「小学校の頃は勉強が得意だったのに、中学に入ってから急に成績が落ち始めた…」
「テストのたびに点数が下がっていくのを見て、どう声をかけたらいいのか分からない…」
「『勉強しなさい』と言っても全然聞いてくれず、むしろ反発されてしまう…」
こうした悩みを抱えている保護者の方は、実はとても多いんです。かつて意欲的に机に向かっていたお子さんが、だんだんと勉強から距離を置くようになり、成績も右肩下がり…。その姿を見て、焦りや不安でいっぱいになるお気持ち、本当によく分かります。
でも、安心してください。中学生の成績が下がるのは、実は珍しいことではありません。むしろ、多くのお子さんが通る道なんです。そして何より大切なのは、その背景にははっきりとした「理由」があり、適切に対応すれば改善できるということです。
この記事では、中学生の成績が下がってしまう根本的な原因を5つのパターンに整理し、それぞれに対してご家庭で今日から実践できる具体的な解決策をお伝えします。さらに、科目別の効果的な学習法や、塾などの外部サポートを検討すべきタイミング、そして何より、親御さん自身のメンタルケアについても触れていきます。
この記事を読み終える頃には、「なぜうちの子は勉強しないんだろう」というモヤモヤが晴れ、「次はこうしてみよう」という具体的な一歩が見えてくるはずです。お子さんの可能性を信じて、一緒に前に進んでいきましょう。
見逃さないで!成績低下の前に現れる6つの危険信号
本格的に成績が落ち込む前に、お子さんは必ずといっていいほど、何らかのサインを出しています。これは決して意識的なSOSではないかもしれませんが、注意深く観察すれば必ず気づけるはずです。
最近、お子さんの様子にこんな変化は見られませんか?もし一つでも当てはまるなら、早めに対処することで、深刻な事態を避けられるかもしれません。
- 宿題やプリントを後回しにするようになり、提出期限を守れなくなってきた
- 「授業が難しい」「先生の説明が分からない」といった言葉が増えた
- テストの答案用紙をカバンの奥底に隠したり、見せることを渋ったりする
- 勉強や学校の話題になると、明らかに表情が曇ったり、話題を変えようとしたりする
- 机には向かっているものの、実際にはスマホを触っていたり、ぼーっとしていたりする時間が長い
- 「頑張っても意味がない」「どうせできない」といった、諦めの言葉を口にするようになった
こうした変化は、お子さんが勉強面で何らかの困難を感じているサインです。「たまたまだろう」と見過ごさず、できるだけ早い段階で、お子さんが抱えている問題の本質に目を向けることが大切です。
なぜ成績が下がる?中学生が直面する5つの壁と乗り越え方
成績低下の背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。ここでは特に多く見られる5つの原因を取り上げ、それぞれに効果的な対策をご紹介します。大切なのは、お子さんがどのパターンに当てはまるのかを見極めることです。
原因その1:小学校から中学校への環境変化に適応できていない
中学校の学習環境は、小学校とは比べ物にならないほど大きく変わります。このギャップについていけず、つまずいてしまうケースは本当に多いんです。
まず、学習内容が一気に専門的になります。算数は「数学」に変わり、理科や社会も細分化されて、各教科の難易度が跳ね上がります。授業のスピードも速くなり、「小学校の内容は理解しているのが当たり前」という前提で進んでいくため、少しでも基礎に穴があると、あっという間に置いていかれてしまいます。
また、教科担任制への戸惑いも大きな要因です。小学校では担任の先生が全教科を教えてくれたので、「分からないことがあったら先生に聞く」というのが自然でした。でも中学では教科ごとに先生が違うため、質問のタイミングを逃してしまったり、そもそも質問しづらいと感じたりするお子さんが多いんです。
さらに、定期テストというシステムも大きなプレッシャーになります。学期ごとに順位や偏差値が明確に出るテストは、お子さんにとって初めての経験。テスト範囲の広さに圧倒され、計画的に勉強するという習慣がないまま本番を迎えてしまい、思うような結果が出せないという悪循環に陥りがちです。
【今日から始められる対策:無理なく続く予習復習の習慣づくり】
このギャップを埋めるためには、日々の学習習慣を少しずつ整えていくことが鍵です。ただし、いきなり「毎日2時間勉強しなさい」では絶対に続きません。まずは本当に小さな一歩から始めましょう。
