10月のスポーツの日、テレビで大学生ランナーがたすきをつなぐ姿を見て、「出雲全日本大学選抜駅伝競走って、どんな大会なんだろう」と気になった方もいるのではないでしょうか。正式名称が長いぶん、箱根駅伝との関係や、出場校がどう決まるのかまでは意外と知られていません。
この記事では、通称「出雲駅伝」の概要と名前の由来、6区間のコース、出場校が決まる仕組み、2026年(第38回)大会の出場校と結果、歴代優勝校、現地で観戦するときのコツまでをまとめました。
出雲駅伝は、島根県出雲市を舞台に6区間45.1kmで争う大学駅伝です。大学三大駅伝のなかで最も距離が短く、毎年この大会から大学駅伝のシーズンが始まります。
出雲全日本大学選抜駅伝競走とは?通称「出雲駅伝」の基本
出雲全日本大学選抜駅伝競走は、毎年10月のスポーツの日(10月の第2月曜日)に島根県出雲市で開かれる大学駅伝です。出雲大社の正面鳥居前をスタートし、出雲ドーム前でゴールする6区間45.1kmのコースで、全国から選ばれた大学チームが順位を競います。
全国の地区学生陸上競技連盟から選ばれた大学に加えて、海外からの招待チームも同じコースを走るのが大きな特徴です。まずは基本データを表で確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 出雲全日本大学選抜駅伝競走 |
| 通称 | 出雲駅伝 |
| 開催日 | 毎年10月のスポーツの日(2026年は10月12日) |
| 開催地 | 島根県出雲市 |
| コース | 出雲大社正面鳥居前 → 出雲ドーム前 |
| 区間・距離 | 6区間・合計45.1km |
| 第1回大会 | 1989年(平成元年) |
正式名称と「出雲駅伝」という愛称の由来
第1回大会が開かれたのは1989年(平成元年)です。当時は「平成記念出雲くにびき大学招待クロスカントリーリレーフェスティバル」という、今よりさらに長い名前でした。「くにびき」は、出雲の神様が遠くの土地に綱をかけて引き寄せたという『出雲国風土記』の国引き神話にちなむ言葉です。
その後、第6回大会から現在の「出雲全日本大学選抜駅伝競走」という名称になりました。とはいえ正式名称は呼びにくいため、第19回大会(2007年)からは「出雲駅伝」が愛称として使われています。ニュースや中継で耳にする「出雲駅伝」は、この大会の通称というわけです。
大学三大駅伝のなかでの位置づけ
出雲駅伝は、11月の全日本大学駅伝、1月の箱根駅伝と並ぶ「大学三大駅伝」のひとつです。シーズンの最初に行われるため、三大駅伝の開幕戦とも呼ばれます。3つの大会を比べると、距離の違いがよくわかります。
| 大会 | 時期 | 区間数 | 総距離 | 出場できる大学 |
|---|---|---|---|---|
| 出雲駅伝 | 10月 | 6区間 | 45.1km | 全国の地区代表+招待チーム |
| 全日本大学駅伝 | 11月 | 8区間 | 106.8km | 全国の地区代表 |
| 箱根駅伝 | 1月2日・3日 | 10区間 | 217.1km | 関東の大学 |
箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟が主催する大会なので、出場できるのは関東の大学に限られます。一方、出雲駅伝と全日本大学駅伝には全国の大学が出場できます。出雲駅伝は1区間あたりの距離が短く、スピードのある選手がそろったチームが力を発揮しやすいことから「スピード駅伝」と呼ばれています。
出雲駅伝のコースと6区間の距離・特徴
出雲駅伝のコースは、出雲大社の正面鳥居前から出雲ドーム前まで、出雲市内をぐるりと巡るように6つの区間をつなぎます。最も短い2区は5.8km、最も長い6区は10.2kmで、どの区間も10km前後までに収まっているのが特徴です。
区間別の距離と中継地点
| 区間 | 距離 | スタート → 中継地点 |
|---|---|---|
| 1区 | 8.0km | 出雲大社正面鳥居前 → 出雲市役所・JAしまね前 |
| 2区 | 5.8km | 出雲市役所・JAしまね前 → ゆめタウン斐川前 |
