毎日の料理で使う機会の多い油揚げ。レシピ本やクッキングサイトを見ると、「油抜きをしてから使用する」と書かれていることがよくありますよね。でも実際のところ、「このひと手間って本当に必要なの?」「そのまま使ってもそんなに変わらないような気がするけど…」と思ったことはありませんか?
特に忙しい平日の夕食準備では、できるだけ手間を省きたいというのが本音。油抜きって意外と面倒で、やったりやらなかったりという方も多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。油揚げの油抜きには、知っておくだけで料理の仕上がりが格段に変わる秘密があるんです。そして実は、料理によっては油抜きをしない方が美味しくなるケースもあります。
この記事では、油揚げの油抜きについて、なぜ必要なのかという基本的な理由から、料理ごとの使い分け方、そして「これなら続けられる」と思える簡単な方法まで、すべてを詳しく解説していきます。読み終わった後は、もう油抜きで迷うことはなくなり、油揚げを使った料理がワンランクアップするはずです。
そもそも油揚げの油抜きって何のためにするの?2つの重要な理由
油抜きを「なんとなく」やっている方も多いと思いますが、実は明確な目的があります。この理由を理解することで、油抜きの重要性がよく分かりますよ。
理由その1:余分な油を取り除いて風味をクリアにする
油揚げは豆腐を植物油で揚げて作られています。製造から時間が経つにつれて、表面に付いた油は空気に触れて少しずつ酸化していきます。この酸化した油が、いわゆる「油臭さ」の正体なんです。
油抜きをすることで、この表面の古い油を洗い流し、油揚げ本来の大豆の優しい風味を取り戻すことができます。特に、出汁の繊細な香りを大切にする和食では、この違いが料理全体の印象を大きく左右します。「なんだか今日の味噌汁、いつもより美味しい気がする」と感じる日があったら、それは油抜きの効果かもしれませんね。
理由その2:調味料の浸透を良くして味を染み込ませる
油揚げの表面は、揚げ油によって薄い膜で覆われた状態になっています。この油の膜は水分や調味料を弾いてしまうため、そのまま調理すると味が表面で止まってしまいがちです。
油抜きをすると、この油の膜が取り除かれて、油揚げがまるで乾いたスポンジのような状態に変わります。すると、出汁や調味料をぐんぐんと吸収できるようになり、噛んだ瞬間にジュワッと美味しい汁が溢れ出る、あの絶妙な食感が生まれるのです。
油揚げの油抜きは「料理次第」が正解!もう迷わない判断基準
それでは実際に、いつ油抜きをして、いつしなくていいのでしょうか。答えは意外とシンプルで、「作る料理の特性に合わせて使い分ける」ことが大切です。
油抜きが絶対に必要な料理:味をしっかり染み込ませたい場合
油揚げ自体が主役となって、出汁や調味料の味をたっぷりと含んで欲しい料理では、油抜きは欠かせない工程です。
- いなり寿司
- きつねうどん・そば
- おでんの巾着煮、信田巻き
- 油揚げと野菜の煮びたし
- 袋煮(野菜や肉を詰めた煮物)
- 含め煮
これらの料理では、油揚げが「美味しい汁を含んだ器」のような役割を果たします。油抜きをせずに作ると、せっかくの調味料が表面で弾かれてしまい、「なんだか味が薄い」「物足りない」という仕上がりになってしまいます。
油抜きしない方が美味しい料理:コクと香ばしさを活かしたい場合
一方で、油揚げの持つ「油のコク」や「香ばしい風味」、「カリッとした食感」を楽しみたい料理では、あえて油抜きをしない方が正解です。
- 味噌汁・すまし汁
- 野菜炒めや焼きそば
- 炊き込みご飯
- 油揚げのネギ焼き、油揚げピザ
- サラダのトッピング
例えば味噌汁の場合、油抜きをしていない油揚げから適度に油分が溶け出すことで、汁全体にコクと深みが生まれます。また、フライパンで焼いたり炒めたりする料理では、油抜きをしない方が表面がカリッと香ばしく仕上がって、食感のアクセントになります。
健康面を考えるなら油抜きがおすすめ
料理の美味しさだけでなく、健康面でも油抜きにはメリットがあります。油抜きをすることで、余分な油分を取り除き、カロリーを約20~30%カットできると言われています。
一般的な油揚げ1枚(約30g)のカロリーは約115kcalですが、油抜き後には約80~90kcalまで下がります。油揚げは糖質が少なくタンパク質が豊富な食材なので、ダイエット中の方や健康を意識している方にとって、油抜きは賢い選択と言えるでしょう。
忙しくても大丈夫!油抜きの簡単テクニック3選
油抜きの重要性は分かったけれど、やっぱり手間は省きたいですよね。そんな方のために、手軽さのレベル別に3つの方法をご紹介します。どの方法も、従来の「お湯で茹でる」方法より格段に簡単ですよ。
1番手軽:電子レンジで30秒チン
最も手軽で、忙しい朝の味噌汁作りにも重宝するのがこの方法です。
- 油揚げをキッチンペーパーで全体を包みます
- 耐熱皿に乗せて、電子レンジ(600W)で30秒~1分加熱します
- 取り出して熱いうちに上から軽く押さえると、キッチンペーパーに油がじゅわっと染み出してきます
この方法なら、火を使わず洗い物も最小限で済みます。ただし、加熱しすぎると水分が飛んで少し硬くなることがあるので、様子を見ながら時間を調整してくださいね。