予習については、たった5分でいいんです。寝る前やお風呂に入る前に、「明日学校で習う教科書のページを、ざっと眺めるだけ」というルールを作ってみてください。目的は内容を理解することではなく、「あ、この言葉、昨日教科書で見たな」と授業中に思い出せること。これだけで授業への集中力が格段に上がります。
復習については、その日のうちに10分だけ、ノートや教科書を声に出して読んでみることをおすすめします。実は、学習した内容は1日後には70パーセント以上忘れてしまうという研究結果があります。でも、その日のうちに一度でも復習すれば、記憶の定着率は驚くほど高まるんです。週末には問題集を1ページだけ解いてみる、というのも効果的ですよ。
原因その2:時間管理ができず、勉強する時間そのものが取れていない
中学生になると、生活が一気に忙しくなります。部活動が本格的に始まり、友達との付き合いも増え、自由に使える時間がぐっと少なくなります。加えて、スマホやゲーム、動画配信サービスといった魅力的な誘惑も多く、意識的に時間を作らなければ、勉強時間はゼロになってしまうのが現実です。
【親子で取り組む対策:一緒に作る学習スケジュール】
子どもに「自分で計画を立てなさい」と丸投げしても、まず実行できません。かといって、親が一方的にスケジュールを決めるのも、反発を招くだけです。おすすめは、親子で一緒に「見える化」するところから始めることです。
まず、平日の放課後と休日にやらなければいけないこと(宿題、習い事、部活など)と、やりたいこと(ゲーム、YouTube、友達との時間など)を、全部紙に書き出してもらいましょう。次に、「やりたいこと」の時間を先に確保します。ここがポイントです。「ゲームは1日30分まで」と制限するのではなく、「夕食後の7時から8時までは、ゲームやスマホを楽しむ時間にしようか」と、ポジティブな形で提案してみてください。
そして最後に、残った時間の中から短いすきま時間を見つけます。「夕食前の20分」「お風呂に入る前の15分」といった短い時間でいいんです。「この時間に英単語を5個だけ覚えてみない?」「数学の問題を1問だけ解いてみようか」と提案してみましょう。
完璧なスケジュールを作ることが目的ではありません。お子さん自身が「自分で時間をコントロールしている」という感覚を持つことが、何より大切なんです。
原因その3:集中できる学習環境が整っていない
「うちの子は集中力がなくて…」という相談をよく受けますが、実は本人の性格というより、環境に問題があるケースがほとんどなんです。
リビングでテレビがついている、兄弟が騒いでいる、机の上にスマホや漫画が置いてある…こんな状態では、どんなに意志が強い大人でも集中できません。お子さんだけを責めるのは、ちょっと酷ですよね。
【すぐできる対策:3ステップで作る集中空間】
物理的・心理的な環境を少し整えるだけで、学習効率は本当に変わります。
第一のステップは、誘惑を物理的に遠ざけることです。勉強を始める前に、「スマホはリビングの充電器に置く」「漫画は本棚に戻す」といったルールを決めて、机の上には勉強道具以外置かないようにします。これを「勉強スタートの儀式」として習慣化すると、脳が「今から勉強モードだ」と切り替わりやすくなります。
第二のステップは、学習場所を工夫すること。子ども部屋に閉じこもると、かえって集中できないタイプのお子さんも多いんです。適度な生活音があり、親の気配も感じられるリビングやダイニングの方が、安心して勉強に取り組めるケースは少なくありません。ダイニングテーブルの一角を「勉強コーナー」として確保してあげるのも良い方法です。
第三のステップは、時間を区切ることです。人間の集中力は、そう長くは続きません。キッチンタイマーやスマホのタイマー機能を使って、「25分勉強して5分休憩」というサイクルを試してみてください。これはポモドーロ・テクニックと呼ばれる方法で、短いゴールがある方が集中力を維持しやすいんです。
原因その4:過去の「分からない」が積み重なり、授業についていけなくなっている
中学校の勉強、特に数学や英語は、完全に積み重ね型です。小学校で習った内容が土台になっているので、その基礎に穴があると、中学の内容は理解できません。
たとえば数学なら、小学校の分数や割合でつまずいていると、中学の方程式や関数は絶対に理解できません。英語も同じで、アルファベットや簡単な単語が曖昧なままでは、文法なんて頭に入ってきません。
厄介なのは、授業が「分からない」状態が続くと、お子さんは「自分は頭が悪いんだ」「勉強ができないんだ」と自己肯定感を失ってしまうこと。そうなると、勉強そのものを拒絶するようになり、ますます状況が悪化してしまいます。
【確実に効く対策:分からないを放置しない環境づくり】
