「2匹目の猫を迎えたいけれど、先住猫が受け入れてくれるか心配」「連れて帰ったら先住猫がシャーッと威嚇して、どうしたらいいかわからない」。新しい猫を迎えるときには、こうした不安がつきものです。
この記事では、先住猫と新入り猫の慣らし方を、迎える前の準備から対面の5ステップ、次に進むかを見極めるサインまで順番に紹介します。結論から言うと、いきなり会わせず、別々の部屋で暮らすところから少しずつ距離を縮めていくのが基本です。仲良くなるまでの期間は数週間から数か月が目安で、先住猫の様子を優先しながら進めます。
先住猫と新入り猫は「いきなり会わせない」が基本【結論】
先住猫と新入り猫を仲良くさせるには、段階を踏んで少しずつ慣らしていくことがいちばん大切です。猫はにおいや気配で相手を確かめながら関係をつくっていくため、対面を急ぐほどこじれやすくなります。ここでいう「仲良く」は、寄り添って眠る関係だけを指すわけではありません。お互いを気にせず、ごはん・トイレ・睡眠をいつもどおりにとれる状態を最初の目標にして、全体の流れと期間の目安をつかんでおきましょう。
仲良くなるまでの期間は数週間〜数か月が目安
慣らしは、次の5つの段階で進めます。表の期間はあくまで目安で、猫の年齢や性格によって大きく前後します。
| 段階 | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 別室で新入り猫を落ち着かせる | 数日〜2週間 |
| STEP 2 | タオルや寝床でにおいを交換する | 数日〜1週間 |
| STEP 3 | 部屋を入れ替えて探検させる | 数日 |
| STEP 4 | ドア越し・ケージ越しに短時間会わせる | 数日〜2週間 |
| STEP 5 | 見守りながら同じ部屋で過ごす | 数週間〜 |
子猫を迎える場合は比較的早く進むことが多く、成猫どうしでは数か月かかることもあります。カレンダーで日数を区切るよりも、猫が落ち着いているかどうかを見て、次の段階に進むかを決めてください。途中で威嚇が強くなったら、ひとつ前の段階に戻してかまいません。
いきなり会わせると関係がこじれやすい理由
猫には、自分の暮らす場所を縄張りとして守ろうとする習性があります。そこへ知らない猫が突然現れると、先住猫にとっては縄張りへの侵入者に見えてしまいます。
また、猫は相手をにおいで確かめる動物です。姿を見る前ににおいで存在を知っておくと、対面したときの驚きが小さくなります。反対に、最初の対面で激しい喧嘩になると、相手を怖い存在として覚えてしまい、その後の慣らしに時間がかかりがちです。
慣らしで大切なのは、早く進めることより「2匹とも落ち着いているときだけ次へ進む」ことです。迷ったときは、今の段階にもう少しとどまりましょう。
新入り猫を迎える前に準備しておくこと
新入り猫を迎える日までに、隔離用の部屋と、猫の数に合わせた生活用品をそろえておきます。準備が足りないまま迎えると、トイレや食器を共有せざるをえなくなり、慣らしの段階を守りにくくなるためです。迎える日は、飼い主が数日続けて家にいられる時期に合わせると安心です。連休の初日などに迎えれば、隔離中の世話をしながら、新入り猫がごはんを食べているか、トイレを使えているかを自分の目で確かめられます。
新入り猫が過ごす部屋とケージを用意する
新入り猫のために、ドアを閉められる部屋をひとつ用意します。寝室や書斎など、先住猫がふだんあまり使っていない部屋が向いています。先住猫のお気に入りの場所を明け渡させると、それだけでストレスになるからです。
部屋には、トイレ・食器・水・寝床・爪とぎ・隠れられる箱をそろえておきます。子猫や保護猫を迎える場合は、2〜3段のケージがあると安心です。ケージは隔離中の生活スペースになるだけでなく、あとでケージ越しに対面させるときにも役立ちます。
トイレ・食器・隠れ場所は頭数より多めにそろえる
猫を2匹にするなら、トイレは「猫の頭数+1個」を目安にそろえるのが一般的です。2匹なら3個になります。トイレが足りないと、順番待ちや取り合いがきっかけで、トイレ以外の場所で排泄してしまうことがあります。
食器と水飲み場も、猫ごとに分けて離れた場所に置きます。高い場所や隠れ場所は、相手と距離をとりたいときの逃げ道になります。キャットタワーや家具の上など上下に移動できる場所を増やしておくと、同じ部屋にいてもお互いを気にしすぎずに過ごしやすくなります。
動物病院で健康チェックと検査を済ませておく
新入り猫は、先住猫と接触させる前に動物病院で健康状態を確認してもらいます。ノミやお腹の寄生虫の有無、ワクチンの接種状況に加えて、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)や猫白血病ウイルス感染症の検査について相談しておくと安心です。
先住猫のワクチン接種が済んでいるかも、あわせて確認しておきましょう。検査やワクチンの時期は、猫の年齢や健康状態によって変わります。どの項目が必要かは、かかりつけの動物病院で相談してください。
先住猫と新入り猫を対面させる5ステップ
準備ができたら、次の5ステップで少しずつ距離を縮めていきます。どのステップでも、先住猫と新入り猫の両方が落ち着いているのを確かめてから次へ進むのがポイントです。

