夏の暑さが本格的になってくると、日頃お世話になっている上司への感謝の気持ちを伝えたくなりませんか?そんな時にぴったりなのが、日本の美しい伝統である「暑中見舞い」です。
でも実際に書こうとすると「いったいいつ出したらいいの?」「どんな風に書けば失礼にならないかな?」「メールでも大丈夫?」など、気になることがたくさん出てきますよね。
この記事では、そんな暑中見舞いにまつわる疑問をすべて解消します。適切な送付時期から心のこもった書き方、そのまま使える豊富な例文、さらには現代的なメールでの送り方まで、上司への暑中見舞いに必要な知識をわかりやすくお伝えします。
この記事を読み終える頃には、自信を持って素敵な暑中見舞いを送れるようになっているはずです。
暑中見舞いってそもそも何?現代における意味と価値
まずは暑中見舞いの基本的な意味から確認していきましょう。意外と知られていない歴史的背景や、デジタル時代だからこそ生まれる価値についても触れていきます。
暑中見舞いに込められた思いやりの心
暑中見舞いとは、一年で最も厳しい暑さとなる時期に、大切な人の健康を気遣って送る季節のお便りです。「見舞い」という言葉が示すように、その根本には相手を思いやる優しい心が流れています。
江戸時代から続くこの習慣は、もともと盆の時期に親戚や知人を訪問してお中元を贈る風習から生まれました。時代が進むにつれて、遠方の方への挨拶として手紙やハガキで送るスタイルが定着していったのです。
ビジネスシーンでは、普段なかなか表現できない感謝の気持ちを改めて伝える絶好の機会となります。特に上司への暑中見舞いは、日頃のご指導への感謝と、お体を気遣う気持ちを丁寧に表現できる素晴らしいコミュニケーションツールなのです。
デジタル時代だからこそ光る手書きの価値
メールやSNSが当たり前になった現代において、手間をかけて書く一枚のハガキは特別な意味を持ちます。受け取った相手は「わざわざ私のために時間を使って書いてくれた」という気持ちになり、送り主への印象が大きく向上することでしょう。
また、暑中見舞いは相手に何かを求めるものではなく、純粋に気遣いを示すものです。そのため、押し付けがましさを感じさせずに、自然な形で良好な関係を築くことができるのです。
絶対に間違えられない!送る時期とタイミングの完全ガイド
暑中見舞いで最も重要なのが「いつ送るか」です。適切な時期を外してしまうと、マナー違反になってしまう可能性があるため、しっかりと確認しておきましょう。
2025年の正確な送付期間
暑中見舞いを送る正式な期間は、二十四節気に基づいて決められています。具体的には「小暑」から「立秋」の前日までとされており、2025年の場合は以下の通りです。
この期間内に相手の手元に届くように送るのが正式なマナーです。梅雨が長引いて「まだ暑くなっていないから」と感じても、暦の上では7月中旬頃から送り始めて全く問題ありません。
逆に、8月8日頃を過ぎてしまった場合は「暑中見舞い」ではなく「残暑見舞い」として送ることになります。挨拶文も変わりますので、くれぐれも混同しないよう注意してください。
残暑見舞いへの切り替えタイミング
立秋(8月8日頃)を過ぎた場合は、自動的に「残暑見舞い」に切り替わります。残暑見舞いの送付期間は、立秋から8月末頃までが一般的な目安となっています。
挨拶文は「暑中お見舞い申し上げます」から「残暑お見舞い申し上げます」に変更し、時候の挨拶も「立秋とは名ばかりで」「暦の上では秋とは申しますが」といった表現を使うようになります。
地域による気候の違いも考慮しよう
日本は南北に長い国土を持つため、地域によって暑さの訪れ方や厳しさが異なります。沖縄のように早くから暑くなる地域もあれば、北海道のように比較的涼しい地域もあります。
相手がお住まいの地域の気候を意識して、時候の挨拶を選ぶとより心のこもった暑中見舞いになります。たとえば北海道にお住まいの方には「例年より涼しい夏となっておりますが」といった表現を使うなど、細やかな配慮を見せることができます。
上司に送る前に必読!基本マナーと絶対避けたい失敗
上司への暑中見舞いは、プライベートな手紙とは異なり、ビジネスマナーが重要になってきます。細部まで気を配ることで、礼儀正しく配慮の行き届いた人物という印象を与えることができます。
ハガキ選びから始まる第一印象
使用するハガキは、郵便局で販売されている官製はがきが最も無難で適切です。胡蝶蘭の絵柄が印刷された一般的なものを選んでおけば、まず間違いはありません。
もし季節感のある絵柄入りのハガキを選ぶ場合は、金魚や朝顔、風鈴といった上品で落ち着いた夏の風物詩が描かれたものにしましょう。派手すぎるデザインやキャラクターもの、個性的すぎるイラストは避けるのが賢明です。