「分からないままにしない」ことが、何よりも重要です。でも、子どもにとって「分からない」と口にするのは、実はかなり勇気がいることなんです。
だからこそ、質問のハードルを下げる工夫が必要です。「どこが分からないの?」と漠然と聞くのではなく、「今日の数学の授業で、『ここちょっと難しいな』って思ったところ、一つでもあった?」と具体的に聞いてみてください。
また、親が直接教えようとすると、どうしても感情的になってしまいがちです。そんな時は、学校の先生に「家でこういうところでつまずいているようなんですが、どう勉強したらいいでしょうか」と相談したり、YouTubeなどの無料学習動画を一緒に見てみたりするのも効果的です。色々な先生が解説しているので、お子さんと相性の良い「ネット上の先生」が見つかることもありますよ。
そして、必要なら思い切って下の学年の内容に戻る勇気も大切です。プライドが邪魔をして嫌がるお子さんもいますが、そんな時は「お母さんも分数、実は苦手だったんだよね。一緒に復習してみない?」と、親をダシにして誘ってみるのも一つの手です。
原因その5:勉強の仕方が自己流で、努力が結果に結びついていない
同じ時間勉強していても、成績が上がる子と上がらない子がいます。その違いは、ずばり「勉強のやり方」です。
ただ教科書を眺めるだけ、答えを丸写しするだけ、といった非効率な方法を続けていては、どれだけ時間をかけても成果は出ません。むしろ、「こんなに頑張ってるのに全然できない」と自信を失ってしまう原因にもなります。
【成績アップ確実な対策:結果が出る勉強法の基本】
効率的な勉強の基本は、「インプット」と「アウトプット」のバランスです。教科書を読む(インプット)だけで満足せず、問題を解く(アウトプット)時間を必ず作りましょう。
「理解する」ことと「解ける」ことは、全く別物です。だからこそ、問題集を解く時間が絶対に必要なんです。そして、間違えた問題こそが宝物。なぜ間違えたのか、解説をじっくり読んで、もう一度何も見ずに解き直す。この作業を繰り返すことで、学力は飛躍的に向上します。
また、「青ペン書きなぐり法」という方法も試してみる価値があります。これは、覚えたいことや考えを整理したいことを、ひたすら青いペンでノートに書きなぐるというシンプルな方法。手を動かすことで記憶に定着しやすくなり、思考の整理にもつながると言われています。
さらに、その日習った内容を家族に説明してもらうのも、最高のアウトプットです。夕食の時などに「今日、学校でこんなこと習ったんだよ」と話してもらいましょう。人に分かりやすく説明するためには、自分が本当に理解していないとできません。説明しているうちに、自分の理解が曖昧な部分も見えてきます。
科目別・効果が出る具体的な学習アプローチ
ここでは、主要科目それぞれの特性に合わせた、具体的な勉強法をご紹介します。科目によって効果的なアプローチは違うので、お子さんが特に苦手としている科目を中心に試してみてください。
数学:積み重ねが命!基礎固めと反復練習
数学は、前の単元が理解できていないと次に進めない、典型的な積み重ね型の科目です。だからこそ、分からないところをそのままにしないことが何より大切です。
もし今の授業が難しいと感じているなら、思い切って一つ前の単元、場合によっては小学校の内容まで戻って復習することをおすすめします。恥ずかしいことではありません。基礎がしっかりすれば、その後の理解スピードは驚くほど速くなります。
また、数学は「解法パターン」を体に染み込ませることが重要です。同じタイプの問題を何度も繰り返し解いて、「この問題が来たらこう解く」という型を身につけましょう。一度解いた問題を、日にちを空けてもう一度解く。これを3回繰り返せば、かなり定着します。
英語:単語力と音読がすべての基礎になる
英語で最も大切なのは、何といっても単語力です。単語が分からなければ、文法を理解していても文章は読めません。逆に、単語さえ分かれば、多少文法が曖昧でも意味は推測できます。
単語の覚え方でおすすめなのは、「見る・書く・声に出す」を同時にやることです。単語帳を眺めるだけでなく、声に出して発音しながら書く。この3つの動作を同時にすることで、記憶への定着率が格段に上がります。
また、教科書の音読も効果抜群です。毎日10分でいいので、教科書の英文を声に出して読んでみましょう。最初はカタコトでも構いません。繰り返すうちに、英語のリズムや語順に慣れてきて、リスニングや長文読解の力も自然と伸びていきます。
国語:読解力は一朝一夕では伸びない、だからこそ毎日少しずつ
国語、特に読解力は、短期間で劇的に伸ばすのが難しい科目です。だからこそ、毎日コツコツと積み重ねることが大切なんです。