家に着いたら、新入り猫をキャリーごと用意した部屋に入れ、ドアを閉めてからキャリーの扉を開けます。無理に引き出さず、自分から出てくるまで待ちましょう。
この間も、先住猫の生活はできるだけいつもどおりに保ちます。新入り猫が部屋でごはんを食べ、トイレを普段どおりに使えるようになるまでは、会わせる必要はありません。
新入り猫の寝床に敷いていたタオルを先住猫のいる部屋に置き、先住猫のタオルを新入り猫の部屋に置きます。やわらかい布で猫の頬のあたりをやさしくなでると、においを移しやすくなります。
相手のにおいを嗅いでも落ち着いていれば順調です。威嚇したり、タオルを避け続けたりするときは、交換を何日か続けて様子を見ましょう。
先住猫を別の部屋に移したうえで、新入り猫を部屋から出して家の中を探検させます。反対に、先住猫には新入り猫が過ごしていた部屋を自由に嗅がせます。
相手の姿を見ないまま、においの残る場所を歩き回ることで、存在に少しずつ慣れていきます。最初は短い時間から始め、落ち着かない様子なら早めに元の部屋へ戻してください。
においに慣れてきたら、ドアを少しだけ開けるか、新入り猫をケージに入れた状態で姿を見せます。最初は数分で切り上げ、うまくいったら日ごとに少しずつ時間を延ばしましょう。
対面の最中におやつをあげたり、ドアの両側で同時にごはんを食べさせたりすると、「相手がいるときはいいことがある」と覚えやすくなります。威嚇が強いときは、器の位置を相手から離してやり直してください。
ケージ越しでも落ち着いて過ごせるようになったら、飼い主が見ている時間だけ同じ部屋で過ごさせます。おもちゃで一緒に遊ぶと、相手への警戒がやわらぎやすくなります。
同じ部屋にいられる時間が長くなっても、しばらくは留守中や就寝中だけ別々の部屋に戻します。お互いを気にせずくつろげる日が続いたら、慣らしはひと区切りです。
慣らしの途中では、次のような行動は避けてください。どれも、相手の猫を「嫌なことが起きる存在」と結びつけてしまうおそれがあります。
- 2匹を抱っこして顔を近づけ、無理にあいさつさせる
- 威嚇した先住猫を大きな声で叱る
- 喧嘩が本格的になるまで止めずに様子を見る
次に進むサイン・一段階戻すサインの見分け方
次のステップへ進むか、ひとつ前に戻すかは、日数ではなく猫の様子で判断します。見るポイントは、ごはんとトイレ、体の動き、相手への反応の3つです。慣らしは数週間単位で続くため、記憶だけに頼らず、食べた量やトイレの回数、対面させた時間とそのときの反応を毎日簡単にメモしておきましょう。数日分を並べて見返すと、少しずつ良くなっているのか、悪くなっているのかを見比べやすくなります。
受け入れが進んでいるサイン
次のような様子が見られたら、慣らしは順調に進んでいます。
- 相手のにおいを嗅いでも、うなったり毛を逆立てたりしない
- 相手が近くにいても、いつもどおりにごはんを食べ、トイレを使える
- すれ違っても耳を後ろに倒さず、しっぽもふくらませない
- 同じ部屋で寝転んだり、自分の毛づくろいを始めたりする
- お互いの体をなめ合ったり、くっついて眠ったりする
最後の2つが見られれば、同じ空間で暮らせる関係ができてきたと考えてよいでしょう。そこまで進まなくても、最初の3つがそろっていれば、同じ家で暮らす準備は十分に整っています。
くつろいでいるときに、喉をゴロゴロと鳴らすこともあります。ただ、ゴロゴロは安心しているときだけでなく、体調がすぐれないときに出ることもあるので、ほかの様子とあわせて見てください。

