夏の暑さが本格的になる頃、お世話になっている方々へ感謝の気持ちを込めて送る暑中見舞い。日本の美しい季節の挨拶として長く愛され続けている習慣ですが、いざ準備しようと思うと「いつ頃送るのが正しいの?」「どんな文章を書けば失礼にならない?」といった疑問が次々と浮かんでくるものです。
この記事では、2025年の具体的な日程をもとに、暑中見舞いを送る最適なタイミングから、相手に喜ばれる文章の書き方、知っておきたいマナーのポイントまで、初心者の方でも安心して実践できるよう詳しく解説していきます。準備から投函まで、この一記事ですべてが分かるように構成していますので、ぜひ最後までお読みください。
2025年の暑中見舞いの時期を正確に把握しよう
暑中見舞いを送る時期は、日本の伝統的な暦に基づいて決められています。適切な時期を知ることで、季節感のある心のこもった挨拶状を送ることができます。まずは基本となる期間をしっかりと理解しましょう。
二十四節気で決まる暑中見舞いの基本期間
暑中見舞いを送る期間は、二十四節気の「小暑」から「立秋」の前日までとされています。これは古くから日本で使われている季節の区切り方で、実際の気候の変化に合わせて決められた合理的なタイミングなのです。
小暑は「本格的な暑さが始まる頃」を意味し、この日から夏の挨拶として暑中見舞いを送り始めます。一方、立秋は「暦の上で秋が始まる日」とされ、この日以降は「残暑見舞い」として季節の挨拶を続けることになります。
2025年の暦による期間
- 小暑:7月7日(月曜日)
- 立秋:8月7日(木曜日)
- 暑中見舞いの期間:7月7日頃~8月6日まで
実際の気候と暦のバランスを考慮した送り方
暦の上では7月7日から送り始めることができますが、実際の生活では梅雨の状況も考慮に入れることが大切です。じめじめとした梅雨の最中に「猛暑お見舞い申し上げます」という挨拶が届くと、少し季節感がずれている印象を与えてしまう可能性があります。
理想的なのは、お住まいの地域の梅雨明けを確認してから送ることです。ただし、近年は梅雨明けが遅くなる傾向もあるため、8月に入っても梅雨が続いているような場合は、暦に従って7月中旬頃から送り始めても問題ありません。
地域による梅雨明けの違いと対処法
日本は南北に長い国土のため、地域によって梅雨明けの時期が大きく異なります。沖縄では6月下旬、九州南部では7月中旬、関東では7月下旬、東北では8月上旬といったように、約1か月以上の差があることも珍しくありません。
遠方の方に送る場合は、相手の地域の気候状況も考慮に入れると、より気の利いた挨拶になります。北海道や東北地方の方には少し遅めに、沖縄や九州の方には早めに送るといった配慮ができれば理想的です。
立秋を過ぎたら「残暑見舞い」に切り替えよう
忙しい日々の中で、うっかり立秋(8月7日)を過ぎてしまうこともあります。そんな時でも慌てる必要はありません。立秋以降は「残暑見舞い」として、まだまだ続く厳しい暑さの中で相手の健康を気遣う挨拶状を送ることができます。
残暑見舞いの期間と注意点
残暑見舞いは、立秋(8月7日)から8月末までに送るのが一般的です。9月に入ると暦の上では秋が深まっているとされるため、残暑見舞いとしては少し遅い印象を与えてしまいます。
挨拶の言葉も「暑中お見舞い申し上げます」から「残暑お見舞い申し上げます」に変更し、立秋は過ぎたものの続く暑さへの配慮を示しましょう。
種類 | 期間(2025年) | 挨拶の言葉 | 特徴 |
---|---|---|---|
暑中見舞い | 7月7日頃 ~ 8月6日 | 暑中お見舞い申し上げます | 夏の本格的な暑さに対する気遣い |
残暑見舞い | 8月7日 ~ 8月末 | 残暑お見舞い申し上げます | 立秋後も続く暑さへの配慮 |
心が伝わる暑中見舞いの文章構成とコツ
適切な時期が分かったら、次は内容です。暑中見舞いには基本的な構成があり、この流れに沿って書くことで、誰でも失礼のない美しい挨拶状を作ることができます。文章作りが苦手な方でも安心して取り組めるよう、段階的に解説していきます。
暑中見舞いの4つの基本要素
