中学受験を目指す際、算数の計算力は合否を左右する大きなカギとなります。正確さとスピードを兼ね備えた計算力が身についていれば、試験中に単純な計算問題に時間を取られることなく、複雑な文章題に集中できるというメリットがあります。こうした利点を得るためには、できるだけ早い段階から継続的にトレーニングを積むことが大切です。本記事では、低学年のうちから計算力を効果的に伸ばすポイントと、実際に成果を上げている学習教材について詳しく解説します。
なぜ計算力が中学受験で重要視されるのか
中学受験の算数では、計算問題が10点から20点ほど出題されることが珍しくありません。こうした問題は難問に比べれば比較的取り組みやすく、試験本番で確実に点数を稼ぐチャンスと言えるでしょう。もし計算問題で想定外のミスをして点を落としてしまうと、その分を複雑な文章題で取り返さなくてはなりません。しかし、文章題のほうがはるかに難度が高いケースが多いため、計算問題のミスは合否を左右するほど大きな痛手となります。
また、計算力は単に「速く答えを出すスキル」ではなく、根本的には「正確に解く力」が問われる能力です。いくら速さを重視しても、解答が間違っていては得点につながりません。多くの受験生が苦手意識を持つ文章問題でも、途中計算を間違えれば正しい答えに到達できないのです。さらに、簡単な計算を素早く終えられるようになると、試験全体の時間配分が改善され、残り時間を応用問題や難問へと振り向けることができます。
低学年から始める計算力養成のメリット
反復学習の価値を知ろう
計算力は、短期間で一気に伸びるものではなく、筋力トレーニングと同様に毎日の反復が大切です。特に小学1年生から3年生の段階では、以下のようなアプローチを踏むことが効果的でしょう。
- 1) 最初は正確性と基礎固めを重視し、解答までのプロセスを丁寧に確認する
- 2) 繰り返し同じ問題に挑戦して、答えを自然と記憶できるレベルまでトレーニングする
- 3) 正確性が定着してきたら、時間を測ってスピードアップを図る
このように段階的に学習を進めることで、子どもが「自分でもできる」という自信を持ちやすくなり、継続学習のモチベーションにもつながります。
家庭学習でも十分に鍛えられる計算力
「公文」や「そろばん」といった習い事に通わなくても、家庭で十分に計算力を鍛えることは可能です。ただし、ただ漫然と問題を解かせているだけでは成果が出にくいのも事実。効果的な学習法としては、毎日同じ時間帯に学習を行う、問題数や目標時間を定めるなど、具体的な目標設定が欠かせません。例えば1日10分の計算練習を決めて、必ず続けるだけでも習慣化の効果は大きく現れます。
また、「10の合成」など、低学年で習う基本的な足し算や引き算のパターンをしっかりマスターしておくと、中学受験で必要となる複雑な計算にも対応しやすくなります。大量の問題に触れれば、自然と計算パターンを覚えていくため、徐々に頭で考える時間が短縮され、スピードと正確性の両面で成長を実感できるでしょう。
公文とそろばんの特長を理解しよう
計算力向上の手段として代表的なものに「公文」と「そろばん」があります。どちらも計算力を高める有効な方法ですが、それぞれに異なる特徴があります。
公文の魅力とは?
