雛人形はいつからいつまで飾る?飾り方・片付け方から由来まで徹底解説

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お嬢さんのご誕生、心よりお祝い申し上げます。初めて迎える桃の節句は、きっと特別な思い出になることでしょう。でも「雛人形っていつ頃から飾ればいいの?」「飾り方が分からない…」「しまうタイミングは?」など、初めてのことで戸惑うことも多いですよね。

雛祭りは、女の子の健やかな成長と将来の幸福を祈る、日本の素晴らしい伝統行事です。雛人形は単なる飾り物ではなく、お子さんに降りかかる災いを身代わりになって受けてくれる、とても大切なお守りの役割を果たしています。

この記事では、雛人形を飾る適切な時期から、迷うことの多い正しい飾り方、来年もきれいに飾るための片付けのコツ、そして親子で学びたい雛祭りの素敵な由来まで、分かりやすくご紹介していきます。素敵な初節句を迎えるお手伝いができれば嬉しいです。

目次

雛人形を飾る時期について

雛人形を飾るタイミングには、昔から受け継がれてきた決まりがあります。これらの習わしには、それぞれ深い意味が込められているんです。

立春を過ぎてから飾るのがベスト

雛人形を飾るのに最適な時期は、立春(2月4日頃)から2月中旬にかけてです。立春は暦の上で春が始まる日で、新しい季節の始まりを告げる特別な日とされています。

なぜこの時期が良いとされるのでしょうか。それは、節分の豆まきで一年の邪気を払った後の清らかな状態で雛人形をお迎えすることで、より強いお守りの力を発揮してくれると考えられているからです。また、春の訪れとともに飾ることで、お子さんの新たな成長への願いも込められています。

どんなに遅くても、雛祭りの一週間前には飾り終えるようにしましょう。雛祭りの前日(3月2日)に飾る「一夜飾り」は、お葬式の飾り付けを連想させるため、縁起が良くないとされています。

大安の日を選ぶとより縁起が良い

特にこだわりがなければ、六曜の「大安」の日に飾ると、より縁起が良いとされています。ただし、これは必須ではありませんので、ご家族の都合に合わせて、心を込めて飾ることが何より大切です。

雛人形をしまう時期について

「雛人形をいつまでに片付ければいいの?」というのも、よくあるご質問です。昔からの言い伝えと、実際の保管上の理由を知っておきましょう。

3月中旬頃までには片付けを

雛祭りが終わったら、3月中旬頃までには片付けるのが目安です。「雛人形をしまうのが遅れると、お嫁に行くのが遅くなる」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。これは実は迷信で、現代ではあまり気にする必要はありません。

この言い伝えの本当の意味は、「物事をきちんと終わらせることができる、けじめのある子に育ってほしい」という教育的な願いが込められていると言われています。つまり、お片付けの大切さを教える、親としての知恵だったのですね。

啓蟄の日を目安にお天気を見て

片付けの具体的な目安とされるのが、啓蟄(けいちつ)の日(3月5日頃)です。これは二十四節気のひとつで、冬の間土の中で眠っていた虫たちが、暖かくなって外に出てくる時期を表しています。

この時期は空気が乾燥していることが多く、雛人形にとって大敵である湿気が少ないため、片付けに適したタイミングとされているのです。ただし、啓蟄の日にこだわりすぎる必要はありません。よく晴れて空気が乾燥した日を選んで片付けることが、雛人形を長持ちさせる一番のポイントです。

雨の日や湿度の高い日に片付けてしまうと、湿気が箱の中にこもってしまい、カビや虫食いの原因になることがあります。お天気予報をチェックして、数日晴れが続く日を選んで片付けましょう。

雛人形の正しい飾り方

大切なお子さんのお守りである雛人形は、丁寧に、愛情を込めて飾ってあげたいですね。正しい飾り方を覚えて、美しく飾り付けましょう。

飾る前の準備が大切

雛人形を飾る前には、いくつか準備が必要です。まず何より大切なのは、手を清潔にすることです。人形の顔や美しい衣装に皮脂などの汚れがつかないよう、飾る前には必ず石鹸で手を洗い、できれば白い綿手袋をはめて作業しましょう。

次に、箱からすべての部品を慎重に取り出し、説明書を見ながら揃っているかを確認します。この時、人形や小物に破損がないかもチェックしておきましょう。もし気になる箇所があれば、購入店に相談することをおすすめします。