おすすめは、毎日10分だけでも「本を読む時間」を作ること。小説でも、興味のある分野の本でも、漫画でも最初は何でもいいんです。活字に触れる習慣をつけることで、文章を読むスピードや理解力は確実に上がっていきます。
また、問題を解く時は、必ず「なぜその答えになるのか」を本文中から探す癖をつけましょう。国語の答えは、必ず本文中に根拠があります。何となく選ぶのではなく、「ここにこう書いてあるから、答えはこれ」と説明できるようになることが、得点力アップの鍵です。
理科・社会:暗記だけじゃない!理解と関連づけが鍵
理科と社会は「暗記科目」と思われがちですが、実はそれだけでは不十分です。ただ言葉を丸暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」という理解と、「これとこれは関連している」という関連づけが大切なんです。
理科であれば、実験の結果だけでなく、その理由や仕組みを理解しましょう。社会であれば、年号を単独で覚えるのではなく、「この出来事の後にこれが起こった」という歴史の流れで覚えると、記憶に残りやすくなります。
また、図や表、グラフを使って視覚的に整理するのも効果的です。ノートに自分なりの図解を書いてみることで、理解が深まり、記憶にも残りやすくなります。
外部サポートを検討すべきタイミングとは?塾・家庭教師・オンライン学習の選び方
家庭での学習サポートに限界を感じたら、塾や家庭教師といった外部の力を借りることも選択肢の一つです。ただし、「とりあえず塾に入れれば安心」というわけではありません。お子さんの状況に合ったサポートを選ぶことが大切です。
こんな時は外部サポートを検討するタイミング
以下のような状況が見られたら、外部のサポートを考えてみる時期かもしれません。
- 家庭での声かけや学習サポートを試してみたが、3か月以上改善が見られない
- 特定の科目で大きく遅れを取っており、家庭だけではフォローしきれない
- お子さん自身が「塾に行きたい」「友達と一緒に勉強したい」と言い始めた
- 高校受験が近づいてきて、より専門的な指導が必要だと感じる
- 親子での勉強時間が、どうしても喧嘩になってしまう
タイプ別・どのサポートが向いている?
外部サポートには大きく分けて、集団塾、個別指導塾、家庭教師、オンライン学習があります。それぞれの特徴と、どんなお子さんに向いているかを見てみましょう。
集団塾は、ある程度の学力があり、競争心がモチベーションになるタイプのお子さんに向いています。友達と一緒に勉強することで刺激を受け、「負けたくない」という気持ちが学習意欲につながります。ただし、ついていけないと逆効果になることもあるので、注意が必要です。
個別指導塾や家庭教師は、自分のペースでじっくり学びたいお子さんや、特定の科目で大きく遅れを取っているお子さんに最適です。分からないところをピンポイントで質問できるので、効率よく苦手を克服できます。費用は高めですが、その分効果も出やすいです。
オンライン学習は、時間や場所の制約が少なく、自分のペースで進められるのが魅力です。動画授業を繰り返し見られるので、理解するまで何度でも復習できます。ただし、自己管理能力がある程度必要なので、完全に任せきりにはせず、親が定期的に進捗を確認してあげることが大切です。
学校の先生との効果的なコミュニケーション術
意外と見落とされがちですが、学校の先生との連携は、お子さんの学習サポートにおいて非常に重要です。先生は授業中のお子さんの様子を一番よく知っていますし、学習面でのアドバイスももらえます。
先生に相談する時のポイント
まず、先生に相談する際は、具体的に困っていることを伝えましょう。「成績が悪くて心配です」ではなく、「数学の方程式のあたりから授業についていけてないようで、家でどう復習したらいいか悩んでいます」といった具体的な相談の方が、先生も的確なアドバイスをしやすくなります。
また、定期的に連絡帳や面談を活用して、お子さんの学校での様子を聞いてみてください。家では見せない一面が学校では出ていることもあります。先生からの情報は、お子さんを理解する上で貴重なヒントになります。
そして何より大切なのは、先生を味方につけることです。「先生、いつも丁寧に指導していただいてありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えることで、先生もお子さんにより目をかけてくれるようになります。
懇談会や保護者会を最大限活用する