暑中見舞いは、次の4つの要素で構成するのが伝統的な形です。この順序を守ることで、読みやすく品のある文章になります。
1. 季節の挨拶(見舞いの言葉)
「暑中お見舞い申し上げます」といった決まり文句を、他の文字よりも少し大きめに書きます。これが挨拶状の冒頭を飾る重要な部分です。
2. 時候の挨拶と相手への気遣い
「厳しい暑さが続いておりますが」「連日の猛暑」といった季節感のある表現で始まり、「お変わりなくお過ごしでしょうか」「ますますご健勝のことと存じます」など、相手の健康や近況を気遣う言葉を続けます。
3. 近況報告や感謝の気持ち
「おかげさまで、私どもは元気に過ごしております」「日頃は格別のご厚情を賜り」など、自分の状況や相手への感謝を表現します。ここが最も個性を出せる部分でもあります。
4. 結びの言葉と日付
「くれぐれもご自愛ください」「今後ともよろしくお願いいたします」といった結びの言葉で締めくくり、「令和七年 盛夏」のように日付を添えます。
相手との関係性に応じた文体の選び方
暑中見舞いの文体は、送る相手との関係性によって調整することが大切です。同じ内容でも、言葉遣いを変えるだけで印象が大きく変わります。
目上の方や上司、お客様などには丁寧語や敬語を多用した格式のある文体を、親しい友人や同僚には親近感のある自然な文体を、親戚や家族には温かみのある親しみやすい文体を選ぶようにしましょう。
シーン別・関係性別の実用的な文例集
ここからは、実際にすぐ使える文例をご紹介します。送る相手に合わせて参考にしてください。文例はそのまま使っていただいても、アレンジを加えてオリジナリティを出していただいても構いません。
上司・目上の方への礼儀正しい文例
職場の上司や恩師、お世話になった目上の方には、敬意が伝わる丁寧な表現を心がけましょう。感謝の気持ちと今後のお付き合いをお願いする言葉を含めることで、良好な関係を維持できます。
文例1:シンプルで上品な構成
暑中お見舞い申し上げます
連日厳しい暑さが続いておりますが、○○様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は公私にわたり格別のご指導を賜り、心より感謝申し上げております。
まだしばらく暑い日が続く見込みでございますが、くれぐれもご無理をなさいませんよう、お体を大切になさってください。
今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和七年 盛夏
文例2:具体的な感謝を込めて
暑中お見舞い申し上げます
猛暑の毎日ですが、○○部長にはお変わりなくご活躍のことと存じます。
先日のプロジェクトでは貴重なアドバイスをいただき、おかげさまで無事に完了することができました。
私どもも家族共々、元気に夏を過ごしております。
酷暑の折、何卒ご自愛のほどお祈り申し上げます。
令和七年 盛夏
親戚・親しい方への温かみのある文例
親戚や親しくお付き合いいただいている方には、少し砕けた表現で家族の様子や季節の出来事を交えると、親近感のある挨拶状になります。相手の家族についても触れると、より心のこもった印象を与えられます。
文例1:家族の近況を交えて
暑中お見舞い申し上げます
今年は例年以上に暑い夏になりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。
こちらは家族全員、夏休みを利用して海水浴に出かけたり、花火大会を楽しんだりと、夏らしい思い出作りに励んでおります。
子どもたちは毎日プールで真っ黒に日焼けして、たくましく成長している様子です。
○○さんのお宅のお庭のひまわりは、今年も見事に咲いているでしょうね。
まだまだ暑い日が続きますが、皆様どうぞお体を大切になさってください。
令和七年 盛夏
友人・同僚へのカジュアルな文例
親しい友人や同僚には、堅苦しい表現は不要です。夏らしい楽しい話題や、次回会う約束なども盛り込んで、親しみやすい内容にしましょう。
文例1:夏の思い出と今後の約束
暑中お見舞い申し上げます
毎日溶けそうなほど暑いけど、元気にしてる?
この間一緒に行った夏祭りでは、久しぶりにたくさん笑って、とても楽しかったよ。ありがとう!
