「今日学校でね、あれがあってさ、それがすっごく面白かったんだ！」というように、子どもの話が曖昧で何を伝えたいのか分かりづらいと感じることはありませんか？
実は、小学生のうちはまだ論理的思考や言語化の力が発達段階にあり、「説明下手」は珍しいことではありません。
しかし、適切な練習やサポートを行えば、子どもの説明力は驚くほど伸びていきます。
ここでは、小学生の説明力をぐんと高めるための具体的な方法や、親ができるサポート術を詳しく解説します。親子で一緒に取り組み、分かりやすく伝える力を育みましょう。
子どもの説明力が足りないと感じる理由
最初に、小学生が上手に説明できない背景について考えてみましょう。子どもの話を聞いていて、何のことを言っているのか理解するのに時間がかかった経験がある方は多いはずです。どうしてこうした「説明下手」が起こるのか、よくある特徴と原因を整理してみます。
よく見られる「説明下手」の特徴
- 内容をまとめられず、「すごかった！」など感想中心で終わる
- 話す順番がバラバラで、出来事が時系列に沿っていない
- 主語を省略し、「誰が何をしたのか」が不明瞭
- 「いつ」「どこで」などの前提情報が抜け落ちたまま話が進む
- 「それ」「あれ」といった曖昧な指示語が多く、具体的な描写が少ない
- 途中で話が脱線して結論にたどり着かない
私自身の子どもも、話し始めた段階で「誰が」や「どこで」の情報がすっぽり抜けていることがよくあります。小学6年生になっても「山田くんが…だからさ！」と話を進めるので、どこでの話なのかを理解するまでに何度も質問することが必要です。
小学生が説明を苦手としてしまう背景
- 思考と言語の発達段階：論理的に考えたり順序立てて説明する力が未成熟
- 自己中心性：自分が知っていることは相手も当然知っていると思い込みやすい
- 語彙力不足：表現したいことに対して、使える言葉がまだ少ない
- 経験不足：人に説明する機会や練習の場面があまりない
- コミュニケーションモデルの欠如：具体的な「伝え方」のお手本を学ぶ機会が少ない
こうした要因を把握しておくと、子どもの説明力を伸ばすためには何が必要かが見えてきます。
説明力を育てるメリットとは？
「話が分かりやすい子」は、学校生活や将来の社会生活においても大きな強みを発揮します。なぜ説明力がそこまで重要なのか、その理由を掘り下げてみましょう。
コミュニケーションの土台づくり
説明力はコミュニケーションの核となる能力です。自分の思いを正確に伝えられれば、友人や家族、先生とのやり取りがスムーズになります。また、話が伝わらず誤解されるリスクを減らすことにもつながります。さらに、相手が理解しやすい話し方を心がけることで、相手の共感や関心を引き出しやすくなるのも大きなメリットです。
学校や社会で必要とされる力
説明力は学習面でも職業面でも必須のスキルといえます。授業での発表や作文、グループワークなど、どの教科でも活かされる場面は多いです。社会に出てからも、プレゼンテーションや交渉、チーム内のコミュニケーションなどで「うまく説明できる力」は高い評価を得やすくなります。小学生のうちから意識して訓練を続けることで、将来の糧をしっかり育てることができるのです。
小学生の説明力を高める実践的なトレーニング
説明力を伸ばすためには、日常生活の中で少しずつ練習することが大切です。ここでは、小学生にも取り組みやすい方法をいくつか紹介します。
5W1Hを上手に活用する
説明力アップの最初のステップが「5W1H」を意識することです。
- When（いつ）
- Where（どこで）
- Who（誰が）
- What（何を）
- Why（なぜ）
- How（どのように）
たとえば、学校で起こった出来事を話すときにも「今日の休み時間（When）に、校庭（Where）で、クラスの山田くん（Who）がサッカーをしていた（What）ら、転んでけがをしちゃったから（Why）、みんなで保健室に連れていった（How）」といった流れを意識してみると、一気に分かりやすくなります。
時系列を意識するための順番づけトレーニング
子どもが混乱しやすいポイントのひとつが「順序」の整理です。自分が見聞きした出来事を、そのまま思いついた順に話してしまうと聞き手は理解しにくくなります。そこで、有効なのが「時系列」を意識したトレーニングです。
- 出来事をカードに書いて、最初から最後まで正しく並べ替える
- 「最初に」「次に」「そのあとで」「最後に」といったフレーズを積極的に使う
- マンガやイラストで場面の順番を入れ替え、正しく直してみる
こうした練習を通じて、子どもは自然と出来事の流れを頭の中で整理する習慣を身につけます。
書く力を伸ばして思考を整理する
話すだけでなく「書く習慣」をつけることも、説明力向上に大きく貢献します。文章化することで、自分の考えを整理しやすくなるからです。