個人懇談や保護者会は、先生と直接話せる貴重な機会です。事前に質問や相談事項をメモしておき、限られた時間を有効活用しましょう。
特に聞いておきたいのは、授業中の様子、友人関係、提出物の状況などです。また、家庭での学習方法についてアドバイスをもらうのも良いでしょう。先生は多くの生徒を見てきた経験があるので、効果的な学習法を知っています。
放置すると本当に危ない!成績低下がもたらす将来への影響
「そのうち本人がやる気になるだろう」と現状を放置してしまうのは、実は非常に危険です。厳しい話かもしれませんが、目を背けずに現実を見つめることも、親の役割です。
高校受験では、内申点(通知表の成績)が合否を大きく左右します。これは中学1年生の成績から影響してくる地域も多いんです。つまり、「3年生になってから頑張ればいい」では遅いということ。行きたい高校があっても、成績が足りなければ受験すらできない可能性があります。
さらに、学習習慣がないまま高校に進学しても、高校の勉強はさらに難しくなります。中学で基礎が固まっていないと、高校ではもっと苦労することになります。
もちろん、学歴がすべてではありません。でも、勉強から逃げ続けた結果、お子さん自身が「これをやってみたい」「あの学校に行きたい」と思った時に、その道を選べなくなってしまう。それが一番もったいないことではないでしょうか。
今、お子さんの未来の選択肢を広げてあげられるのは、親御さんだけです。だからこそ、早めの対応が大切なんです。
絶対にやってはいけない!子どものやる気を奪う3つのNG対応
お子さんの成績に対して、親がどう関わるかは、学習意欲に最も大きな影響を与えます。良かれと思ってやっていることが、実は完全に逆効果になっているケースは本当に多いんです。
NG対応その1:「勉強しなさい」を繰り返す
これは最も効果がなく、最も親子関係を悪化させる言葉です。お子さんだって、勉強しなければいけないことは分かっています。でも、できないんです。その理由は様々で、やり方が分からない、やる気が出ない、他にやりたいことがある…。
「勉強しなさい」という言葉は、こうした本質的な問題を何一つ解決しません。それどころか、お子さんの自主性を奪い、「親に言われたからやる」という受け身の姿勢を作り出してしまいます。結果として、親がいない時は全く勉強しない、という状況を招くんです。
NG対応その2:他の子や兄弟と比較する
「お姉ちゃんはもっとできたのに」「〇〇くんは塾で頑張ってるらしいよ」といった比較の言葉は、お子さんの自己肯定感を根底から破壊します。
お子さんは「自分はダメな人間なんだ」「親は自分のことを認めてくれない」と感じ、ますます無気力になってしまいます。比較されて「よし、頑張ろう」と思える子は、ほとんどいません。むしろ、「どうせ頑張っても無駄だ」とあきらめてしまうんです。
NG対応その3:結果だけを見て叱ったり褒めたりする
「なんで80点しか取れないの!」と点数だけを見て叱ったり、逆に「100点すごいね!」と結果だけを褒めたりするのも、実は危険です。
結果だけにフォーカスされると、お子さんは「良い点を取らないと自分には価値がない」と感じるようになります。すると、カンニングをしてでも良い点を取ろうとしたり、失敗を恐れて新しいことに挑戦しなくなったりします。
これが正解!子どもの心に火をつける3つのOK対応
では、どんな関わり方をすれば、お子さんの学習意欲を引き出せるのでしょうか。ここでは、科学的にも効果が証明されている3つの方法をご紹介します。
OK対応その1:過程を具体的に認めて言葉にする
点数や順位といった結果ではなく、お子さんの努力や行動そのものに目を向けて、具体的に言葉にして伝えましょう。
たとえば、「テストの点数は思ったより低かったけど、毎日机に向かってる姿を見てたよ。それって本当にすごいことだと思う」「苦手な数学の問題に、最後まであきらめずに取り組んでたね。お母さん、感動したよ」「部活で疲れてるのに、ちゃんと宿題やってて偉いね」といった言葉です。
この「認める」言葉が、お子さんの次へのエネルギーになります。結果がすぐに出なくても、「自分は頑張っている」「親は見てくれている」と感じられることが、何より大切なんです。
OK対応その2:命令ではなく質問と提案で導く
親が答えを与えるのではなく、お子さん自身に考えさせ、選ばせる関わり方を意識しましょう。
「次のテスト、どうやったら今回より良くなりそうかな?」「数学の勉強、一人だと大変そうだけど、どうしたらいいと思う?一緒に考えてみようか」「集中できる環境って、どんな感じだと自分では思う?」といった質問形式です。