今度はみんなでビアガーデンにでも行って、暑さを忘れて盛り上がろう。
夏バテに気をつけて、この猛暑を一緒に乗り切ろうね。
令和七年 盛夏
ビジネス・取引先向けのフォーマルな文例
法人として取引先に送る場合は、時候の挨拶と日頃の感謝、今後の関係継続への希望を簡潔にまとめます。会社の近況報告を少し加えると、より人間味のある挨拶状になります。
ビジネス向け文例
暑中お見舞い申し上げます
盛夏の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
弊社におきましても、社員一同元気に業務に励んでおります。
今後とも末永くお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
酷暑の折、皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
令和七年 盛夏
株式会社○○ 代表取締役 ○○○○
ライフイベント報告を兼ねた暑中見舞いの活用法
暑中見舞いは、結婚や出産、転居といった人生の節目を報告する絶好の機会でもあります。年賀状まで待たずに、タイムリーに近況をお知らせできる点が魅力です。
結婚報告を兼ねた文例
暑中お見舞い申し上げます
厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、私事ではございますが、この度縁あって結婚いたしました。
新しい住所は下記の通りです。
未熟な二人ですが、温かく見守っていただければ幸いです。
暑い日が続きますが、どうぞお体を大切になさってください。
令和七年 盛夏
新住所:〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3
○○太郎・花子
転居報告を兼ねた文例
暑中お見舞い申し上げます
猛暑の毎日ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
この度、家族の都合により転居いたしました。
新しい環境にも慣れ、家族一同元気に過ごしております。
お近くにお越しの際は、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
まだまだ暑い日が続きますが、皆様のご健康をお祈りしております。
令和七年 盛夏
新住所:〒000-0000 大阪府○○市○○町1-2-3
TEL:06-0000-0000
知っておきたい暑中見舞いのマナーと細かな配慮
内容が決まったら、最後に見落としがちなマナーをチェックしましょう。些細なことに思えるかもしれませんが、こうした配慮の積み重ねが、あなたの印象をより良いものにします。
はがきの選び方と書く道具について
はがきは官製はがき(郵便局で売られている切手不要のもの)でも、私製はがき(文房具店などで売られている切手が必要なもの)でも問題ありません。夏らしいデザインのものを選ぶと季節感が伝わり、受け取った方にも喜んでもらえます。
最近では、涼しげな水色や緑色を基調としたデザイン、朝顔やひまわりなどの夏の花をあしらったもの、金魚や風鈴といった夏の風物詩をモチーフにしたものなど、バリエーション豊富なはがきが販売されています。
美しく書くための道具選び
手書きで書く場合は、黒または濃い青色のインクを使用しましょう。万年筆や筆ペンが最も格調高く見えますが、書きやすさを重視するなら滲みにくいゲルインクのボールペンでも十分です。
注意したいのは、薄墨は弔事用の色とされているため、暑中見舞いには適さないということです。また、カラフルなペンも挨拶状としては不適切なので避けましょう。
宛名書きの正しい敬称の使い方
意外と間違いやすいのが敬称の使い方です。正しい使い方を覚えて、失礼のないようにしましょう。
敬称の正しい使い分け
- 個人宛て:「様」を使用(お子様でも「ちゃん」「くん」ではなく「様」が正式)
- 会社・部署宛て:「御中」を使用(例:株式会社○○ 御中、営業部 御中)
- 会社の担当者個人宛て:会社名・部署名の後に個人名+「様」(「御中」は使わない)
避けるべき表現とNG言葉
無意識に使ってしまいがちですが、挨拶状にふさわしくない表現もあります。投函前に一度チェックしましょう。
「終わる」「衰える」「失う」「倒れる」といった、不吉なことを連想させる忌み言葉は避けるべきです。また、「きっとお元気でしょう」のように相手の状況を決めつける表現よりも、「お変わりなくお過ごしでしょうか」といった疑問形の方が丁寧で適切です。