- パターン化された問題が多く、同じタイプの計算を繰り返すうちに答えを暗記できる
- 日々の宿題や時間計測を通してスピードと精度を同時に鍛えられる
- 教材が段階的に難しくなるため、飛び級などにも積極的に挑戦しやすい
公文では、学習者のレベルに合わせて最適な教材が提供されるため、苦手分野を重点的に補強したい場合にも便利です。さらに「量」をこなすことを重視するので、大量の宿題をこなす意欲があれば、そのぶんだけ速く学力を伸ばせる可能性があります。
そろばんで培う暗算力
- そろばんを使いこなすことで暗算能力が飛躍的にアップする
- 指先を使うため、集中力や手先の器用さも同時に鍛えられる
- 大会や検定などの機会があり、試験慣れや本番力を高めやすい
ただし、そろばんには「子どもとの相性」が大きく影響すると言われています。興味を持ちにくい子にとっては練習が苦痛になるかもしれません。一方でハマる子には、目に見える上達度や段位などの目標が明確なため、高いモチベーションを維持しやすい利点があります。結果を出すまでに2年程度の継続が必要とも言われますが、その分しっかりと暗算力と計算スピードが身につきます。
習い事の本質は「継続的な努力」
公文やそろばんに通っている子は、一見すると習い事自体が計算力を伸ばしてくれるように思えますが、その裏側には「毎日こなす宿題」や「コツコツと積み重ねる練習」があります。つまり、教室に通うことよりも、継続的な取り組み姿勢こそが計算力アップの源泉と言えます。家庭学習でも同じことができれば、同様の成果を得ることは十分可能です。
中学受験生に評判の計算力アップ教材
実際に多くの合格者が使っている問題集をいくつか紹介します。家庭学習で無理なく使えるものが中心ですので、お子さんの状況に合わせて選んでみてください。
日能研「マスター1095題」
- 日能研が作成しており、中学受験に直結した内容
- いろいろな種類の計算問題がミックスされ、思考力も自然に鍛えられる
- 学年別に構成されているため、進度に合わせた取り組みがしやすい
- 100マス計算に慣れている子には最初は戸惑うかもしれないが、複数のパターンに触れることで柔軟な対応力を養える
七田の算数プリント
- 小学1年生など、比較的年齢が低い子にも最適
- 基礎問題を大量に解くスタイルで、土台作りをしっかり固められる
- 新学習指導要領にも対応しており、思考力を高める問題も取り入れられている
低学年の段階で「量」の学習を行う際には特におすすめです。単なる計算だけでなく、図形や文章問題にも少しずつ触れるため、飽きずに取り組める工夫がされています。
陰山メソッド 徹底反復 百ます計算
- 最初はシンプルなところからスタートできるので、初心者でも安心
- 同じページを何度も使用する仕組みになっており、成長が目に見えやすい
- 「前回何秒」「今回は何秒」というようにタイムを比較しながら取り組むとモチベーションが上がる
- 足し算や引き算の答えを反射的に出せるようになるまで反復できる
百ます計算は計算力強化の定番となっており、低学年から始めるにはうってつけです。慣れないうちは時間がかかりますが、続けるうちにスピードの向上を実感できます。
計算力を高めるための実践的アドバイス
計算力が高まるまでには一定の時間と努力が必要です。最初はなかなか成果を感じにくいかもしれませんが、しっかりと基本を身につけ、毎日コツコツ続けることが遠回りのようでいて最大の近道です。
- 無理のない難易度から始める:簡単すぎる問題で退屈しないようにしつつ、難しすぎて挫折しないレベルを選ぶ
- 定期的な進捗チェックをする:計算の精度とスピードを記録し、成長を実感できるように工夫する
- 短時間でも毎日続ける:10分や15分でもいいので、習慣化することで着実に実力が身についていく
- 1冊をやりきる習慣をつける:次々と問題集を変えるよりも、1つの教材をじっくり使い込むほうが定着しやすい
- 質より量を重視する段階も必要:まずは大量に問題をこなして、計算パターンを体に覚え込ませる
まとめ
中学受験において計算力の差は、大きなアドバンテージにもなり得ます。特に低学年のうちから正確かつ素早く計算できる基礎力を養っておくことで、本番の算数試験をより有利に進められるようになります。公文やそろばんといった外部の習い事を活用することも効果的ですが、最終的にはお子さんがどれだけ継続して学習に取り組めるかが最も重要です。
難易度の高い問題を解く前に、まずは計算の基礎をしっかりと固めること。ここでの積み重ねが、後に大きなリターンとなって返ってきます。毎日の学習習慣を定着させ、少しずつで構わないのでステップアップを続けましょう。時間はかかるかもしれませんが、努力は必ず報われます。中学受験に挑むお子さんの可能性を広げるためにも、今からぜひ計算力の強化を始めてみてください。
コメント