「中学生が盛り上がるディベートテーマが見つからない」「授業で使える論題がほしい」。学級会や国語・総合の時間でディベートを任されると、最初につまずくのがテーマ選びです。候補はいくらでも思いつくのに、いざ授業でやると意見が出なかったり、10分で決着がついたりします。
結論からいうと、中学生向けのディベートテーマは「身近で、賛否が割れて、調べれば根拠が見つかる」の3条件で選べば外しません。
この記事では、3条件を満たす論題を5つのジャンルに分けて60個そろえ、選び方の手順、授業での進め方と時間配分、避けたいテーマまでまとめました。先生がクラスで使う場合も、生徒が自分たちで論題を決める場合も、そのまま使えます。
中学生のディベートテーマは「身近で賛否が割れる論題」を選ぶ
中学生のディベートが盛り上がるかどうかは、話す力より先に論題で決まります。大人が関心を持つ社会問題でも、生徒が自分の生活と結びつけられなければ意見が出ません。逆に身近すぎて全員が同じ意見になる論題では、議論が始まる前に終わってしまいます。
ちょうどよいのは、クラスで手を挙げさせたら賛成と反対が半々に近く割れ、どちらの側も教科書やニュースで根拠を探せる論題です。この記事の60個は、すべてこの基準で選んでいます。先生が用意する場合も、生徒同士で決める場合も、判断の物差しは同じです。
盛り上がるテーマの3条件
条件は3つあり、どれか1つが欠けると議論が空回りします。候補の論題を、この順番で確かめてください。
- 身近である。自分の学校生活や家庭で起きていることなら、資料を読む前から意見が持てます。制服・宿題・スマホ・給食は鉄板です
- 賛否が割れる。予備投票で7対3より偏るなら、条件を足して割れる形に直します。「スマホを禁止すべきか」なら「授業中だけ禁止すべきか」に変える、といった具合です
- 根拠が調べられる。教科書・新聞・公的な統計・学校のアンケートなど、中学生の手に入る資料で主張を支えられるかを見ます。「宇宙人はいるか」のように証拠を出せない論題は、雑談向きです
3条件のうち見落とされやすいのが「根拠が調べられる」です。面白そうなのに議論が深まらない論題は、たいていここが欠けています。
ディベート・ディスカッション・学級会の話し合いの違い
「中学生 話し合い テーマ」「ディスカッション テーマ」で探している方は、まず自分がやりたい活動がどれかを確かめると、テーマの選び方が変わります。名前は似ていても、目的とゴールが違うからです。
| 活動 | 目的 | 立場の決め方 | ゴール |
|---|---|---|---|
| ディベート | 論題について、どちらの側がより説得力があるかを競う | 肯定側・否定側に分かれる(本心とは関係なく割り当てる) | 審判が勝敗を判定する |
| ディスカッション | 意見を出し合って考えを深める | 自由 | 結論を1つに決めなくてもよい |
| 学級会の話し合い | クラスの問題を解決する | 自由 | 全員が納得できる案に合意する |
ディベートの論題は「〜すべきである」と賛否が割れる形が向き、学級会の議題は「どうすれば〜できるか」と知恵を出し合う形が向いています。同じ「スマホ」の話題でも、前者なら持ち込みの是非を争い、後者なら持ち込むときのルールづくりを話し合う、という違いです。
授業ではなく休み時間や合宿で、正解のない二択のお題で笑いながら言い合いたいなら、雑談向けに50個そろえたこちらの記事のほうが向いています。

中学生向けディベートテーマ60選【ジャンル別】
ジャンルは学校生活・社会とルール・科学とテクノロジー・暮らしと文化・ウォームアップの5つです。各表の「論点のヒント」は「肯定側の主張 vs 否定側の主張」の順に書いてあり、立論の骨組みをつくるときの出発点になります。論題はすべて授業で使う「政策論題」の形、つまり「〜すべきである」にそろえました。「AかBか」の二択にしたいときは、ヒントを見ながら言い換えれば、そのまま使えます。番号は通し番号なので、「今日は12番」のように指定するときの目印になります。

学校生活・校則のテーマ(15題)
いちばん意見が出やすいジャンルです。生徒全員が当事者なので、資料がなくても議論が始まり、校則や学校の制度を調べれば根拠も見つかります。制服と宿題は定番中の定番で、初めてのディベートならこの表から選ぶと安心です。