特殊なケースへの対応方法
日常的には起こりにくいけれど、実際に遭遇すると困ってしまう特殊なケースについて、適切な対応方法をご紹介します。
相手が喪中の場合の配慮
相手が喪中であることを知っている場合は、暑中見舞いを送るのは控える方が無難です。どうしても気持ちを伝えたい場合は、四十九日が過ぎてから、お祝い事を連想させない言葉を選んで送ります。
その際は「暑中見舞い」という言葉は使わず、「暑中ご挨拶」「夏のご挨拶」として、故人を偲び遺族を気遣う内容に留めます。はがきも華やかなデザインは避け、無地や落ち着いたものを選びましょう。
自分が喪中の場合の対応
自分が喪中の場合は、自分から暑中見舞いを出すのは控えます。もし例年やり取りしている方から暑中見舞いをいただいた場合は、喪中欠礼はがきを早めに(7月から8月頃に)出して、年末年始の挨拶を控える旨をお知らせするのが丁寧な対応です。
現代的な送り方:メールやSNSの活用
親しい友人や同僚であれば、メールやLINEなどのSNSで暑中見舞いを送るのも現代的な方法として受け入れられています。手軽で便利な上、写真を添付したり、グループメッセージで複数の人に同時に送ったりすることも可能です。
ただし、上司や目上の方、フォーマルな関係の取引先には、従来通りはがきで送るのが適切です。相手との関係性と状況に合わせて、最適な方法を選択しましょう。
暑中見舞いをもらった時の返信マナー
暑中見舞いをいただいた場合の返信について詳しく解説します。お心遣いをいただいたら、適切にお礼の気持ちを示すことが大切です。
返信のタイミングと方法
暑中見舞いに対する返信は義務ではありませんが、お心遣いには感謝の気持ちを示すのが礼儀です。返信する場合は、できるだけ早めに、同じく暑中見舞いまたは残暑見舞いとして送りましょう。
返信が立秋(8月7日)を過ぎてしまった場合は、「残暑見舞い」として送ります。あまりにも遅くなってしまった場合は、次回会った時にお礼を述べる程度でも問題ありません。
返信の文例
暑中お見舞い申し上げます
この度は丁寧なお見舞い状をいただき、ありがとうございました。
○○様にはお変わりなくお過ごしとのこと、何よりでございます。
おかげさまで、私どもも家族一同元気に過ごしております。
まだしばらく厳しい暑さが続きそうですが、どうぞご自愛ください。
令和七年 盛夏
よくある質問と疑問を解決
最後に、暑中見舞いについてよく寄せられる質問にお答えします。これらを参考に、自信を持って暑中見舞いを送ってください。
- 寒中見舞いとの違いは何ですか?
-
寒中見舞いは冬の寒い時期(松の内が明けてから立春の前まで、おおよそ1月8日から2月3日頃)に送る挨拶状です。年賀状の返信が遅れた場合や、喪中の方への挨拶としても使われます。暑中見舞いとは送る時期も目的も全く異なります。
- 海外在住の方に送る場合の注意点は?
-
海外に送る場合は、配達に時間がかかることを考慮して早めに投函しましょう。また、相手の住んでいる地域が南半球の場合、日本とは季節が逆になるため、季節感のある表現は避けて、健康を気遣う言葉を中心とした内容にするのが適切です。
- 企業として大量に送る場合のコツは?
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多くの取引先に送る場合は、印刷を利用しても問題ありませんが、可能であれば手書きで一言添えると印象が良くなります。「いつもありがとうございます」「今後ともよろしくお願いいたします」といった短い言葉でも効果的です。
まとめ:心を込めた暑中見舞いで人とのつながりを深めよう
暑中見舞いは、厳しい夏の暑さの中で相手の健康を気遣い、日頃の感謝を伝える日本の美しい文化です。正しい時期とマナーを知ることで、あなたの温かい気持ちはより確実に、そして深く相手に届くことでしょう。
デジタル化が進む現代だからこそ、手書きの一枚のはがきが持つ温かみと特別感は、受け取る人にとって大きな喜びとなります。この記事でご紹介したポイントと文例を参考に、ぜひ今年はあなたらしい言葉で心のこもった暑中見舞いを送ってみてください。
一枚のはがきから始まる心の交流が、人と人とのつながりをより豊かで温かなものにしてくれるはずです。2025年の夏が、あなたにとって素晴らしい季節となりますように。
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