七段飾りの基本的な配置

七段飾りは、平安時代の宮中の結婚式の様子を再現したものと言われています。身分の高い順に上の段から並べていくのが基本です。

各段の配置について詳しく見ていきましょう。

  • 最上段(一段目)
    主役であるお内裏様(男雛)とお雛様(女雛)を飾ります。後ろには金屏風を置き、両脇にぼんぼりを配置します。
  • 二段目
    三人官女(さんにんかんじょ)を飾ります。お雛様のお世話をする女性たちで、真ん中が既婚者、両脇が未婚者とされています。
  • 三段目
    五人囃子(ごにんばやし)を飾ります。雅楽を奏でる男性たちで、向かって左から太鼓、大鼓、小鼓、笛、謡の順に並べます。
  • 四段目
    随身(ずいじん)を飾ります。右大臣と左大臣とも呼ばれる警護役で、弓矢を持っています。
  • 五段目
    仕丁(しちょう)を飾ります。雑用を担当する従者で、ほうき、ちりとり、熊手などを持っています。
  • 六段目・七段目
    お道具類を飾ります。たんす、鏡台、茶道具、駕籠などの調度品を配置します。

関東と関西で違う!お内裏様とお雛様の位置

実は、お内裏様とお雛様の並べ方には地域による違いがあります。これを知っておくと、雛人形選びや飾り付けの際に役立ちます。

関東雛(現在の主流)では、向かって左にお内裏様、右にお雛様を置きます。これは明治時代以降、西洋の礼儀作法の影響を受けて「男性が右側に立つ」という国際的なマナーが取り入れられたためです。

一方、京雛(関西の伝統)では、向かって右にお内裏様、左にお雛様を置きます。これは古来の日本の礼法で「左が上位」とされていた名残りで、京都の老舗では今でもこの並べ方が主流です。

どちらが正しくてどちらが間違い、ということはありません。お持ちの雛人形の説明書に従うか、ご家庭の地域の慣習に合わせるのが良いでしょう。大切なのは、お子さんを思う気持ちです。

雛人形の上手な片付け方と保管方法

正しい片付け方を覚えることで、雛人形を何年も美しい状態で保つことができます。ちょっとしたコツを知っているかどうかで、人形の寿命は大きく変わるんです。

片付け前の丁寧なお手入れ

まず最初に行うのは、ホコリ取りです。毛ばたきや柔らかい筆を使って、人形や道具についたホコリを優しく払い落とします。特に人形の髪の毛や衣装の細かな部分、道具の溝や隙間は、ホコリがたまりやすいので念入りに行いましょう。

この時に重要なのは、人形の顔や手には直接触れないことです。皮脂がついてしまうとシミの原因になってしまいます。柔らかい布や和紙で覆いながら、慎重に作業を進めてください。

一体ずつ丁寧に包装

お手入れが終わったら、人形を一体ずつ包んでいきます。包装には、ティッシュペーパーや和紙のような柔らかい紙を使用します。新聞紙は印刷のインクが人形に移る可能性があるので避けましょう。

包み方にもコツがあります。人形の髪型が崩れないように、顔の部分から優しく包み、全体をふんわりと覆います。きつく包みすぎると衣装にシワができてしまうので、ゆとりを持って包むことが大切です。

防虫剤の正しい使い方

箱にしまう際には、人形専用の防虫剤を使用します。ここで絶対に守ってほしいのが、防虫剤は必ず1種類だけ使用することです。

複数の種類の防虫剤を一緒に使うと、化学反応を起こして人形の衣装や金物部分の変色を招く恐れがあります。パッケージをよく確認して、同じメーカーの同じ種類の防虫剤を使用しましょう。

保管場所の選び方

保管場所は、湿気が少なく、温度変化の少ない場所を選ぶことが最も重要です。押入れなら上段の天袋に近い位置、クローゼットなら上部が理想的です。

床に近い場所は湿気がたまりやすく、また温度変化も激しいため避けましょう。直射日光の当たる場所や、暖房器具の近くも、人形を傷める原因になります。

地下室や床下収納は湿気が非常に多いため、雛人形の保管には適していません。また、ガレージや物置も温度変化が激しいので避けた方が良いでしょう。

雛祭りの歴史と意味

雛祭りがどのようにして始まったのか、その歴史を知ることで、この美しい行事の意味がより深く理解できます。お子さんが成長したときに、きっと話してあげたい素敵な物語です。

古代から続く「厄払い」の心

雛祭りのルーツは、古代中国から伝わった「上巳の節句」にさかのぼります。昔の人々は、3月の初めの巳の日に川で身を清め、災いを払う習慣がありました。

これが日本に伝わると、紙や草で作った人の形をした「ひとがた」で体をなでて、自分の厄を移してから川に流すという風習になりました。これが「流し雛」の始まりです。この時代から、人形には「身代わりになって災いを引き受けてくれる」という大切な役割があったのです。

平安時代の「ひいな遊び」

一方で、平安時代の宮中では、美しい小さな人形を使った「ひいな遊び」という遊びが流行していました。これは現代のままごと遊びのようなもので、特に女の子たちに愛されていました。