| No. | 論題 | 論点のヒント |
|---|---|---|
| 1 | 中学校に制服は必要である | 毎朝の服選びの手間と費用の平準化 vs 個性と暑さ寒さへの対応 |
| 2 | 学校へのスマホ持ち込みを認めるべきである | 緊急連絡の安心 vs 授業中の集中と紛失トラブル |
| 3 | 宿題は毎日出すべきである | 学習習慣の定着 vs 部活や睡眠時間との両立 |
| 4 | 部活動は全員参加にすべきである | 仲間づくりと体力 vs 選ぶ自由と先生・生徒の負担 |
| 5 | 定期テストを廃止して小テストに置き換えるべきである | 一夜漬けの防止 vs まとまった範囲の理解を測る場が消える |
| 6 | 通知表は数字で評価すべきである | 目標が分かりやすい vs 順位づけのストレス。通知表の形式は学校が決める |
| 7 | 給食は残さず食べるように指導すべきである | 食品ロスと栄養 vs 体格差やアレルギー、無理強いの問題 |
| 8 | 修学旅行は海外に行くべきである | 語学と異文化の体験 vs 費用と安全、日本の文化を学ぶ機会 |
| 9 | 職場体験は全員必修にすべきである | 進路を考えるきっかけ vs 受け入れ先の確保と授業時間 |
| 10 | 生徒が先生を評価する仕組みを導入すべきである | 授業の改善につながる vs 人気取りの授業になる心配 |
| 11 | 席替えはくじ引きではなく先生が決めるべきである | 人間関係への配慮 vs 公平感と自主性 |
| 12 | テスト前の1週間は部活動を休みにすべきである | 勉強時間の確保 vs 大会前の練習、生活リズムの乱れ |
| 13 | 教科書はすべてデジタルにすべきである | 荷物の軽さと検索のしやすさ vs 目の疲れと書き込みのしやすさ |
| 14 | 学校の掃除は業者に任せるべきである | 授業時間の確保 vs 自分の場所を自分で整える意味 |
| 15 | 制服は男女で同じデザインにすべきである | 選びやすさと平等 vs 伝統とデザインの多様性 |
13番の教科書のデジタル化は、国が導入を進めている最中のテーマです。導入のスケジュールと、賛否どちらの立論にも使えるメリット・課題は、デジタル教科書の記事で詳しく扱っています。

社会・ルールのテーマ(15題)
ニュースで見聞きする制度やルールを扱うジャンルです。学校生活より少し背伸びが必要ですが、社会科の教科書や新聞で根拠を調べやすく、「日本は〜すべきである」という大会でも使われる形の論題になります。最初の2つは、全国大会のディベート甲子園に実際に出された論題です。
| No. | 論題 | 論点のヒント |
|---|---|---|
| 16 | 日本は中学生以下のSNSの利用を全面的に禁止すべきである | 2025年の甲子園論題。オーストラリアでは2025年12月に16歳未満の利用を禁じる法律が施行された |
| 17 | 日本は救急車の利用を有料化すべきである | 2026年の甲子園論題。軽症での利用の抑制 vs ためらって手遅れになる心配 |
| 18 | 選挙権年齢を16歳に引き下げるべきである | 2016年に18歳へ引き下げ済み。若者の声を政治に vs 判断力と教育の準備 |
| 19 | 選挙の投票を義務にすべきである | オーストラリアなど義務投票の国がある。投票率の向上 vs 自由の制限 |
| 20 | レジ袋の有料化は続けるべきである | 2020年7月に開始。ごみ削減の効果 vs 不便さとエコバッグの衛生 |
| 21 | コンビニの24時間営業をやめるべきである | 働く人の負担と省エネ vs 深夜の安心と便利さ |
| 22 | 日本は現金をなくしてキャッシュレスだけにすべきである | 会計の速さと衛生 vs 災害時や高齢者、手数料の問題 |
| 23 | 自転車のヘルメット着用に罰則を設けるべきである | 2023年4月から全年齢で努力義務。安全 vs 自己責任と取り締まりの現実性 |
| 24 | ゴミの分別ルールを全国で統一すべきである | 引っ越し先で迷わない vs 自治体ごとの処理施設の違い |
