「ヒグマって実際どれくらい大きいの?」「カムチャッカオオヒグマのほうが大きいって本当?」と気になったことはありませんか。ニュースでヒグマの出没を見かける機会が増え、その体の大きさや住んでいる場所が気になる人も多いはずです。
この記事では、北海道のヒグマの体長・体重の目安と、日本で記録された大きな個体を紹介します。カムチャッカオオヒグマや世界最大級のコディアックヒグマとの比較、日本での生息地もまとめました。
結論からいうと、北海道のヒグマは大きなオスで体長約2m・体重400kgほどになります。カムチャッカオオヒグマはそれよりひと回り大きい亜種で、絶滅はしておらず、今もロシアのカムチャツカ半島などで暮らしています。
ヒグマの大きさは?オス・メスの体長と体重の目安
北海道に住むヒグマは、日本の陸にすむ野生動物のなかで最も大きな動物です。札幌市の資料では、大人のオスで体長約2.0m、体重150〜400kgほどとされています。
メスはひと回り小さく、体長約1.5m、体重100〜200kgほどです。同じヒグマでも、オスとメスで体重が2倍近く違うことも珍しくありません。
ここでいう体長は、鼻先から尾の付け根までの長さのことです。後ろ足で立ち上がると、大きなオスは大人の背丈をゆうに超える高さになります。
ずんぐりした体つきに反して、動きはとても俊敏です。北海道の自治体の啓発資料では、走る速さは時速50km前後と紹介されています。100mに直すと7秒ほどで、人が走って逃げ切れる速さではありません。

ツキノワグマと比べるとどれくらい大きい?
本州や四国にいるツキノワグマと並べると、ヒグマの大きさがよくわかります。代表的な目安を表にまとめました。
| 項目 | ヒグマ(北海道) | ツキノワグマ(本州・四国) |
|---|---|---|
| 体長(オス) | 約2.0m | 約1.1〜1.3m |
| 体重(オス) | 約150〜400kg | 約60〜130kg |
| 体重(メス) | 約100〜200kg | 約40〜80kg |
| 毛の色 | 茶色〜黒っぽい茶色 | 黒(胸に白い三日月模様) |
体重で比べると、大きなヒグマのオスはツキノワグマのオスの3倍ほどになります。ヒグマの毛色には個体差があり、黒っぽい個体もいるため、色だけで見分けるのは難しいこともあります。
クマの前足がどれほど力強いのかは、ほかの動物の握力と比べたこちらの記事で紹介しています。

秋に体重が増えて冬眠に備える
ヒグマは植物も動物も食べる雑食性です。春から秋にかけて、その時期に手に入りやすいものをたくさん食べて、大きな体を保っています。
春は草の新芽、夏はアリなどの昆虫や果実、秋はドングリやヤマブドウといった木の実がおもな食べ物です。地域によっては、川をさかのぼるサケやマスを食べることもあります。
なかでも秋は、冬眠に向けて脂肪をたくわえる大事な時期です。同じ個体でも春と秋では体重がかなり変わるため、捕獲された時期によって記録の数字に差が出ます。
冬眠中のクマが何か月眠り続けるのか、ほかの冬眠する動物とあわせて知りたい人はこちらをどうぞ。

