川越いも友の会とは?さつまいもの日(10月13日)を定めた理由と活動内容

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10月13日が「さつまいもの日」だと知って、「誰がこの日を決めたんだろう」と調べてみたら、「川越いも友の会」という名前にたどり着いた方もいるのではないでしょうか。名前からは、どんな人たちが何をしている会なのか、なかなか想像がつきません。

この記事では、川越いも友の会の成り立ちと活動の中身、さつまいもの日を10月13日にした理由、その背景にある「川越いも」の歴史、毎年10月13日に開かれる行事までをまとめました。

川越いも友の会は、埼玉県川越市で1984年に生まれた、さつまいもを愛する人たちの会です。1987年に10月13日を「さつまいもの日」と定めたのが、この会です。

目次

川越いも友の会とは?1984年に生まれた川越いもの愛好会

川越いも友の会は、埼玉県川越市を拠点に、「川越いも」と呼ばれてきたさつまいもの文化を守り、広めることを目的に活動している市民の会です。農家や企業がつくった団体ではなく、さつまいもに関心を持つ市民が集まって生まれました。

項目内容
名称川越いも友の会
拠点埼玉県川越市
発足1984年(昭和59年)3月
発足時の人数約40名
目的川越いもの文化の保存と、その魅力を広めること
主な実績1987年に10月13日を「さつまいもの日」と制定/1991年にサントリー地域文化賞を受賞

始まりは公民館講座「さつまいも大学」と「川越いも研究会」

会が生まれるきっかけになったのは、川越市の公民館で開かれていた講座「さつまいも大学」です。この講座の参加者と、さつまいもの歴史や栽培を学術的に調べていた「川越いも研究会」の有志、あわせて約40名が集まり、1984年3月に川越いも友の会が発足しました。

川越いも研究会は、1981年に地元の有志が、さつまいもの歴史や栽培の資料探しを始めたことから立ち上がった研究会です。つまり友の会は、「調べる人」と「楽しむ人」が合流してできた会といえます。研究の成果を、講座や食の体験を通して市民に伝えていく。この二つの顔をあわせ持っているのが、川越いも友の会の特徴です。

会の主な活動(研究・体験栽培・料理講習会・出版)

サントリー文化財団の紹介によると、友の会はさつまいもの品種・栽培・加工・流通・料理・歴史といった幅広いテーマで研究を続けてきました。そのうえで、市民向けに次のような活動を行っています。

  • 体験栽培:畑で苗を植え、秋に収穫するまでを参加者と一緒に体験する
  • シンポジウム:さつまいもの歴史や産地の未来をテーマに語り合う場を設ける
  • 料理講習会:家庭でつくれるさつまいも料理を広める
  • 出版:120種類のさつまいも料理を紹介した『昭和甘藷百珍』などを刊行

『昭和甘藷百珍』の書名は、江戸時代の寛政元年(1789年)に出版された料理本『甘藷百珍』にちなんだものです。江戸時代にもさつまいも料理だけを集めた本があったほど、さつまいもは庶民に親しまれた食材でした。友の会は、その流れを昭和の時代に受け継ごうとしたわけです。会員数は最も多いときで100名を超え、1990年代の資料では80名余りと紹介されています。

10月13日「さつまいもの日」は川越いも友の会が定めた

川越いも友の会の名前が最もよく知られるきっかけになったのが、1987年(昭和62年)に定めた「さつまいもの日」です。毎年10月13日になると、テレビやニュースサイトで「今日はさつまいもの日」と紹介されますが、その出どころをたどると、この会に行き着きます。

サントリー文化財団の紹介では、さつまいもの日の制定は、友の会が続けてきた川越いもの啓発活動の一つとして位置づけられています。記念日をつくることで、1年に1度、さつまいもと川越の結びつきを思い出してもらう。そんなねらいがあったと考えられます。

「栗(九里)より(四里)うまい十三里」の語呂合わせ

10月13日の「13」は、江戸時代から伝わる「栗(九里)より(四里)うまい十三里」という言葉にちなんでいます。九里と四里を足すと十三里。「栗よりもおいしい」という意味を、距離の足し算にかけた洒落です。

なぜ「十三里」なのかには、主に二つの説があります。一つは、江戸から川越までの距離がおよそ十三里(約52km)だったからという説です。もう一つは、川越藩の殿様が将軍にさつまいもを献上したところ評判になり、川越までの距離にかけた呼び名が広まったという献上説です。どちらの説でも「十三里」は川越のさつまいもを指しており、江戸の人たちにとって川越が「おいしい芋の産地」として知られていたことがうかがえます。

10月に置いた理由(旬・収穫の時期)