ハガキの質感も大切で、あまりに安っぽいものや光沢が強すぎるものは避け、上質で落ち着いた印象を与えるものを選ぶことをおすすめします。
宛名書きで差がつく丁寧さのポイント
宛名は相手への敬意を示す重要な部分です。ここでの配慮が、あなたの人柄を表現することになります。
送付先については、会社宛てでも自宅宛てでも構いませんが、可能であれば自宅宛てに送る方がより心のこもった印象を与えます。ただし、自宅住所がわからない場合は、無理に調べずに会社宛てで問題ありません。
敬称の使い方にも注意が必要です。個人名には必ず「様」を付けますが、「社長様」「部長様」のように役職名に「様」を付けるのは間違いです。正しくは「代表取締役社長 山田太郎様」「営業部 部長 田中花子様」のように、役職を名前の前に記載します。
文章作成で気をつけたい8つのルール
暑中見舞いの文章には、伝統的なルールがいくつかあります。これらを知っておくことで、格式高い仕上がりになります。
句読点は使わないのが正式
毛筆で書かれていた時代の名残から、お祝い事や季節の挨拶状では「区切りをつけない」という意味を込めて句読点を使わないのが正式とされています。読点の代わりには適度な空白を、句点の代わりには改行を使用しましょう。
挨拶文は目立つように
冒頭の「暑中お見舞い申し上げます」は、本文よりも大きな文字で書くことで、全体のバランスが良くなり、より丁寧な印象を与えます。
インクの色は黒系で統一
赤いインクで名前や文章を書くのは、昔から縁起が悪いとされ、特にビジネスシーンでは絶対に避けるべきです。黒または濃い青色のインクを使用しましょう。
明るく前向きな内容を心がける
暑中見舞いは相手を気遣う便りですので、仕事の愚痴や体調不良といった心配をかけるような内容は避けます。常に明るく前向きなトーンを保ちましょう。
自慢話と受け取られる表現は避ける
「海外旅行に行きました」「高級レストランで食事をしました」といった内容は、相手によっては自慢と受け取られる可能性があります。謙虚で慎み深い表現を心がけましょう。
忌中・喪中の方への配慮
相手が忌中・喪中の場合は、お祝い事を避けるという意味で暑中見舞いの送付は控えます。時期をずらして寒中見舞いとして送るなどの配慮が必要です。
修正は絶対に行わない
書き損じた場合は、修正液や修正テープを使わず、新しいハガキに書き直すのが礼儀です。事前に下書きをしておくと安心です。
適度な長さを保つ
長すぎると読むのが大変になり、短すぎると素っ気ない印象を与えてしまいます。ハガキの裏面に程よく収まる分量を心がけましょう。
心に響く暑中見舞いを書くための5ステップ構成
暑中見舞いには決まった構成があります。この流れに沿って書くことで、自然で心のこもったメッセージを作成できます。それぞれのステップで何を書くべきか、詳しく見ていきましょう。
ステップ1:季節の挨拶で印象的なスタート
まず初めに書くのは、季節の挨拶です。これが暑中見舞いの「顔」となる部分ですので、本文よりも大きく、目立つように書きましょう。
基本的には「暑中お見舞い申し上げます」が一般的ですが、より丁寧な印象を与えたい場合は「暑中お伺い申し上げます」という表現もあります。相手との関係性や、どの程度フォーマルにしたいかによって選択しましょう。
ステップ2:相手を気遣う時候の挨拶
次に続くのは、相手の健康や近況を気遣う時候の挨拶です。ここで大切なのは、相手の住んでいる地域の気候や、その年の気象状況を考慮することです。
例えば猛暑が続いている年であれば「連日の猛暑にうんざりしておりますが」「例年にない厳しい暑さが続いておりますが」といった表現が適しています。逆に冷夏の年であれば「例年より涼しい夏となっておりますが」「肌寒い日もございますが」といった表現を使います。
この部分で相手への配慮を示すことで、「きちんと相手のことを考えて書いている」という印象を与えることができます。
ステップ3:感謝の気持ちと近況報告
ここが暑中見舞いの「本文」にあたる部分です。日頃の感謝の気持ちを伝えるとともに、簡潔な近況報告を行います。
上司へのメッセージとして効果的なのは、具体的な感謝の内容を盛り込むことです。「先日のプロジェクトでは貴重なアドバイスをいただき」「いつも温かいご指導をいただき」といった具体性のある表現が心に響きます。
近況報告では、仕事への前向きな姿勢や成長への意欲を示すような内容を含めると、上司に良い印象を与えることができます。
ステップ4:相手の健康を願う結びの言葉
文章の最後は、相手の健康や息災を願う言葉で締めくくります。時候の挨拶と似たような表現にならないよう、バリエーションを持たせることが大切です。
「くれぐれもご自愛ください」「お健やかにお過ごしください」「ご無理なさらないでください」など、相手への気遣いが伝わる温かい言葉を選びましょう。