| 3区 | 8.5km | ゆめタウン斐川前 → JAラピタひらた店前 |
| 4区 | 6.2km | JAラピタひらた店前 → 鳶巣コミュニティセンター前 |
| 5区 | 6.4km | 鳶巣コミュニティセンター前 → 島根ワイナリー前 |
| 6区 | 10.2km | 島根ワイナリー前 → 出雲ドーム前(ゴール) |
区間の距離や中継地点は、大会ごとに見直されることがあります。現地で応援する場合は、その年の大会公式サイトでコース図を確認しておくと安心です。

各区間の役割と見どころ
6区間しかない出雲駅伝では、どの区間にどの選手を置くかという「区間配置」が勝敗に直結します。各区間には、おおむね次のような役割があります。
- 1区(8.0km):全チームが一斉にスタートする区間。集団の中での位置取りが、その後の流れを左右します
- 2区(5.8km):6区間で最も短いスピード区間。わずかな距離でも順位が入れ替わりやすい区間です
- 3区(8.5km):1区より長い区間で、主力の選手が置かれることが多く、先頭争いが動きやすい区間です
- 4区(6.2km)・5区(6.4km):6km台の区間が続きます。ここで差を詰められるかに、チームの層の厚さが表れます
- 6区(10.2km):最長のアンカー区間。10kmを超える距離を走り切る力が求められ、最後に順位が入れ替わることもあります
1区間が5〜10kmと短いため、ひとつの失速を取り返すための距離が少ないのも出雲駅伝ならではです。20km前後の区間が続く箱根駅伝のように、後半の区間で大きな差をひっくり返すのは簡単ではありません。6人全員が大きく崩れずに走れるかどうかが、勝負の分かれ目になります。
出雲駅伝の出場校はどう決まる?出場枠の仕組み
出雲駅伝に出場できるのは、全国の各地区の学生陸上競技連盟(地区学連)から選ばれた大学と、海外からの招待チームです。予選会を一本化して選ぶのではなく、地区ごとに出場枠と選び方が決まっています。
関東の大学は箱根駅伝の成績で決まる
関東学生陸上競技連盟の代表は、おおむねその年の1月に行われた箱根駅伝の成績をもとに、上位校が選ばれています。2026年大会では、関東から10校が出場しました。
つまり、お正月の箱根駅伝は、その年の秋に出雲駅伝へ出られるかどうかを決めるレースでもあります。箱根駅伝で上位に入った強豪校がそろって出場するため、出雲駅伝の結果は、その後の全日本大学駅伝や翌年の箱根駅伝を占う材料としても注目されます。
全国の地区代表と海外からの招待チーム
関東以外では、北海道・東北・北信越・東海・関西・中国四国・九州の各地区学連が、選考会などを通じて代表を決めます。地区によっては、ひとつの大学ではなく複数の大学の選手で組んだ「学連選抜」チームが出場することもあります。
海外からは、アメリカの「アイビーリーグ選抜」が招待されています。アイビーリーグは、ハーバード大学やイェール大学などアメリカ東部の8つの大学でつくるリーグです。国内の大学と同じコースを、海外の学生ランナーが走る姿を見られるのは出雲駅伝ならではの光景です。
- 関東:箱根駅伝の上位校が中心(2026年は10校)
- 関東以外:北海道・東北・北信越・東海・関西・中国四国・九州の各地区学連の代表
- 海外:アメリカのアイビーリーグ選抜(招待)
2026年(第38回)出雲駅伝の日程・出場校・テレビ中継
2026年の第38回大会は、10月12日(月・祝)に開催されました。出場したのは、全国の地区代表と招待チームをあわせた21チームです。日程と出場校、テレビ中継を順に整理します。
日程とスタート時刻
スタートは13時05分、場所は出雲大社の正面鳥居前です。6区間45.1kmを走り、トップのチームは2時間ほどで出雲ドーム前のゴールに戻ってきます。優勝タイムが2時間7〜9分台だった近年の大会では、15時15分前後がゴールの目安でした。2026年は10月10日(土)からの3連休の最終日にあたります。
2026年大会の出場校一覧
| 地区 | 出場校 |
|---|---|
| 北海道 | 札幌学院大学、北海道大学 |
| 東北 | 東北学連選抜 |