「13」という数字だけなら、どの月の13日でもよかったはずです。それでも10月が選ばれたのは、10月がさつまいもの旬にあたるからです。関東では、さつまいもの収穫はおおむね9月から11月にかけて行われ、10月はちょうど掘りたてのさつまいもが出回る時期にあたります。

収穫の秋に、川越にちなむ「十三」を重ねたのが10月13日というわけです。10月は行事や旬の味覚が多い月なので、ほかの行事とあわせて秋の楽しみ方を知っておくと、さつまいもの日もいっそう身近に感じられます。

「十三里」と川越いもの歴史

川越いも友の会が守ろうとしている「川越いも」とは、どんなさつまいもなのでしょうか。実は「川越いも」という名前の品種があるわけではありません。江戸時代に川越藩の領地だった武蔵野台地一帯、現在の川越市や三芳町、所沢市のあたりでとれたさつまいもが、まとめて「川越いも」と呼ばれてきました。

武蔵野の雑木林と広い畑で、秋に掘り出したばかりの赤紫色のさつまいもが並ぶ収穫風景

江戸の焼き芋ブームを支えた川越藩領のさつまいも

江戸の町では、文化・文政期(1804〜1830年ごろ)に焼き芋が大流行しました。手ごろな値段でおなかが満たされる焼き芋は、冬の庶民の楽しみだったようです。焼き芋屋の看板には、栗(九里)に近い味という意味で「八里半」と書かれることもありました。のちに「栗より上」を名乗る「十三里」が登場したのは、さらにおいしさを売り込むためだったのでしょう。歌川広重の『名所江戸百景』「びくにはし雪中」にも、雪の日の焼き芋屋が描かれています。

この焼き芋の材料を支えたのが、川越藩領の畑です。川越藩領は、下総国の馬加村(現在の千葉市花見川区幕張のあたり)とならぶ、江戸向けの焼き芋用さつまいもの二大産地でした。川越から江戸までは新河岸川の舟運で農産物などの荷物が運ばれており、江戸との結びつきの強い土地でした。

焼き芋は今も秋冬の定番です。江戸の人たちが楽しんだ石焼きの甘さは、家庭の道具でも再現できます。

三富新田・関東ローム層・落ち葉堆肥の農法

武蔵野台地は、富士山などの火山灰が積もってできた関東ローム層に覆われています。水はけがよすぎて田んぼには向かない一方、さつまいもの栽培にはよく合う土地でした。川越藩主だった柳沢吉保が開拓を進めた「三富新田」(現在の三芳町・所沢市のあたり)も、こうした台地の上に開かれた畑作の村です。

この地域では、畑のまわりに雑木林を残し、冬に集めた落ち葉を1年以上かけて腐葉土にし、畑の肥料にする農法が受け継がれてきました。やせた台地の土を、落ち葉の力で少しずつ豊かにしてきたのです。この「武蔵野の落ち葉堆肥農法」は、2017年に日本農業遺産に、2023年には国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定されています。

「サツマイモの女王」紅赤

川越いもを代表する品種として知られるのが「紅赤(べにあか)」です。明治時代に、現在のさいたま市(旧浦和)の山田いちという女性が、「八つ房」という品種の中から皮の色が鮮やかな芋を見つけたのが始まりとされています。「金時」とも呼ばれ、関東一円に広まって「サツマイモの女王」と称されるほどになりました。

ただ、紅赤は育てるのが難しく、新しい品種に押されて生産量が減り、一時は「幻のさつまいも」とまで言われるようになりました。それでも現在は、川越市や三芳町、さいたま市の農家が栽培を続けています。三芳町では、伝統的な農法で育てた紅赤を「富の川越いも」というブランドで送り出しています。

「川越いも」は品種名ではなく、川越藩領だった武蔵野台地一帯でとれたさつまいもの呼び名です。紅赤はその代表的な品種のひとつです。

10月13日のいもの日まつりと妙善寺の「いも供養」

さつまいもの日の10月13日には、川越市内で「いもの日まつり」が開かれてきました。その中心となる行事が、市内のお寺で行われる「いも供養」です。食べ物としていただいてきたさつまいもに感謝し、供養するという、ほかではあまり見られない行事です。

川越市の資料によると、2023年には「第29回いもの日まつり『いも供養』」として、10月13日の13時30分から14時まで行われました。主催はいもの日まつり実行委員会で、毎年回を重ねてきた行事であることがわかります。サントリー文化財団の紹介でも、友の会がさつまいもの日に妙善寺でいも供養やクイズなどのイベントを行ってきたことが紹介されています。

さつまいも地蔵尊のある妙善寺

いも供養の会場は、川越市内にある天台宗の寺院「妙善寺」です。境内には「さつまいも地蔵尊」がまつられており、さつまいもとゆかりの深いお寺として知られています。さつまいもをかたどったお地蔵様は、川越の人たちがさつまいもをどれほど大切にしてきたかを物語っています。