| 25 | 日本の祝日をもっと増やすべきである | 現在は年16日。休養と観光消費 vs 学校や仕事の日程の圧迫 |
| 26 | 電車の優先席を廃止して全席を譲り合いにすべきである | 席が固定される疑問 vs 目印があるから譲りやすい |
| 27 | 日本は首相を国民が直接選ぶべきである | 現在は国会が指名する仕組み。分かりやすさ vs 人気投票になる心配 |
| 28 | 高校だけでなく大学の学費も無償にすべきである | 家庭の事情で進学をあきらめない vs 財源と受益者の負担 |
| 29 | 食品ロスを減らすため見切り品の値引きを義務にすべきである | 廃棄の削減 vs お店の自由と品質管理 |
| 30 | 日本はサマータイムを導入すべきである | 日本でも戦後に数年間だけ実施された。省エネと余暇 vs 生活リズムの乱れ |
科学・テクノロジーのテーマ(10題)
AIやゲーム、自動運転のように、これから中学生自身が向き合う技術を扱います。正解がまだ決まっていない分野なので、最新のニュースを調べた側が有利になり、資料集めの練習にもなります。大人より生徒のほうが詳しいことも多く、先生と生徒の立場が入れ替わる面白さもあります。
| No. | 論題 | 論点のヒント |
|---|---|---|
| 31 | 宿題に生成AIを使うことを認めるべきである | 文部科学省が学校での使い方の指針を示している。効率 vs 考える力が育たない心配 |
| 32 | ゲームの利用時間を条例で制限すべきである | 香川県では2020年に1日60分を目安とする条例が施行された(罰則なし)。依存の予防 vs 家庭の判断 |
| 33 | 自動運転の車を公道で全面的に認めるべきである | 事故の減少と高齢者の移動 vs 事故が起きたときの責任 |
| 34 | 宇宙開発に税金を使うべきである | 技術の進歩と将来の資源 vs 地上の課題を優先すべき |
| 35 | 学校の図書館は紙の本より電子書籍を増やすべきである | 蔵書の幅と検索性 vs 読みやすさと集中 |
| 36 | 小学校ではプログラミングより英語を優先して教えるべきである | 英語は2020年度から小学校の教科になった。どちらも必修の今、時間配分をどう考えるか |
| 37 | ロボットに人間のような感情を持たせるべきである | 介護や接客で役立つ vs 人と機械の境目があいまいになる |
| 38 | AIが描いた絵や作った音楽も作品として認めるべきである | 新しい表現 vs 学習元になった作者の権利 |
| 39 | 学校のテストはすべてタブレットで実施すべきである | 採点の速さと紙の削減 vs 記述問題や機器トラブル |
| 40 | 授業の動画配信を進めて登校日を減らすべきである | 自分のペースで学べる vs 友達との関わりや運動の機会 |
暮らし・文化のテーマ(10題)
食べ物や行事、日本の文化にまつわる論題です。専門知識がなくても意見を言いやすく、家庭ごとの違いがそのまま議論に出るので、クラスの多様さが盛り上がりにつながります。社会科より家庭科や道徳の時間に向くテーマも含みます。
| No. | 論題 | 論点のヒント |
|---|---|---|
| 41 | 相撲を日本の国技として法律で定めるべきである | 相撲は国技と呼ばれるが、法律で定められた国技はない。柔道派の主張も出る |
| 42 | お正月やお盆も店は休まず営業すべきである | 便利さ vs 働く人の休みと家族の時間 |
| 43 | 動物園は必要である | 種の保存と教育 vs 動物の自由 |
| 44 | ペットショップでの犬や猫の販売を禁止すべきである | 海外には禁止に踏み切った国もある。命の売買への疑問 vs 出会いの場が減る |
| 45 | 学校給食は和食を中心にすべきである | 食文化の継承と栄養バランス vs 好みの多様性と献立の幅 |
| 46 | 中学生のお小遣いは定額制にすべきである | 計画性が身につく vs 必要なときにもらうほうが無駄がない |
| 47 | 家事は家族で当番制にすべきである | 公平と自立 vs 得意な人がやるほうが早い |
| 48 | マンガやアニメを学校の教材に使うべきである | 興味の入り口になる vs 娯楽と学習の区別 |
