パソコンやスマホで「角」と入力したら、真ん中の縦棒が下に飛び出して表示された――そんな経験はありませんか?
この現象はパソコンの故障でも設定ミスでもありません。使っているフォントが新しいJIS規格に対応しているために起こる、正常な動作です。フォントを変えるだけで簡単に解決できます。
この記事では、「角」が突き出る原因をわかりやすく解説し、Windows・Mac・スマホそれぞれの対処法と、突き出る「角」を入力したいときの方法まで紹介します。
こんな場面で困っていませんか?
「角」の突き出し問題は、意外と多くの場面で遭遇します。
- 年賀状や招待状で「角田」「角谷」など名前の「角」が飛び出してバランスが悪い
- Wordで文書を作ったら、「三角形」「角度」の「角」だけ字形が違って見える
- Excelの表で「角」を含むセルだけ字が浮いている
- 戸籍謄本の字形に合わせて「突き出る角」を入力したいが、やり方がわからない
どれも原因は同じです。まずは「なぜ突き出るのか」を知っておくと、スムーズに対処できます。
「角」の縦棒が突き出るのはなぜ?
結論から言うと、2004年に国の文字規格(JIS)が改訂され、「角」のお手本となる字形が変わったことが原因です。
JIS規格の改訂で字形が変わった
日本で使われる漢字には「JIS規格」という国の基準があります。2004年の改訂(JIS X 0213:2004)で、「角」を含む168文字の漢字のデザインが変更されました。
| 規格 | 「角」の字形 | 特徴 |
|---|---|---|
| JIS90(旧規格) | 縦棒が収まる | 見慣れたスッキリした形 |
| JIS2004(新規格) | 縦棒が下に突き出る | 古典的な字形に近い形 |
どちらも「正しい角」であり、間違いではありません。新しい規格が、より伝統的な字形を採用しただけです。
フォントによって表示が異なる理由
突き出るかどうかは、使っているフォントがどちらの規格に基づいているかで決まります。
| フォント | 準拠規格 | 突き出し |
|---|---|---|
| メイリオ | JIS2004 | 突き出る |
| 游ゴシック・游明朝 | JIS2004 | 突き出る |
| MS ゴシック・MS 明朝(Vista以降) | JIS2004 | 突き出る |
| MS ゴシック・MS 明朝(XP以前) | JIS90 | 突き出ない |
| ヒラギノ角ゴ Pro(Nなし) | JIS90 | 突き出ない |
| ヒラギノ角ゴ ProN(N付き) | JIS2004 | 突き出る |
Windows Vista以降は、MS ゴシック・MS 明朝を含むほぼすべての標準フォントがJIS2004準拠に切り替わりました。そのため、現在のWindowsパソコンではどのフォントを使っても突き出る形の「角」が表示される可能性があります。
突き出ない「角」にする方法
現在のWindowsでは標準フォントがすべてJIS2004準拠のため、フォントを変えるだけでは解決しないケースがあります。最も確実なのはWordの字形設定を使う方法です。
方法1:WordのOpenType機能で直す(最も確実)
Word(2010以降・Microsoft 365)には、フォントの字形を切り替える機能があります。フォントはそのままで字形だけ変更できるため、一番おすすめの方法です。
修正したい「角」、または文書全体を選択します。
「ホーム」タブ →「フォント」グループの右下にある小さな矢印をクリックします。
「詳細設定」タブを選択し、「OpenTypeの機能」を探します。
「文字体裁」のプルダウンで「JIS90 フォーム」を選択します。見当たらない場合は「合字」を「なし」に設定してください。
この設定は文書ごとに保存されるため、ほかの文書に影響しません。
方法2:Macならフォント変更でも対応可能
Macでは「ヒラギノ角ゴ Pro」または「ヒラギノ明朝 Pro」に変更すれば解決します。これらはJIS90準拠で、突き出し問題は起きません。
方法3:Excel・PowerPointの場合
ExcelやPowerPointにはWordのような字形切り替え機能がありません。対処法として、一度メモ帳にコピー&ペーストしてフォント情報をリセットしてから貼り直す方法があります。
それでも直らない場合は、Wordで作成した文書をPDF化してから共有するのが確実です。
突き出る「角」を入力したいときの方法
逆に、「角田」さんの名前を正しく入力したいなど、あえて突き出る形の「角」を使いたい場面もあります。いくつかの方法を紹介します。
フォント変更で表示する方法(一番簡単)
通常の「角」を入力してから、その文字のフォントを変更するのが最もかんたんです。