自分で考えて決めたことは、人に言われたことよりもずっと実行しやすいんです。たとえ最初は良いアイデアが出なくても、考えるプロセスそのものが、お子さんの成長につながります。
OK対応その3:勉強以外の場面でたくさん褒めて感謝する
勉強のことで関係がぎくしゃくしている時こそ、普段の生活でのコミュニケーションが重要です。
「お手伝いしてくれてありがとう、本当に助かったよ」「いつも妹に優しくしてくれて、お母さん嬉しいな」「今日の夕飯、美味しいって言ってくれてありがとう」といった、日常の小さな感謝や承認の言葉を積極的に伝えましょう。
お子さんの存在そのものを肯定し、家が安心できる居場所だと感じられれば、自己肯定感が高まります。そして、自己肯定感が高まれば、勉強などの困難にも立ち向かう意欲が自然と湧いてくるんです。
忘れないで!親自身のメンタルケアも大切です
ここまで、お子さんへの対応について色々とお伝えしてきましたが、最後に一つ、とても大切なことをお話しします。それは、親御さん自身のメンタルケアについてです。
お子さんの成績が下がっていく様子を見るのは、本当につらいことです。「私の育て方が悪かったのかな」「もっと早く気づいてあげればよかった」と自分を責めてしまう方も多いでしょう。でも、どうか自分を責めすぎないでください。
一人で抱え込まないで
まず、悩みを一人で抱え込まないことが大切です。配偶者や家族、信頼できる友人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちは軽くなります。同じような悩みを持つ保護者同士で話すのも良いでしょう。「うちだけじゃないんだ」と思えるだけで、随分と楽になるものです。
また、学校のスクールカウンセラーに相談するのも一つの手です。彼らは多くの家庭の相談に乗ってきた専門家なので、的確なアドバイスがもらえます。
完璧な親である必要はない
SNSを見れば、勉強も運動もできる「理想の子ども」の姿があふれています。でも、それと自分の子どもを比べる必要はありません。お子さんには、お子さんのペースがあり、お子さんなりの良さがあります。
親も完璧である必要はないんです。イライラすることもあれば、言い過ぎてしまうこともあります。そんな時は、素直に「さっきはごめんね」と謝ればいいんです。完璧な親でいようとするよりも、人間らしい親でいる方が、お子さんにとっても心地よいはずです。
親が笑顔でいることが、最高のサポート
最後に、これだけは覚えておいてください。親が不安そうな顔をしていたり、イライラしていたりすると、お子さんはそれを敏感に感じ取ります。そして、「自分のせいで親を悩ませている」とプレッシャーを感じてしまうんです。
だからこそ、親御さん自身が心身ともに健康で、笑顔でいられることが、お子さんにとって最高のサポートになります。たまには息抜きをして、自分の好きなことをする時間も作ってください。親が元気でいることが、家族全体の幸せにつながるんです。
まとめ:焦らず、信じて、一歩ずつ前に進もう
ここまで、中学生の成績が下がる原因と、ご家庭でできる具体的な対処法について、詳しくお伝えしてきました。
お子さんの成績が下がると、親としてはどうしても焦ってしまいます。「このままでは将来どうなるんだろう」という不安で、つい厳しい言葉をかけてしまうこともあるでしょう。その気持ち、本当によく分かります。
でも、最も大切なのは、慌てて叱りつけることでも、無理やり机に向かわせることでもありません。まず「なぜ今、うちの子はつまずいているのか」その原因を冷静に見極めることです。そして、その原因に合った正しい対処法を、親子で一緒に、一つずつ試していくこと。
中学生という時期は、心も体も大きく変化する、人生の中でも特に不安定な時期です。学校生活、友人関係、部活動…お子さんは親が思っている以上に、たくさんのストレスやプレッシャーを抱えています。
そんな時、一番の味方でいてあげられるのは、他の誰でもない親御さんです。「お父さん・お母さんは、あなたのことを信じているよ。どんな時も味方だよ」というメッセージを、言葉と態度で伝え続けてください。
成績を上げることは大切です。でも、それ以上に大切なのは、お子さんが自分に自信を持ち、「やればできる」と信じられるようになることです。そのためには、時間がかかるかもしれません。すぐに結果が出ないこともあるでしょう。
でも、あきらめないでください。お子さんの可能性を信じて、一緒に歩んでいきましょう。この記事が、悩める親御さんとお子さんにとって、少しでも明るい未来への道しるべとなれば、これほど嬉しいことはありません。
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