「ひいな」は「小さくて可愛らしいもの」という意味で、この言葉が後に「雛」という漢字で表されるようになりました。この優雅な遊びが、厄払いの人形と結びつくことで、現在の雛祭りの形が生まれたのです。

江戸時代に花開いた雛文化

江戸時代になると、雛人形は飾って楽しむものへと変化しました。町人文化の発達とともに、雛人形はより豪華で精巧なものが作られるようになり、3月3日の桃の節句として定着していきました。

この頃から、女の子の健やかな成長と将来の幸福を願う、現在のような雛祭りの形が確立されたのです。

子どもと一緒に楽しむ雛祭り

雛祭りは、親子で一緒に楽しめる素晴らしい機会です。お子さんが小さくても、きっと心に残る思い出になるはずです。

子どもに伝えたい雛祭りの意味

「どうしてお人形を飾るの?」とお子さんに聞かれたら、こんな風に説明してあげてください。

「昔々のお話だけど、日本では紙や草で作った人形で体をポンポンと優しくなでて、病気や怖いことが起きないように、川に流してお願いしていたんだよ。それとは別に、お姫様たちがとても美しいお人形で楽しく遊んでいた『ひいな遊び』というものもあったの。」

「この二つが一緒になって、だんだんと今のように『きれいに飾る』ようになったんだ。だから、このお雛様は、○○ちゃん(お子さんの名前)を病気や事故から守ってくれる、とても大切な『お守り』なんだよ。いつも○○ちゃんのことを見守っていてくれるんだね。」

親子で楽しむ雛祭りの豆知識

雛祭りには、知っているとより楽しめる豆知識がたくさんあります。お子さんとの会話のきっかけにしてみてください。

桃の花について
「どうして桃の花を飾るの?」という質問には、「昔から桃の花には、悪い鬼や病気を追い払う特別な力があると信じられているからだよ。それに、春の始まりを教えてくれる、とてもきれいなお花だからね」と答えてあげましょう。

ひし餅の色の意味
緑、白、ピンクの3色には、それぞれ「健康」「清らかな心」「魔除け」の願いが込められています。また、雪の下から新しい芽が出て、桃の花が咲く春の美しい風景を表しているとも言われています。

はまぐりのお吸い物
はまぐりの貝殻は、もともとペアになっていた相手としかぴったりと合わない不思議な貝です。「将来、素敵な人と出会って、ずっと仲良く幸せに暮らせますように」という、家族の温かい願いが込められているんです。

よくある質問と回答

雛人形について、多くのご家庭が抱く疑問にお答えします。

二人目、三人目の女の子が生まれたら?

雛人形は本来、その子だけの厄を引き受けてくれるお守りなので、一人にひとつが理想とされています。とはいえ、住宅事情や予算の関係で、姉妹で共有するご家庭も多く、それで問題ありません。

次女や三女の誕生を記念して、市松人形やつるし雛、小さな親王飾りなどを新たに用意してあげるという方法もあります。大切なのは、お子さん一人ひとりの誕生を祝う気持ちです。

雛人形は誰が購入するもの?

昔は母方の実家から贈るのが一般的でしたが、現代ではそのような決まりにとらわれる必要はありません。両家で相談して決めたり、ご両親が直接購入したりと、様々な形があります。

重要なのは、お子さんの誕生と成長を心から祝福する気持ちです。形式よりも、その気持ちを大切にしてください。

マンションでも七段飾りは飾れる?

現代の住宅事情を考慮して、コンパクトなサイズの雛人形も多く販売されています。親王飾りや五人飾りなど、お部屋の大きさに合わせて選ぶことができます。

大切なのは大きさではなく、家族がお子さんの成長を願う気持ちです。どんなサイズの雛人形でも、その想いは変わりません。

雛人形の処分方法は?

お子さんが成長して雛人形が不要になった場合、ゴミとして捨てるのではなく、人形供養を行っている神社やお寺にお願いするのが一般的です。長い間お守りしてくれた雛人形への感謝の気持ちを込めて、丁寧にお別れしましょう。

まとめ

雛祭りは、単純に美しい人形を飾って楽しむ行事ではありません。そこには、お子さんの健やかな成長と明るい未来への深い願いが込められています。古くから受け継がれてきたこの素晴らしい文化を通じて、家族の絆も深まることでしょう。

雛人形の飾り付けや片付けを家族みんなで行うことで、きっと心に残る温かい思い出を作ることができます。お子さんが大きくなったとき、「あの時、お母さんと一緒に雛人形を飾ったね」と懐かしく振り返る日が来るかもしれません。

この記事が、皆さんのご家庭にとって心温まる素敵な雛祭りを迎えるお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。お子さんの健やかな成長と、ご家族の幸せをお祈りしています。

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