バランス重視:熱湯をサッとかける
手軽さと効果のバランスが最も良く、多くの料理研究家も推奨している方法です。
- ザルに油揚げを重ならないように並べます
- 沸かしたての熱湯を、油揚げの表と裏にまんべんなく回しかけます
- 粗熱が取れたら、キッチンペーパーで挟むようにして水気と浮き出た油を軽く拭き取ります
レンジよりも均一に、かつ適度に油抜きができるのがポイントです。お湯を沸かす手間は少しかかりますが、他の料理でお湯を使う予定があるときに一緒にやってしまえば効率的ですね。
完璧仕上げ:鍋でサッと茹でる
いなり寿司など、味染みを完璧にしたい特別な料理には、やはりこの方法が最適です。
- 鍋にお湯を沸かし、油揚げを入れます
- 菜箸で軽く沈めながら、1~2分ほど茹でます
- ザルにあげ、粗熱が取れたら両手で優しく挟むようにして水気を絞ります
この方法なら油臭さが完全になくなり、味の浸透力が最大になります。鍋を使うため洗い物は少し増えますが、仕上がりの差は歴然です。
知って得する応用テクニック
厚揚げの油抜きはどうする?
厚揚げも基本的には油揚げと同じ考え方です。煮物やあんかけなど、しっかりと味を染み込ませたい料理では油抜きをすることで、調味料が驚くほど浸透しやすくなります。
方法は油揚げと全く同じで、熱湯をかけるかサッと茹でるだけ。厚揚げの場合は表面積が大きいので、熱湯をかける際は全体にまんべんなくかかるよう注意してくださいね。
油抜きした油揚げの保存方法
特売日にまとめ買いしても、油抜きが面倒で使いきれない…そんな悩みを解決するのが「まとめて油抜き&冷凍保存」です。
冷蔵保存の場合は、油抜きをして水気をしっかり切ってからラップに包み、保存袋に入れて2~3日以内に使い切りましょう。
おすすめは冷凍保存です。時間のある週末などにまとめて油抜きをして、使いやすいサイズにカットしてから小分け冷凍しておけば、平日の調理がぐっと楽になります。
- 油抜きをして水気をしっかり絞ります
- 味噌汁用の細切り、煮物用の短冊切りなど、用途に合わせてカットします
- 1回分ずつ小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ
凍ったまま調理に使えるので非常に便利で、保存期間は約1ヶ月が目安です。
油揚げの油抜きでよくある質問
最後に、読者の皆さんからよく寄せられる疑問にお答えします。
- 油抜きで大切な栄養は失われないの?
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油抜きで取り除かれるのは主に表面の余分な油分です。油揚げの主成分であるタンパク質や、女性に嬉しいイソフラボン、カルシウムなどの栄養素が大きく損なわれることはありませんので安心してください。むしろ、余分な油分が減ることでカロリーが抑えられ、より健康的に食べることができます。
- 調理中に油抜きを忘れたことに気づいたら?
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煮物などを作っている最中に気づいた場合は、一度油揚げを取り出してキッチンペーパーで煮汁ごと軽く押さえるだけでも効果があります。完璧ではありませんが、余分な油を少し取り除くことができるので、諦めずに試してみてくださいね。
- 油揚げから出る白いカスのようなものは何?
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これは豆腐を固める際に使われる「にがり」の成分(塩化マグネシウムなど)や、大豆に含まれるアミノ酸が結晶化したものです。体に害はまったくありませんが、気になる場合は油抜きの際に一緒に洗い流すことができます。
- 油抜きのタイミングはいつがベスト?
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基本的には調理直前がベストですが、まとめて下準備をする場合は調理の数時間前でも大丈夫です。ただし、油抜き後は傷みやすくなるので、常温で長時間放置せず、冷蔵庫で保存してくださいね。
まとめ:油揚げマスターになって料理上手の仲間入り
いかがでしたか?油揚げの油抜きについて、基本から応用まで詳しくお伝えしました。
重要なポイントをもう一度まとめると、油抜きの目的は「風味向上」と「味染み向上」の2つ。味をしっかり染み込ませたい料理では必須、コクや食感を活かしたい料理では不要、という使い分けが大切です。
そして何より、「電子レンジ30秒」「熱湯をかける」「サッと茹でる」という3つの簡単な方法があることを覚えておいてください。どれも従来の方法より手軽で、忙しい毎日でも続けやすいはずです。
油揚げは和食に欠かせない食材の一つですが、正しい使い方を知ることで、その真価を発揮してくれます。今回学んだ知識を活かして、ぜひ次回の料理から実践してみてくださいね。きっと、いつもの料理がワンランクアップした仕上がりになりますよ。
毎日の食卓がより豊かで美味しいものになりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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