いったん前の段階に戻したいサイン
反対に、次のような様子が続くときは、ひとつ前の段階に戻して数日ほど様子を見ます。
- 「シャー」「ウー」という威嚇が日を追うごとに強くなる
- 相手の姿を見ると隠れて、なかなか出てこない
- ごはんを残す、食べる量が目に見えて減る
- トイレ以外の場所で排泄する
- 同じ場所をなめ続けて、毛が薄くなっている
こうしたサインは、先住猫だけでなく新入り猫に出ることもあります。どちらか一方にでも見られたら、進めるペースを落としましょう。
喧嘩とじゃれあいを見分けるポイント
同じ部屋で過ごし始めると、追いかけっこや取っ組み合いが始まることがあります。遊びのじゃれあいなら見守るだけでかまいませんが、本気の喧嘩なら止める必要があります。次の違いに注目して見分けましょう。
| 見るポイント | じゃれあい | 喧嘩 |
|---|---|---|
| 爪と噛み方 | 爪を出さず、甘噛み程度 | 爪を出し、強く噛みつく |
| 追いかけっこ | 追う側と逃げる側が入れ替わる | 片方が一方的に追い詰める |
| 声 | ほとんど鳴かない | 大きなうなり声や悲鳴を上げる |
| 耳と毛 | ふだんと変わらない | 耳を後ろに倒し、毛を逆立てる |
喧嘩になったときは、素手で割って入るとけがをするおそれがあります。クッションや段ボールを2匹の間に差し入れて視線をさえぎり、落ち着いたら別々の部屋に戻して、ひとつ前の段階からやり直しましょう。
子猫・成猫・保護猫で変わる慣らし方
慣らしの流れは同じでも、迎える猫の年齢やそれまでの暮らし方によって、気をつけたいポイントが変わります。先住猫との組み合わせもふまえて、進め方を調整しましょう。先住猫の側の条件も振り返っておきたいポイントです。以前ほかの猫と暮らした経験があるか、来客や聞き慣れない物音にどう反応するタイプかを思い出しておくと、どのくらい慎重に進めるべきかの見当をつけやすくなります。臆病な性格の先住猫なら、各段階を長めにとる前提で予定を立てておきましょう。

子猫を迎える場合
子猫はまだ縄張り意識が強くないため、先住猫に受け入れられやすい傾向があります。ただし、遊びたい盛りの子猫が何度も飛びかかると、先住猫が疲れてしまうことがあります。先住猫が高齢の場合は特に、子猫が上がれない高い場所に休める場所を用意しておきましょう。
子猫と成猫では、フードの内容や食事の回数も違います。先住猫が子猫用のフードを食べてしまわないよう、食事は別々の場所で与えてください。体が小さいうちは、家具のすき間にはさまったり、ドアに挟まれたりする事故にも気をつけましょう。
成猫を迎える場合
成猫どうしはお互いに縄張り意識が強いため、子猫を迎える場合より慣らしに時間がかかりやすくなります。オスどうしの組み合わせは衝突しやすい傾向がありますが、実際には性別よりも一匹ずつの性格の影響が大きいものです。
一方で、成猫は性格がある程度わかっているのが利点です。保護団体や譲渡会で迎える場合は、ほかの猫と暮らした経験があるか、猫が苦手ではないかを事前に聞いておきましょう。お試し期間(トライアル)を設けている譲渡元もあるため、先住猫との様子を見てから正式に迎える方法もあります。
保護猫・元野良猫を迎える場合
保護猫や元野良猫は、健康状態やそれまでの暮らしがわからないことがよくあります。動物病院の検査で健康状態が確認できるまでは、先住猫と接触させないでください。ノミなどの寄生虫を持っていることもあるため、STEP 1の期間は長めにとると安心です。
人に慣れていない猫の場合は、人との関係づくりと先住猫との慣らしを同時に進めないのがポイントです。まずは新入り猫が部屋と飼い主に慣れて、落ち着いて過ごせるようになってから、においの交換に進みます。
野良猫を保護してから家族に迎えるまでの流れは、こちらの記事で紹介しています。

先住猫のストレスを減らすために飼い主ができること
新しい猫を迎えると、飼い主の関心はどうしても新入り猫に向きがちです。けれども、慣らしがうまくいくかどうかは、先住猫が「自分の暮らしは変わらない」と感じられるかに大きく左右されます。先住猫から見れば、新入り猫の登場は、自分の家に知らない相手が住み始める大きな出来事です。新入り猫のいる部屋の前をうろうろしたり、ドアに向かって鳴いたりするのは、相手が気になって落ち着かないときによく見られる行動なので、次の3つを意識して先住猫の安心を守りましょう。