川越というと、蔵造りの町並みや時の鐘、菓子屋横丁のある中心部がよく知られていますが、さつまいもにまつわる場所を訪ねると、また違った川越の顔が見えてきます。さつまいもの日に合わせて訪ねてみるのも、川越の歩き方のひとつです。

参加するときの確認ポイント

2023年の案内では、いも供養には誰でも自由に参加できるとされていました。ただし、開催の有無や時刻、内容は年によって変わる可能性があります。出かける前に、次の点を確認しておくと安心です。

出かける前に確認したいこと
  • その年に開催されるかどうか(川越市の広報や観光情報で確認)
  • 開始時刻と所要時間(2023年は13時30分〜14時の30分間)
  • お寺の境内で行う行事なので、参拝のマナーを守ること
  • 10月13日が平日の年もあるため、移動の時間に余裕を持つこと

この記事の行事の時刻や内容は、2023年の川越市の資料に基づいています。最新の情報は、川越市の公式サイトや主催者の案内で確認してください。

友の会の活動が川越の街に残したもの

川越いも友の会の活動は、記念日をつくっただけで終わりませんでした。サントリー文化財団は、友の会の活動に刺激されて、川越市内にいも料理の店やいも菓子の店が生まれたと紹介しています。今では「川越といえばさつまいも」というイメージが観光客にも定着し、いもを使ったお菓子や料理が川越みやげの定番になっています。

こうした取り組みが評価され、友の会は1991年に「サントリー地域文化賞」を受賞しました。この賞は、地域の文化の向上に貢献した個人や団体を表彰するものです。受賞時の紹介では、友の会の活動は「いもを愛する人々による、川越いもの保存と復権運動」と表現されています。

蔵造りの町並みを背景に、焼き芋やさつまいものお菓子が並ぶ秋の川越の店先のイメージ

「復権」という言葉からは、かつて江戸で名をはせた川越いもの評判を、もう一度取り戻そうとする思いが読み取れます。紅赤が「幻のさつまいも」と呼ばれるほど生産が減ったように、川越いもを取り巻く状況は時代とともに変わってきました。そのなかで、歴史を掘り起こし、料理を広め、記念日をつくって毎年話題にする。こうした地道な活動の積み重ねが、川越いもの名前を全国に届けることにつながりました。

川越市の資料では、友の会は現在、「いもの日まつり」の行事を中心に活動していると紹介されています。秋になると街のあちこちで見かける焼き芋の香りも、こうした活動の延長線上にあるのかもしれません。焼き芋の移動販売車を見かけたら、江戸の「十三里」を思い出してみてください。

川越いも友の会のよくある質問

川越いも友の会は今も活動していますか

川越市の資料では、現在は「いもの日まつり」の行事を中心に活動していると紹介されています。2023年には第29回のいもの日まつりが開かれました。最新の活動状況は、川越市の公式情報などで確認してください。

「十三里」とは何のことですか

焼き芋、とくに川越のさつまいもを指す呼び名です。「栗(九里)より(四里)うまい十三里」という語呂合わせから生まれ、江戸から川越までの距離が約十三里だったことに由来するとされています。

「川越いも」という品種があるのですか

品種名ではありません。江戸時代に川越藩の領地だった武蔵野台地一帯でとれたさつまいもを、まとめて「川越いも」と呼んできました。代表的な品種には、明治時代に見つかった「紅赤」があります。

10月23日の「おいもほりの日」とは違うのですか

別の記念日です。10月23日の「おいもほりの日」は、2021年に東洋アルミエコープロダクツが制定したもので、川越いも友の会が1987年に定めた10月13日の「さつまいもの日」とは成り立ちが異なります。

いも供養は誰でも参加できますか

2023年の案内では、誰でも自由に参加できるとされていました。開催の有無や時刻は年によって変わる可能性があるため、出かける前に川越市の広報や観光情報で確認しておくと安心です。

まとめ

川越いも友の会は、公民館講座と研究会の有志が集まって1984年に生まれた、川越のさつまいも文化を守り広める市民の会です。10月13日の「さつまいもの日」も、この会が1987年に定めました。

  • 研究・体験栽培・料理講習会・出版を通して、川越いもの魅力を伝えてきた
  • 10月13日は「栗(九里)より(四里)うまい十三里」とさつまいもの旬の10月を組み合わせた日
  • 川越いもは品種名ではなく、川越藩領の武蔵野台地でとれたさつまいもの呼び名
  • 毎年10月13日には、妙善寺で「いも供養」を中心とするいもの日まつりが開かれてきた

さつまいもの日に焼き芋を味わうときは、江戸の「十三里」と、その名前を今に伝えてきた川越の人たちの活動を思い出してみてください。いつもの焼き芋が、少し違った味わいに感じられるはずです。

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