ステップ5:日付で全体を引き締める
最後に日付を記します。具体的な月日は書かず、年と季節を表す言葉で締めるのが一般的です。
「令和七年 盛夏」「2025年 盛夏」といった表記が標準的です。縦書きの場合は「令和七年」のように漢数字を使用します。
そのまま使える!シーン別暑中見舞い例文集
ここからは、さまざまな状況に応じた例文をご紹介します。あなたの状況に近いものを参考に、必要に応じてアレンジしてご活用ください。
直属の上司への基本的な例文
暑中お見舞い申し上げます
猛暑の候 〇〇部長におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご指導ご鞭撻を賜り 心より感謝申し上げます
おかげさまで私どもも元気に過ごしております
まだまだ厳しい暑さが続きますが くれぐれもお体を大切にお過ごしください
令和七年 盛夏
特にお世話になっている上司への丁寧な例文
暑中お見舞い申し上げます
連日の酷暑に閉口いたしますが 〇〇課長におかれましてはお変わりなくご活躍のことと存じます
日頃は何かとお心にかけていただき 厚く御礼申し上げます
未熟な私ではございますが 課長からいただいたご指導を胸に一層精進する所存でございます
暑さはこれからが本番と申します どうかご無理なさらずお健やかにお過ごしください
令和七年 盛夏
休暇をいただいた後の上司への例文
暑中お見舞い申し上げます
厳しい暑さが続いておりますが 〇〇様にはご健勝のことと何よりに存じます
さて 先日は長期の休暇をお許しいただき 誠にありがとうございました
心身ともにリフレッシュすることができ 新たな気持ちで業務に取り組んでおります
この活力を存分に仕事に活かせるよう 一層努力して参ります
時節柄 何卒ご自愛のほどお祈り申し上げます
令和七年 盛夏
異動や転勤をした元上司への例文
暑中お見舞い申し上げます
ご無沙汰しておりますが 〇〇様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます
新しい環境はいかがでしょうか
こちらでは〇〇様にご指導いただいたことを日々活かし チーム一同頑張っております
厳しい暑さがまだまだ続きますので どうかお体にはお気をつけてお過ごしください
またお目にかかれる日を心より楽しみにしております
令和七年 盛夏
あまり接点のない上司へのシンプルな例文
暑中お伺い申し上げます
炎暑のみぎり 〇〇部長におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
おかげさまで私どもも変わりなく過ごしております
暑さはまだ続きそうですが くれぐれもご無理なさらないでください
令和七年 盛夏
役員クラスへのより丁寧な例文
暑中お見舞い申し上げます
酷暑の候 〇〇取締役におかれましてはご多忙の中にも益々ご壮健のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り 深く感謝申し上げます
微力ながら〇〇取締役のご期待にお応えできるよう 一層精励する覚悟でございます
炎暑の折から何卒ご自愛のほどお祈り申し上げます
令和七年 盛夏
印刷でも心が伝わる!手書き一言メッセージのコツ
最近では、文面を印刷して暑中見舞いを作成する方も増えています。印刷でも全く問題ありませんが、最後に手書きで一言を添えるだけで、温かみが格段に増し、特別感のある仕上がりになります。
効果的な手書きメッセージの例
手書きメッセージは、印刷された文面の下の余白部分に、3行程度で簡潔に書くのがポイントです。あまり長くなると全体のバランスが崩れてしまうため、心のこもった短いメッセージを心がけましょう。
感謝を具体的に表現する例
「先月のプレゼンでは貴重なアドバイスをいただき本当にありがとうございました」
「いつも温かく見守っていただき心から感謝しております」
今後への意欲を示す例
「秋からの新プロジェクトでも精一杯頑張らせていただきます」
「ご指導いただいたことを胸に さらに成長していきたいと思います」
相手への気遣いを示す例
「お忙しい毎日とは思いますが くれぐれもお体を大切になさってください」
「夏バテなどなさいませんよう お健やかにお過ごしください」
手書きする際の注意点
手書き部分は印刷された文字よりも少し小さめに書くと、全体のバランスが良くなります。また、丁寧な文字で書くことはもちろんですが、あまり神経質になりすぎず、自然な文字で書くことも大切です。
インクは印刷部分と同じ黒色を使用し、できれば万年筆やサインペンよりも、ボールペンで書く方が印刷との違和感が少なくなります。
現代的なアプローチ:メールで暑中見舞いを送る方法