日本で記録された大きなヒグマ
大きなヒグマの記録として、よく知られる例を2つ紹介します。どちらも北海道北部の日本海側にある苫前町(とままえちょう)の個体です。
1つめは、1915年(大正4年)の「三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)」を起こした個体です。開拓民の集落が襲われ、7人が亡くなった国内最悪の獣害事件として知られています。記録では、このヒグマは体重340kg、身の丈2.7mだったとされます。
2つめは、2025年に同じ苫前町で箱わなにかかった個体です。体長約1.9m、体重380kgと報じられました。捕獲の前には、設置した箱わなを押し倒す姿がセンサーカメラに写っていたといいます。
一方で、ネット上では「日本最大は520kg」「500kg超えのヒグマがいた」といった数字も見かけます。ただ、捕獲の場所や日付、計測方法まで確かめられる記録は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
札幌市が示す目安でも、オスの上限は400kg前後です。500kgを超える個体が絶対にいないとは言い切れませんが、北海道のヒグマとしてはかなり例外的な大きさと考えてよいでしょう。
カムチャッカオオヒグマの大きさ|日本のヒグマとの違い
カムチャッカオオヒグマ(カムチャツカオオヒグマ)は、ロシア極東のカムチャツカ半島を中心に暮らすヒグマの亜種です。ユーラシア大陸のヒグマでは最大級の体格をもち、北海道のヒグマよりひと回り大きくなります。
海外の資料では、大きなオスは体長2.4mほど、後ろ足で立つと3m近くになります。体重が600kgを超えた例も記録されていて、北海道のヒグマのオスと比べると1.5倍ほどの重さです。
北海道のヒグマは「エゾヒグマ」と呼ばれる別の亜種です。どちらも同じヒグマという種に含まれますが、住む地域によって体格にこれだけの差が出ます。おもな亜種の大きさを表で比べてみましょう。
| 亜種 | おもな生息地 | 大きなオスの体重の目安 |
|---|---|---|
| エゾヒグマ | 北海道 | 150〜400kg |
| カムチャッカオオヒグマ | ロシア・カムチャツカ半島など | 600kgを超える例もある |
| コディアックヒグマ | アメリカ・アラスカ州のコディアック島など | 270〜635kg(最大680kg前後) |
「カムチャッカオオヒグマは絶滅した」は誤解
「カムチャッカオオヒグマは乱獲で絶滅した」という説明を見かけることがありますが、これは誤りです。カムチャッカオオヒグマは今もカムチャツカ半島などに生息しており、海外からクマを観察するツアーが組まれるほどです。
混同されやすいのが「ベルグマンズベア」と呼ばれるクマです。1920年にスウェーデンの動物学者ステン・ベルグマンが、カムチャツカで並外れて大きな黒いクマの毛皮を見たと報告したもので、その後も実在は確認されていません。
ベルグマンはこのクマの体重を、最大で1tを超えると見積もっていました。「体長3m・体重1t」といった巨大グマの話は、こうした未確認の報告と結びついて広まった可能性があります。実在するカムチャッカオオヒグマの大きさとは、分けて考えるのがよいでしょう。
世界最大級のコディアックヒグマ
ヒグマの仲間で世界最大級とされるのが、アメリカ・アラスカ州のコディアック島周辺に住むコディアックヒグマです。ホッキョクグマと並び、陸上の肉食動物ではトップクラスの体格をもちます。
オスの体重はおおむね270〜635kgで、晩夏から秋の太った時期には680kg前後に達することもあります。北海道のヒグマの大きなオスと比べても、1.5倍以上の重さになる計算です。
体重が季節で大きく変わるのはコディアックヒグマも同じで、晩夏から秋には20〜30%ほど重くなることがあります。上の数字に幅があるのは、こうした季節による変動を含んでいるためです。
大きなヒグマとは反対に、モンゴルのゴビ砂漠には、オアシスの周りだけで暮らす小柄なヒグマの仲間「ゴビグマ」がいます。数十頭しか残っていないとされ、保護区で守られています。モンゴルの保護区のしくみとあわせて、次の記事で紹介しています。

日本でヒグマが住むのは北海道だけ
日本で野生のヒグマが暮らしているのは北海道だけです。本州・四国にいるクマはツキノワグマで、ヒグマとは別の種類にあたります。
世界に目を向けると、ヒグマはユーラシア大陸や北アメリカ大陸の北部に広く分布しています。北海道のすぐ北にあるサハリン(樺太)にも暮らしています。
北海道のヒグマは数が増えています。北海道の推定では、2024年末の時点で約1万2,300頭(中央値)です。1990年度の推定は約5,200頭だったので、30年あまりで2倍以上に増えた計算になります。
知床・日高・札幌近郊など道内の主な生息地
ヒグマは道内の森林に広く暮らしていて、特定の地域だけにいるわけではありません。なかでも知床半島は、環境省が「ヒグマの生息密度は世界有数」と紹介するほど、多くのヒグマが暮らす場所です。
日高山脈を中心とした日高地方など、人の少ない山深い地域もヒグマの暮らしの場になっています。広い森と川がつながっている地域ほど、ヒグマにとって住みやすい環境といえます。
人の多い都市の近くも例外ではありません。札幌市では、山間部はもちろん、市街地に近い藻岩山や円山にヒグマが移動してくることもあります。
かつては本州にもヒグマがいた
「ヒグマは昔から北海道だけ」と思われがちですが、本州の遺跡や洞窟からはヒグマの骨が見つかっています。数万年前の本州には、ヒグマとツキノワグマが同じ時代に暮らしていたのです。
その後、本州のヒグマは姿を消しました。いまは津軽海峡をはさんで、北海道にはヒグマ、本州から南にはツキノワグマが住み分けています。津軽海峡に引かれたこの生き物の分布の境界線は、「ブラキストン線」と呼ばれます。
本州のヒグマがいなくなった理由については、はっきりしたことはまだわかっていません。化石の研究が進むにつれて、少しずつ当時の姿が明らかになってきています。
本州・四国・九州のクマはツキノワグマ
本州で見かけるクマは、すべてツキノワグマです。本州では千葉県をのぞく各地の山地に分布していて、近年は東北地方などで人里への出没が相次いでいます。
四国では剣山周辺の山地にごくわずかに残るだけで、絶滅が心配されています。
九州のツキノワグマは、確実な捕獲の記録が1957年を最後に途絶えていて、すでに絶滅したと考えられています。環境省も2012年のレッドリスト見直しで、絶滅のおそれのある地域個体群のリストから外しました。
1987年に大分県でクマが捕獲されたこともありますが、九州の外から持ち込まれた個体だったと判明しています。九州でクマの目撃が話題になることはあっても、ヒグマが住んでいることはありません。
ヒグマを安全に見られる場所
迫力あるヒグマの姿を見たいときは、施設や観光船など、安全が確保された方法を選ぶのが基本です。北海道で代表的な見学先を紹介します。
- 知床の観光船:ウトロや羅臼から出る船で、海岸沿いを歩くヒグマを海の上から観察できることがあります
- のぼりべつクマ牧場(登別市):たくさんのヒグマを間近で観察できる施設です
- 札幌市円山動物園・旭川市旭山動物園:エゾヒグマを飼育していて、落ち着いて姿を観察できます
知床の観光船は、季節や天候によって運航の有無が変わります。動物園や牧場も冬季に営業時間が変わることがあるため、出かける前に公式サイトで最新の情報を確かめておくと安心です。