Windowsに標準搭載されている以下の中国語フォントは、「角」が突き出る字形で表示されます。
- Microsoft YaHei(マイクロソフト ヤヘイ)
- SimSun(シムサン)
- NSimSun(エヌシムサン)
Windows IMEパッドで探す方法
「かく」と入力してスペースキーで変換し、「Tab」キーで候補を広げます。字形の異なる「角」が見つかればそれを選択しましょう。
見つからない場合は、タスクバーの日本語入力アイコンを右クリック →「IMEパッド」を開きます。「手書き」タブで「角」を描くと、異体字の候補が表示されます。
Mac(文字ビューア活用)
「Control + Command + スペース」で文字ビューアを起動し、「角」で検索します。突き出る字形を含む候補が一覧表示されるので、ダブルクリックで入力できます。
スマホ(ユーザー辞書登録)
スマホでは標準の変換候補に異体字が出ないことが多いため、ユーザー辞書への登録がおすすめです。
iPhoneの場合:「設定」→「一般」→「キーボード」→「ユーザ辞書」で、下のコピペ用文字を「単語」に貼り付け、「よみ」に「かく」と登録します。
Androidの場合:Gboardなどのキーボードアプリの辞書機能で同様に登録できます。

コピペ用「角」の異体字一覧
下の表から必要な文字をコピーしてお使いください。
| 文字 | 特徴 | Unicode | おもな用途 |
|---|---|---|---|
| 角 | 縦棒が収まる(標準) | U+89D2 | 日常の文書全般 |
| ⻆ | 部首「つのへん」の形 | U+2EC6 | 辞書・部首検索 |
縦棒が突き出る「角」はUnicodeの異体字セレクタ(U+89D2 + VS17等)で指定できますが、対応フォントが限られます。確実に突き出る形を表示したい場合は、前述のフォント変更(Microsoft YaHei・SimSunなど)が最も確実な方法です。
「角田」「角谷」「角野」など、戸籍に突き出る形の「角」が登録されている方もいます。役所の戸籍システムでは「戸籍統一文字」という特別な文字セットが使われており、一般のパソコンとは異なる字形が記録されていることがあります。ただし、申請書類では常用漢字の形で問題ないケースがほとんどです。心配な場合は窓口で確認してみてください。
よくある質問
- 「角」以外にも字形が変わった漢字はありますか?
-
はい、JIS2004への改訂で約168文字の字形が変更されました。身近な例では「葛」(葛飾区)、「祇」(祇園)、「辻」(道路の辻)などがあります。同じフォント変更の方法で対処できます。
- これは文字化けですか?
-
文字化けではありません。文字化けは文字コードのエラーで「角」が「‡pŽp」のように全く別の記号になる現象です。今回のケースは「角」と正しく認識されたうえで、表示される字形(デザイン)が異なるだけです。
- 印刷したら画面と違う字になっていました。どうすれば?
-
プリンターのフォント処理が影響している可能性があります。文書をPDF形式で保存し、「フォントの埋め込み」を有効にしてから印刷すると、画面通りの字形で出力されます。
- メールで送ったら相手の画面で字が変わっていました
-
相手のパソコンに同じフォントがインストールされていないと、別の字形で表示される場合があります。重要な書類はPDF形式で共有するのが確実です。
- 戸籍の「角」と普段使う「角」は違う字ですか?
-
意味も読みも同じ「角」です。戸籍システムでは歴史的な字形が使われることがあるため、見た目が異なる場合がありますが、別の漢字というわけではありません。申請書類は常用漢字の形で受理されるのが一般的です。
- 「角」の字形を統一するには組織全体でどうすればいい?
-
文書作成のガイドラインで使用フォントを統一するのが最も効果的です。「MS ゴシック」や「游ゴシック」など推奨フォントを決めておけば、書類ごとに字形がバラつくのを防げます。
まとめ
「角」の縦棒が突き出る現象のポイントをおさらいします。
- 原因はJIS規格の改訂:2004年に字形のお手本が変わり、新しいフォントは突き出る形を採用している
- Wordなら字形設定で解決:OpenType機能の「JIS90フォーム」で字形を切り替えられる
- Macはフォント変更でOK:ヒラギノ角ゴ「Pro」(Nなし)に変えれば突き出ない
- 突き出る「角」を入力したいとき:IMEパッド・文字ビューア・ユーザー辞書で対応できる
- 印刷や共有時のトラブル防止:PDF保存(フォント埋め込み)が確実
Wordをお使いなら、まずはOpenType機能の「JIS90フォーム」を試してみてください。一番確実な方法です。



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