近年、職場によってはメールやビジネスチャットで季節の挨拶を行うケースも増えています。ハガキが最も丁寧で正式な方法であることは変わりませんが、社内の慣習や相手との関係性によっては、メールでも十分に気持ちを伝えることができます。
メールで送る際の基本ルール
メールで暑中見舞いを送る場合は、いくつかの注意点があります。まず、件名で内容がすぐにわかるようにすることが大切です。「【暑中お見舞い】営業部 山田より」のように、一目で暑中見舞いだとわかる件名にしましょう。
また、メールはハガキよりも簡潔にまとめることが重要です。長文になりすぎると、忙しい上司にとって負担になってしまう可能性があります。要点を絞って、感謝の気持ちと気遣いの言葉を中心に構成しましょう。
送信時期はハガキと同様で、7月7日頃から8月7日頃までの間に送ります。メールの場合、相手がいつ確認するかわからないため、できるだけ平日の営業時間内に送信することをおすすめします。
メール用暑中見舞いの例文
件名:【暑中お見舞い】営業部 山田太郎より
〇〇部長
いつもお世話になっております
営業部の山田です
厳しい暑さが続いておりますが いかがお過ごしでしょうか
本来であればハガキでお送りすべきところ 誠に恐縮ながらメールにて失礼いたします
日頃は温かいご指導を賜り 心より感謝申し上げます
おかげさまで私も元気に過ごしております
まだまだ暑い日が続きますので どうぞご無理なさらないでください
〇〇部長の益々のご健勝を心よりお祈り申し上げます
営業部 山田太郎
メール送信時の注意点
メールで暑中見舞いを送る際は、一斉送信は避けて必ず個別に送信しましょう。BCCで複数人に同時送信すると、それぞれの方への特別感が薄れてしまいます。
また、普段からメールでやり取りをしている相手であっても、暑中見舞いは季節の正式な挨拶ですので、いつもより少し丁寧な敬語を使うことを心がけましょう。
よくある失敗例とその対策法
暑中見舞いを送る際によくある失敗と、それを避けるための対策をご紹介します。事前に知っておくことで、マナー違反を防ぐことができます。
時期を間違えてしまう失敗
最も多い失敗が、送る時期を間違えることです。特に8月後半に「暑中見舞い」として送ってしまうケースがよく見られます。
敬語の使い方を間違える失敗
「部長様」「課長様」といった敬称の重複や、謙譲語と尊敬語の混同も多い失敗例です。
内容が堅すぎる・軽すぎる失敗
ビジネス文書のように堅くなりすぎて血の通わない文章になったり、逆に親しみやすさを意識しすぎて軽い印象になってしまうケースがあります。
住所や宛名を間違える失敗
意外と多いのが、住所や宛名の間違いです。特に異動が多い時期ですので、古い情報のまま送ってしまうことがあります。
対策:送付前に必ず最新の住所や所属を確認しましょう。不安な場合は、同僚に確認したり、会社の名簿で再チェックすることをおすすめします。
返事をいただいた場合の対応マナー
暑中見舞いに対してお返事をいただいた場合の対応についても触れておきましょう。適切な対応ができると、さらに良い関係を築くことができます。
お返事をいただいた際の基本対応
上司から暑中見舞いのお返事をいただいた場合、必ずしも再度お便りを送る必要はありません。しかし、直接お会いした際に「ご丁寧にありがとうございました」と一言お礼を述べることで、気遣いができる人という印象を与えることができます。
もし文面で特別なメッセージや気遣いの言葉をいただいた場合は、時期をずらして残暑見舞いとしてお返事を送ることも一つの方法です。
来年以降の関係継続について
一度暑中見舞いを送ったら、翌年以降も継続して送ることが望ましいとされています。途中でやめてしまうと「今年は送ってこなかった」と気づかれる可能性があり、かえって印象を悪くしてしまうことがあります。
継続的に送ることで、毎年の恒例行事として相手にも認識され、良好な関係の維持に役立ちます。
まとめ:心のこもった暑中見舞いで上司との絆を深めよう
暑中見舞いは、決して難しいものではありません。適切な時期に、心を込めて相手を気遣う気持ちを表現することが何よりも大切です。
デジタル化が進む現代だからこそ、手間をかけて送る一枚のハガキは特別な価値を持ちます。上司との日頃の関係性を振り返り、感謝の気持ちを込めて、あなたらしい言葉で暑中見舞いを作成してみてください。
きっとその気持ちは相手に伝わり、職場でのより良い人間関係の構築につながることでしょう。一枚のハガキが、あなたのキャリアにプラスの影響をもたらすきっかけになるかもしれません。
この記事でご紹介した内容を参考に、自信を持って素敵な暑中見舞いを送っていただければと思います。
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