一方で、ドライブ中に道ばたでヒグマを見かけても、車から降りたり近づいたりするのは危険です。知床では、車を止めてクマに近づく観光客が問題になっていて、環境省などがやめるよう呼びかけています。
写真を撮りたい気持ちはぐっとこらえて、車の中にとどまったまま静かにその場を離れましょう。人に近づかれることに慣れたクマは、やがて人を恐れなくなり、事故につながるおそれがあります。
ヒグマは凶暴?性格と人里への出没
ヒグマは本来、人を避けて暮らす警戒心の強い性格です。人の気配や物音に気づくと、自分から離れていくことが多い動物です。
ただし、子連れの母グマや、食べ物に執着しているクマ、突然出くわして驚いたクマは、身を守るために攻撃してくることがあります。体の大きさと力を考えれば、人がかなう相手ではありません。
近年は、人里への出没も増えています。2025年には、道南の福島町の住宅地や知床の羅臼岳で、ヒグマに襲われて人が亡くなる事故が起きました。
北海道や環境省が呼びかけている基本は、「ヒグマに出会わないようにすること」です。具体的には、次のような点が挙げられています。
- 山に入るときは、鈴や声で人がいることを知らせる
- 食べ物やごみは必ず持ち帰り、クマを引き寄せない
- 出かける前に、自治体が出している出没情報を確認する
ヒグマについてよくある質問
- ヒグマとグリズリーは違う動物ですか?
-
同じヒグマという種です。北アメリカの内陸部に住むヒグマの亜種がグリズリー(ハイイログマ)と呼ばれていて、北海道のエゾヒグマとは亜種のレベルで分かれています。
- ヒグマは冬眠中に子どもを産むのですか?
-
はい。メスは冬眠中の巣穴で、2〜3頭の子を産みます。子グマは母グマと一緒に過ごしながら育ち、1歳半〜2歳ごろに独立します。
- 知床には何頭くらいのヒグマがいますか?
-
2019〜2021年の調査では、知床半島に400〜500頭ほどのヒグマが暮らしていると推定されました。限られた半島にこれだけの数が集まるため、世界でも有数の生息密度になっています。その後の資料では、数が減った可能性も示されています。
- ヒグマは漢字でどう書きますか?
-
「羆」と書きます。「三毛別羆事件」の「羆」もヒグマのことです。ふだんはカタカナで「ヒグマ」と書かれることがほとんどです。
まとめ
ヒグマは日本最大の陸の野生動物で、海外にはさらに大きな仲間もいます。最後にポイントを振り返っておきましょう。
- 北海道のヒグマは、オスで体長約2m・体重150〜400kg、メスで体長約1.5m・体重100〜200kgが目安
- 大きな記録には、三毛別羆事件の340kgや、2025年に苫前町で捕獲された380kgの個体がある
- カムチャッカオオヒグマは絶滅しておらず、600kgを超える例もあるユーラシア最大級の亜種
- 日本で野生のヒグマが住むのは北海道だけで、本州・四国のクマはツキノワグマ
ヒグマの大きさを実感したいなら、知床の観光船や登別のクマ牧場、道内の動物園で見るのがいちばん確実です。北海道の山や森へ出かけるときは、出発前に行き先の出没情報を確認しておきましょう。
参考にした主な出典
- 札幌市「ヒグマの生態」
- 環境省 知床国立公園「知床のヒグマ」
- 当別町・札幌市教育委員会のヒグマに関する啓発資料
- 北海道新聞(ヒグマの推定生息数、苫前町での捕獲、2025年の人身被害に関する報道)
- 環境省 第4次レッドリスト(九州地方のツキノワグマ)

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