ちの方もいると思います。ペットホテルとペットシッター、それぞれの特徴を整理してみましょう。
ペットホテルの特徴
ペットホテルは、専用の施設で愛犬を預かってもらうサービスです。スタッフが常駐しているため(24時間とは限りませんが)、何かあったときの対応が期待できます。また、ドッグランや他の犬との交流の機会がある施設なら、社交的な子にとっては楽しい時間になることも。料金は1泊あたり3,000円~10,000円程度で、犬種やサイズ、施設のグレードによって変わります。
一方で、環境の変化がストレスになる子もいますし、他の犬とのトラブルや感染症のリスク(対策はされていますが)はゼロではありません。
ペットシッターの特徴
ペットシッターは、飼い主さんの自宅で愛犬のお世話をしてくれるサービスです。環境が変わらないため、ストレスに弱い子や、他の犬が苦手な子には特に向いています。多頭飼いの場合もまとめてお世話をお願いできるので便利です。
ただし、シッターが訪問する時間以外は基本的に一人で過ごすことになるため、一人の時間が長くなる傾向があります。また、他人を家に入れることに抵抗がある方もいるかもしれません。料金は1回1時間あたり3,000円~5,000円程度に交通費がプラスされることが多く、長期間になるとペットホテルより割高になることもあります。
愛犬のタイプ別おすすめ
社交的で他の犬と遊ぶのが好き、新しい環境にもすぐ慣れる、そんなタイプの子にはペットホテルが向いています。1~2泊程度の短期間の預かりで、費用を抑えたい場合にもおすすめです。
一方、非常に怖がりで内気な性格、高齢や持病があり静かな環境が必要、他の犬との接触を避けたいといったタイプの子には、ペットシッターが向いています。多頭飼いで一緒にお世話をお願いしたい場合や、長期の旅行・出張で不在期間が長い場合にも、ペットシッターを検討してみてください。
よくある質問(Q&A)
- 急な出張ですぐに預けたい場合はどうすればいい?
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まずはかかりつけの動物病院に相談するのが最も早いでしょう。カルテ情報もあるため、空きがあればスムーズに預けられます。それが難しい場合は、近隣のペットホテルに電話で空き状況と受け入れ条件を確認してみてください。即日対応可能なペットシッターを探せるマッチングサイトも活用できます。
- 多頭飼いですが、同じ部屋で預かってもらえますか?
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多くのペットホテルでは、多頭飼い向けの広い部屋を用意しています。予約時に「同室希望」と伝えれば、仲の良い子たちを一緒に過ごさせてくれることがほとんどです。ペットシッターであれば、自宅で普段通り一緒に過ごせるため、多頭飼いには特におすすめです。
- 散歩はどのくらいの頻度で行ってくれますか?
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施設によって異なりますが、「朝夕2回」が一般的です。ただし、ドッグランでの自由運動のみで、個別の散歩はオプション料金という施設もあります。普段の散歩習慣と大きく異なると愛犬のストレスになるため、予約時に散歩の頻度、時間、場所(屋内か屋外か)を必ず確認しておきましょう。
- 預けている間、様子を知る方法はありますか?
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施設によって対応はさまざまです。Webカメラでリアルタイムに様子を確認できるところ、SNSやアプリで写真・動画を定期的に送ってくれるところ、電話での報告に対応しているところなどがあります。「預けている間の様子が気になる」という方は、施設選びの際にこのポイントもチェックしておくとよいでしょう。
まとめ
大切な愛犬を預けるということは、その命を預けるということでもあります。料金の安さや利便性だけで選ぶのではなく、愛犬の性格、年齢、健康状態をいちばんよく知っている飼い主さん自身が、その子に合った環境を見極めることが何より大切です。
初めてのペットホテル利用は不安がつきものですが、事前の準備と情報収集をしっかり行えば、きっと安心して預けられる場所が見つかります。施設見学やお試し預かりを活用して、愛犬との相性を確かめてみてください。
もしペットホテルで断られてしまっても、それは「あなたの愛犬には、別の形のケアが合っている」というサインかもしれません。動物病院併設のホテル、ペットシッター、そしてしつけ改善。選択肢は一つではありません。この記事で得た知識を活用して、あなたと愛犬の両方が心から安心できる、信頼のパートナーを見つけてくださいね。

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