| 49 | 日本は英語を第二の公用語にすべきである | 国際化と観光 vs 日本語の文化と学習の負担 |
| 50 | 部活動の大会は勝敗をつけない交流戦にすべきである | 楽しむことが目的 vs 目標があるから努力できる |
初めてでも簡単なウォームアップのテーマ(10題)
ディベートを初めてやるクラスや、時間が10分しかないときのための、資料なしで立論できる論題です。自分の経験がそのまま根拠になるので、まずここで型に慣れてから上のジャンルに進むと、議論が空回りしません。学級会の議題に近いものも多く、そのまま話し合いの練習にも使えます。
| No. | 論題 | 論点のヒント |
|---|---|---|
| 51 | 夏休みの宿題は7月中に終わらせるべきである | 後半を自由に使える vs 学んだことを忘れにくい |
| 52 | 昼休みを長くして授業の終わりを遅らせるべきである | 遊びと休息 vs 帰宅後の時間 |
| 53 | 学校のチャイムは廃止すべきである | 時計を見て動く力がつく(ノーチャイムの学校もある) vs けじめがつきにくい |
| 54 | 体育祭の徒競走は順位をつけるべきである | 目標と達成感 vs 苦手な子のプレッシャー |
| 55 | クラス替えは毎年行うべきである | 新しい友達 vs 仲が深まる前に別れる |
| 56 | 学校に自動販売機を置くべきである | 水分補給と便利さ vs 買い食いとごみ |
| 57 | 朝の読書の時間は続けるべきである | 落ち着いて1日を始められる vs 読みたい本がない生徒には苦痛 |
| 58 | 学級目標は先生ではなく生徒が決めるべきである | 自分たちのものになる vs まとまらず時間がかかる |
| 59 | テストの点数は本人にだけ伝えるべきである | 比べられない安心 vs 競い合う励み |
| 60 | 給食は教室ではなく食堂で食べるべきである | 学年を越えた交流 vs 移動時間と席の不足 |
58番の論題で学級目標が話題になったら、実際に選ばれている目標を見せると議論が具体的になります。四字熟語や英語の学級目標を小中高別に集めた記事に、例が並んでいます。

授業や学級会で盛り上がるテーマの選び方3ステップ
60個の中から1つに絞るときも、生徒が自分たちで論題をつくるときも、手順は同じ3つです。順番を守ると、「面白そうだったのに議論が10分で終わった」という失敗を避けられます。とくに2つ目の予備投票は、盛り上がるかどうかをほぼ決めてしまう工程なので省かないでください。生徒に任せる場合は、1つ目の候補出しを宿題にしておくと、授業の時間を投票と論題づくりに使えます。
学校生活・最近のニュース・自分の不満の3方向から候補を出します。上の表から選ぶ場合も、「なぜそれが気になるのか」を一言添えておくと、あとで立論を組むときの材料になります。
候補ごとに手を挙げてもらい、5対5から6対4なら合格です。7対3より偏ったら、対象を「授業中だけ」「1年生だけ」のように狭めて、賛否が割れるまで論題を絞ります。「どちらでもいい」が多い論題は当事者意識が薄いので、別の候補と入れ替えます。
主語(日本は・この学校は)と範囲(誰が・いつ・どこまで)を決めて1文にします。ディベート甲子園でも、論題に「付帯文」を添えて言葉の意味を決めています。定義があいまいだと、試合が言葉の解釈の言い争いで終わります。

論題の整え方の例
もとの案:スマホは学校に必要か
整えた論題:この学校は、授業中のスマホの使用を認めるべきである
言葉の定義:「スマホ」にはタブレットを含む。「授業中」に休み時間は含まない
論題には、制度や行動を変えるかどうかを問う政策論題(〜すべきである)のほかに、価値論題(AはBより大切である)と事実論題(〜は事実である)があります。授業では根拠を集めやすく、勝敗の判定もしやすい政策論題が中心です。この記事の60個も政策論題にそろえていますが、ウォームアップのときは「制服は私服より便利である」のような価値論題のほうが意見を出しやすいこともあります。
ディベートの進め方と時間配分