| 関東 | 青山学院大学、國學院大學、順天堂大学、早稲田大学、中央大学、駒澤大学、城西大学、創価大学、帝京大学、日本大学 |
| 北信越 | 信州大学、金沢学院大学 |
| 東海 | 皇學館大学 |
| 関西 | 関西大学、京都産業大学 |
| 中国四国 | 広島経済大学 |
| 九州 | 第一工科大学 |
| 招待 | アイビーリーグ選抜 |
北信越の金沢学院大学は、今回が初出場です。
テレビ中継で見る方法
出雲駅伝は、フジテレビ系列で全国に生中継されています(島根・鳥取の地元局はTSKさんいん中央テレビ)。2025年の第37回大会は13時00分から15時25分までの放送で、スタート前の様子からゴールまでを通して見られました。
放送時間は年によって変わることがあるので、翌年以降に観戦するときは、直前にテレビ欄や番組表で確認しておきましょう。現地で応援するときも、スマートフォンで中継を確認しながらだと、目の前を通過するチームの順位がわかって楽しみが増します。
2026年大会の結果
第38回大会は、早稲田大学が2時間05分56秒の大会新記録で優勝しました。早稲田大学の優勝は16年ぶり3度目です。2位は大会3連覇を狙った國學院大學、3位には招待チームのアイビーリーグ選抜が入りました。
| 順位 | チーム | タイム |
|---|---|---|
| 1位 | 早稲田大学 | 2時間05分56秒(大会新) |
| 2位 | 國學院大學 | 2時間06分54秒 |
| 3位 | アイビーリーグ選抜 | 2時間07分24秒 |
| 4位 | 順天堂大学 | 2時間07分33秒 |
| 5位 | 中央大学 | 2時間07分36秒 |
早稲田大学は2区で7位からトップに立ち、4区と5区では区間新記録をマークして、6区のアンカーが1位でゴールテープを切りました。5位の中央大学までが、それまでの大会記録だった2時間07分51秒を上回っています。全体として記録が大きく伸びた、ハイペースの大会でした。
出雲駅伝の歴代優勝校と大会記録
出雲駅伝では、時代ごとに強いチームが入れ替わってきました。ここでは2014年以降の優勝校と、大会記録・最多優勝校をまとめます。
近年の優勝校
| 開催年 | 回 | 優勝校 |
|---|---|---|
| 2014年 | 第26回 | 台風接近のため中止 |
| 2015年 | 第27回 | 青山学院大学 |
| 2016年 | 第28回 | 青山学院大学 |
| 2017年 | 第29回 | 東海大学 |
| 2018年 | 第30回 | 青山学院大学 |
| 2019年 | 第31回 | 國學院大學 |
| 2020年 | 第32回 | 新型コロナウイルスの影響で中止 |
| 2021年 | 第33回 | 東京国際大学 |
| 2022年 | 第34回 | 駒澤大学 |
| 2023年 | 第35回 | 駒澤大学 |
| 2024年 | 第36回 | 國學院大學 |
| 2025年 | 第37回 | 國學院大學 |
| 2026年 | 第38回 | 早稲田大学 |
2021年の東京国際大学は、初出場での初優勝でした。2025年は國學院大學が2時間09分12秒で前年に続いて優勝し、2位に早稲田大学、3位に創価大学が入っています。
大会記録と最多優勝校
現在の大会記録は、2026年の第38回大会で早稲田大学が出した2時間05分56秒です。それまでの記録は2023年の第35回大会で駒澤大学が出した2時間07分51秒で、一気に1分55秒縮めました。
最も多く優勝しているのは山梨学院大学で、第3回から第7回までの5連覇を含めて6回の優勝を記録しています。優勝回数の数え方は資料によって少しずつ異なりますが、最多が山梨学院大学という点はおおむね一致しています。
出雲駅伝を現地で観戦するときのコツ
出雲駅伝は、コース沿道での応援にチケットは要りません。テレビとはまた違う、選手の息づかいや足音を間近で感じられるのが現地観戦の魅力です。ただし1か所で選手を見られるのはほんの一瞬なので、場所選びと事前の準備がポイントになります。
応援しやすい場所と回り方