- 簡単な日記からスタートし、5W1Hを意識して書いてみる
- 読んだ絵本や漫画のあらすじをまとめる
- 作文や小レポートなど、テーマに沿って書く量を少しずつ増やす
- 親戚に手紙を書くなど、実際に誰かに伝える目的を設定する
文章が書けるようになると、口頭での説明でも要点を素早くまとめられるようになるので一石二鳥です。
親ができるサポート術
子どもの説明力を伸ばすためには、家庭でのサポートが欠かせません。ここでは、保護者が心がけておきたいポイントを紹介します。
聞き手としての姿勢を整える
まずは、子どもが話しやすい環境を作ることが大切です。スマホを見ながらだったり、テレビをつけっぱなしだと「話をちゃんと聞いてもらえていない」と感じてしまいます。以下の点に注意してみましょう。
- 視線を合わせ、相手に向き合う姿勢をとる
- 焦らず、子どもが言葉を探しているときは待ってあげる
- 途中で口を挟まず、最後まで話を聞く
- うなずきや笑顔で「聞いているよ」というサインを送る
子どもに「自分の話が大事にされている」と感じさせることで、積極的に説明しようとする意欲が高まります。
効果的に質問を投げかける
子どもが話し終わった後の「質問の仕方」も重要です。質問を通じて、子どもが意識していなかった要素を自然と補完することができます。
- オープンな質問：「どう思った？」「何が一番楽しかった？」など
- 具体化を促す質問：「もう少し詳しく説明してくれる？」
- 時系列を確認する質問：「それはいつ起きたの？」「その前に何かあったの？」
- 5W1Hに関する質問：抜け落ちている情報をピンポイントで尋ねる
- 「なぜ」を掘り下げる：「どうしてそうなったの？」「どんな理由でそう考えたの？」
ただし、あまりに深追いしすぎると「取り調べ」のようになってしまうので、子どものペースを見極めることが大切です。
成長を加速させるほめ方
子どものモチベーションを保ち、さらに伸ばすためには「ほめ方」にも工夫が必要です。
- 具体的な点をほめる：「誰が・いつ・どこでの情報がちゃんとあったから分かりやすかったよ」
- 過程を評価する：「すごく考えて話してくれたんだね」「前よりスムーズに説明できたね」
- 前との違いを伝える：「前は主語が抜けてたけど、今回はしっかり入ってたから助かったよ」
こうした声かけをすることで、子どもは「もっと分かりやすく話そう」という意欲を高めてくれます。
日常生活に溶け込む練習アイディア
説明力を上げるトレーニングは、特別な教材や教室がなくても十分に行えます。家庭や日常の場面で取り組める方法をいくつか紹介します。
日常会話を通じて自然に鍛える
- 食事中に「今日学校であったこと、教えて！」と話す機会を作る
- テレビ番組やYouTube動画を見た後、その内容を要約してもらう
- 読んだ本のあらすじや感想を共有する
- 週末の予定を子どもに説明してもらう
- 一日の振り返りを家族全員で話し合う
自然な会話の中で「もう少し順番があると分かりやすいかもね」など、やんわりアドバイスを加えていくと、「説明下手」を改善していく効果が高まります。
発達段階に合わせた練習を意識する
小学生といっても1年生から6年生まで幅広いです。それぞれの年齢や発達に合わせたアプローチをすることで、無理なく着実に力を伸ばしていけます。
- 低学年（1～2年生）：
絵日記や短文での練習から始める。5W1Hはすべてを細かく言わなくてもOK。イラストや写真を使って伝えるのもおすすめ。 - 中学年（3～4年生）：
時系列を意識しながら、もう少し長めの文章や話をまとめる練習をする。原因と結果をセットで伝えることも取り入れてみる。 - 高学年（5～6年生）：
より論理的に説明する力を身につける。自分の考えや理由を付け加えて話したり、相手の立場を考えながら構成を考える練習を積む。
まとめ
小学生の説明力を伸ばすためには、子ども自身の努力だけでなく、保護者の関わり方が重要です。
まずは5W1Hを意識し、時系列を整理しながら話す練習を続けることで、子どもは格段に「説明上手」に近づきます。
親としては、子どもの話を最後まで聞き、ポイントを押さえた質問でサポートすることが大切です。具体的にほめることで自信を育み、さらに積極的に話そうとする姿勢を引き出せます。
また、家庭の会話や身近な出来事がトレーニングの場になるのも大きなメリット。お互いの話に耳を傾け合う中で、親子のコミュニケーションもより深まっていくでしょう。
「今日あったことを分かりやすく伝えたい」という気持ちを育てることは、将来的にプレゼン能力や交渉力、そして人間関係を築く力にもつながっていきます。小学生のうちから意識的に説明力を高め、子どもの未来をさらに豊かにしていきましょう。
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