論題が決まったら、次は試合の流れです。ディベートは自由に言い合う活動ではなく、立論・質疑・反駁の順番と持ち時間が決まっています。この型があるおかげで、声の大きい生徒だけが話す状態にならず、初めての生徒でも自分の役割を果たせます。時間配分は、全国教室ディベート連盟が主催するディベート甲子園の中学の部の形式をもとに、授業向けに短縮した例を並べました。1コマ50分に収まるかどうかも、この表で見当がつきます。大会の正式ルールより短いぶん、1回の発言で言えることは1つか2つに絞られ、要点をまとめる練習にもなります。
肯定側・否定側・審判の役割
ディベート甲子園の中学の部では、原則として1チーム4人が立論・質疑・第一反駁・第二反駁を1つずつ受け持ち、質疑への応答は立論を担当した人が行います。肯定側は論題を実現するための具体的なプランとそのメリットを示し、否定側は現状維持の立場から、そのプランで起きるデメリットを論じます。
授業なら1チーム3人でも成り立ちます。質疑と第一反駁を同じ人が兼ねれば、4つの役割を3人で回せます。審判は残りの生徒が務め、3〜5人で1票ずつ投じる形にすると、判定の理由を話し合う時間も学びになります。
立論の中身は「主張・理由・根拠・まとめ」の4つで組み立てます。根拠は資料の名前と数字まで言えると、相手の質疑で崩れにくくなります。この組み立ては意見文と同じなので、書き方の型から練習させたいときは、3ステップで意見文を組み立てる記事が参考になります。

時間配分の目安(ディベート甲子園と授業向け短縮版)
甲子園の中学の部は、立論4分・質疑2分・反駁3分の組み合わせで、1試合の発言時間は合計24分です。授業ではこれを半分に縮めても、流れは同じまま体験できます。
| 段階 | 甲子園(中学の部) | 授業向け短縮例 |
|---|---|---|
| 肯定側立論 | 4分 | 2分 |
| 否定側質疑 | 2分 | 1分 |
| 否定側立論 | 4分 | 2分 |
| 肯定側質疑 | 2分 | 1分 |
| 否定側第一反駁 | 3分 | 1分30秒 |
| 肯定側第一反駁 | 3分 | 1分30秒 |
| 否定側第二反駁 | 3分 | 1分30秒 |
| 肯定側第二反駁 | 3分 | 1分30秒 |
| 合計 | 24分 | 12分 |
短縮版なら、判定と講評を含めても1試合20分ほどです。50分の授業で2試合できるので、前半に肯定側だった班を後半は否定側に回すと、全員が両方の立場を経験できます。準備の時間は別に必要なので、論題の発表は前の授業の終わりに済ませておくと、当日の50分をまるごと試合に使えます。
避けたいテーマと注意点
盛り上がる論題の条件を裏返すと、避けたい論題も見えてきます。中学生のディベートで失敗しやすいのは、議論にならない論題(難しすぎる・答えが決まっている)と、誰かを傷つける論題の2つのグループです。前者は時間の無駄で済みますが、後者はクラスの人間関係に傷を残すので、論題を発表する前に必ず確かめてください。迷う論題は先生が黙って外すより、避ける理由をクラスに説明して別の論題に差し替えるほうが、生徒の納得を得られます。
難しすぎる論題・答えが決まっている論題
為替や金利のような経済政策、国際情勢の細かい対立は、統計や専門用語なしには語れないため、中学生の試合では根拠が「なんとなく」で止まります。目安は、朝のニュースや社会科の教科書で説明されている範囲に収まっているかどうかです。同じ社会問題でも、レジ袋や祝日のように生活で触れているものなら、資料を読んだときに理解が追いつきます。
「地球温暖化は起きているか」のように、資料を読み比べれば答えが決まる問いも避けます。事実の確認で試合が終わってしまうからです。この手の論題は「地球温暖化の対策として〜を義務にすべきである」のように、対策を問う政策論題に直すと議論になります。
誰かを傷つける論題
宗教、病気や障害、家庭の事情、容姿、特定の生徒の行動にかかわる論題は、どんなに盛り上がりそうでも授業では扱いません。「〜な人はクラスに必要か」のように人そのものを論題にする形は、割り当てられた側が本心でなくても攻撃する役になってしまいます。死刑や戦争のような重い倫理のテーマも、中学生では感情論になりやすいので、扱うなら先生が資料を用意し、勝敗をつけない討論会の形にするほうが安全です。
よくある質問
- 学級会の話し合いのテーマにも使えますか?