人気が高いのは、スタート地点の出雲大社正面鳥居前と、ゴールの出雲ドーム周辺です。スタートでは全チームが一斉に走り出す迫力を、ゴールでは順位が決まる瞬間を見届けられます。そのぶん混み合うので、早めに場所を確保しておくと安心です。
たすきの受け渡しを見たいなら、中継所のそばもおすすめです。選手が区間を終えて次の走者にたすきを渡す場面は、駅伝ならではの見どころです。ただ、コースは市内をぐるりと回るため、複数の地点を移動して見るのは簡単ではありません。応援したい区間を1〜2か所に絞っておくと、慌てずに楽しめます。
家族や知人が出場していて差し入れを考えている場合は、選手の体調管理の邪魔にならない渡し方を知っておくと安心です。

交通規制と混雑への備え
大会当日は、選手が通過する時間帯を中心にコース周辺で交通規制が行われます。車で移動すると、規制のために思うように動けないことがあります。
移動には、JRや一畑電車などの公共交通機関を使うのが無難です。開催日はスポーツの日の3連休と重なるため、出雲大社の参拝客や観光客も多く、駐車場や飲食店が混み合いがちです。10月の山陰は日中は過ごしやすくても、沿道で長く待つと体が冷えることがあるので、羽織るものを1枚持っていくと安心です。
出雲大社や出雲そばとあわせて楽しむ
せっかく出雲まで足を運ぶなら、観光もあわせて楽しみたいところです。スタート地点の出雲大社は、縁結びの神様として知られる大国主大神をまつる神社です。旧暦10月には全国の神様が出雲に集まるとされ、出雲地方ではこの月を「神在月」と呼びます。

食事なら、出雲の名物として知られる出雲そばがおすすめです。丸い器を重ねた「割子そば」が代表的な食べ方で、10月から11月にかけては新そばが出回り始める季節でもあります。レース観戦のあとに、香りのよい新そばを味わうのも出雲駅伝ならではの楽しみ方です。


出雲全日本大学選抜駅伝競走のよくある質問
- 出雲駅伝は雨でも開催されますか
-
雨が降っても、基本的にはレースは行われます。ただし台風などで安全な運営が難しい場合は中止になることがあり、2014年の第26回大会は台風の接近で中止されました。2020年の第32回大会も、新型コロナウイルスの影響で中止になっています。
- 出雲駅伝と箱根駅伝の違いは何ですか
-
大きな違いは距離と出場校です。出雲駅伝は6区間45.1kmで全国の大学と海外の招待チームが出場し、箱根駅伝は10区間217.1kmを2日間かけて関東の大学が走ります。出雲駅伝の上位校は、多くがその年の箱根駅伝の上位校です。
- 出雲駅伝の総距離はフルマラソンより短いのですか
-
総距離の45.1kmは、フルマラソンの42.195kmより約3km長い距離です。ただし6人でつなぐので、1人あたりの距離は5.8kmから10.2kmにとどまります。三大駅伝のなかでは最も短い大会です。
- 沿道で応援するのにチケットは必要ですか
-
コースの沿道で応援するのにチケットは必要ありません。誰でも自由に応援できますが、当日は交通規制や混雑があるため、公共交通機関を使い、時間に余裕を持って出かけるのがおすすめです。
- 出雲駅伝の次の大学駅伝はいつですか
-
次は11月の全日本大学駅伝です。2026年は11月1日(日)に、愛知県名古屋市の熱田神宮から三重県伊勢市の伊勢神宮までの8区間106.8kmで行われる予定です。そのあと、年明けの1月2日・3日に箱根駅伝が続きます。
まとめ
出雲全日本大学選抜駅伝競走は、毎年10月のスポーツの日に島根県出雲市で行われる大学駅伝です。通称は「出雲駅伝」で、出雲大社の正面鳥居前から出雲ドーム前までの6区間45.1kmを走ります。
- 大学三大駅伝の開幕戦で、最も距離が短い「スピード駅伝」
- 関東は箱根駅伝の上位校が中心で、ほかは各地区学連の代表、さらに海外のアイビーリーグ選抜が出場する
- 1区間が5.8〜10.2kmと短く、6人全員が崩れずに走れるかが勝負を分ける
- 沿道の応援は無料。交通規制と3連休の混雑を見込んで、公共交通機関で出かけると安心
出雲駅伝の結果は、11月の全日本大学駅伝、そして1月の箱根駅伝へと続く大学駅伝シーズンの行方を占う手がかりになります。コースや区間の特徴を知っておくと、来年のスポーツの日の中継がいっそう楽しめるはずです。

コメント