声かけ・ごはん・なでる順番は先住猫を先に
ごはんを出すとき、帰宅して声をかけるとき、なでたり遊んだりするときは、先住猫を先にします。新入り猫の世話に時間をかけた日は、先住猫とふれあう時間も同じようにつくりましょう。
子猫を迎えると、つい子猫ばかり構ってしまいがちです。先住猫にとっては、いつもの関わりが減ること自体が大きな変化になります。以前より甘えてくるようになったら、できる範囲で応えてあげてください。
甘えが強くなりすぎて困ったときの接し方は、こちらの記事が参考になります。

先住猫の居場所と日課を変えない
先住猫のお気に入りの寝床や、トイレ・食器の位置は、新入り猫を迎えても動かさないようにします。新入り猫の物は、先住猫の物とは別の場所に置きましょう。キャットタワーを買い足すときも、先住猫がいつも使う場所をふさがない位置を選びます。
遊ぶ時間やごはんの時間など、毎日の決まった流れもできるだけ保ちます。猫は環境の変化に敏感な動物なので、新入り猫を迎えること自体が、先住猫にとっては十分に大きな変化です。模様替えや大掃除など、ほかの変化は慣らしが落ち着くまで控えておくと安心です。
留守中と夜は慣れるまで空間を分ける
同じ部屋で過ごせるようになっても、飼い主の目が届かない時間は、しばらく別々の部屋かケージで過ごさせます。留守中に喧嘩が起きると止める人がいないうえ、どちらがきっかけだったのかもわからず、慣らしの段階を見直せなくなるからです。
仕事で日中に家を空ける場合は、在宅できる休日に対面の練習をまとめて進めると、見守る時間を確保しやすくなります。
先住猫と新入り猫でよくある質問
- 先住猫の威嚇(シャー)はいつまで続きますか?
-
数日でおさまることもあれば数週間続くこともあり、猫によって差があります。威嚇は「これ以上近づかないで」という気持ちの表れで、慣らしの途中ではよく見られる反応です。日ごとに威嚇の回数や強さが減っていれば順調なので、強くなっていくときだけ、ひとつ前の段階に戻してください。
- 隔離せずにいきなり会わせてしまいました。今からでも間に合いますか?
-
間に合います。今から別々の部屋に分けて、においの交換から段階を踏み直しましょう。一度怖い思いをした猫は警戒心が強くなっていることがあるため、本来の手順よりもゆっくり進めるのがコツです。喧嘩でけがをしている場合は、先に動物病院で診てもらってください。
- 何か月たっても仲良くなりません。どうすればいいですか?
-
猫どうしが寄り添うほど仲良くなるとは限りません。お互いに攻撃せず、同じ家でそれぞれくつろげているなら、無理に距離を縮める必要はありません。部屋や高さで生活スペースを分けると、ぶつかる場面を減らせます。攻撃が続く、食欲や排泄に影響が出ているといった場合は、動物病院に相談してください。
- 先住猫が新入り猫のごはんを食べてしまいます。
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食事の場所を離し、飼い主が見ている時間にだけ与えて、食べ終わったら器を片付ける方法があります。それでも横取りが続くときは、別々の部屋で食べさせましょう。子猫用と成猫用のフードは中身が違うため、それぞれが自分のフードを食べられるようにしておくことが大切です。
- トイレは2匹で共有してもいいですか?
-
新入り猫の健康状態が確認できるまでは、共有しないでください。同居に慣れたあとも、トイレは「頭数+1個」を目安に置き、1か所にまとめず離れた場所に分けておくと、取り合いによるトラブルを防ぎやすくなります。
まとめ|焦らず段階を踏んで、先住猫のいつもどおりを守ろう
先住猫と新入り猫の慣らしは、日数よりも猫の様子を見ながら進めることが大切です。最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 迎える前に、隔離用の部屋とトイレ(頭数+1個)・食器・隠れ場所をそろえる
- 新入り猫は動物病院で健康状態を確認してから、先住猫と接触させる
- 別室→においの交換→部屋の入れ替え→ドア越し・ケージ越し→見守り同居の5ステップで進める
- 威嚇が強まる、食欲が落ちるなどのサインが出たら、ひとつ前の段階に戻す
- 声かけやごはんは先住猫を先にして、いつもの暮らしを変えない
2匹が同じ部屋でそれぞれくつろげるようになるまで、数か月かかることもあります。焦らず、先住猫の「いつもどおり」を守りながら見守ってあげてください。

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