-
使えます。論題の「〜すべきである」を「〜するにはどうすればよいか」に言い換えると、そのまま学級会の議題になります。56番なら「学校に自動販売機を置くとしたら、どんなルールが必要か」という形です。ディベートで賛否を出し合ったあとに、この形で合意をつくる授業にすると、1つの論題で2回使えます。
- 肯定側と否定側はどうやって決めればいいですか?
-
くじ引きや先生の指名で、本心とは関係なく割り当てるのが基本です。自分と反対の立場を担当すると、相手の考えを理解する力がつき、それがディベートの練習になります。2試合目で立場を入れ替えれば不公平感も残りません。割り当てる前に「本心と違う側を担当することがある」とクラス全員で確認しておくと、試合のあとに気まずさが残りません。
- 勝ち負けはどうやって判定しますか?
-
「根拠が確かだったか」「相手の反論にきちんと答えたか」「分かりやすく話せたか」の3点で審判が採点します。生徒が審判をするなら、3点を1点ずつ紙に書いて合計する方法が簡単です。どちらの意見が正しいと思うかではなく、どちらの説明がうまかったかで決める、と最初に伝えておくと判定がぶれません。
- 資料を調べる時間がとれません。何を根拠にすればいいですか?
-
ウォームアップの表(51〜60番)から選べば、自分の経験が根拠になるので調べる時間はいりません。学校生活のテーマなら、試合の前に5分だけクラスでアンケートを取り、その数字を根拠に使う方法もあります。「クラスの8割が宿題に1時間以上かかっている」のような数字は、資料を読んで見つけた統計と同じ重みで使えます。
- 英語の授業で使える簡単なディベートテーマはありますか?
-
学校生活の論題を短い英文にすると使えます。School uniforms are necessary. / Students should not bring smartphones to school. / Homework should be given every day. の3つは、中学英語の単語だけで肯定・否定の理由を言えます。最初は理由を1文ずつ言うだけの形にし、慣れてきたら反駁を足すと無理がありません。
まとめ
中学生のディベートテーマ選びで押さえたいことを振り返ります。
- 論題は「身近・賛否が割れる・根拠が調べられる」の3条件で選ぶ。1つ欠けると議論が続かない
- 60個の論題は5つのジャンル。初めてなら学校生活かウォームアップから、大会形式を目指すなら社会・ルールから選ぶ
- 選び方は候補出し、予備投票、「〜すべきである」の形に整える、の3ステップ。予備投票を省かない
- 進め方は立論・質疑・反駁の型を守る。短縮版なら発言時間12分で、50分授業に2試合入る
- 難しすぎる論題と、誰かを傷つける論題は避ける。答えが決まっている問いは、対策を問う形に直す
論題が決まれば、ディベートの準備は半分終わったようなものです。予備投票で賛否が割れた論題を1つ選び、まずは短縮版の12分で1試合。その手応えが、次の論題を選ぶときのいちばんの物差しになります。
参考にした情報
- 全国教室ディベート連盟(NADE)「全国中学・高校ディベート選手権ルール」および第30回・第31回ディベート甲子園の論題発表(中学の部の試合形式・時間配分・論題と付帯文)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」(話すこと・聞くことの指導事項)
- 香川県「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」(2020年4月施行・利用時間の目安)
- オーストラリア eSafety Commissioner の案内(16歳未満のSNS利用制限・2025年12月10日施行)

コメント