空を見上げると、日によってまったく違う表情の雲が浮かんでいます。ふわふわした綿のような雲、うろこ模様の雲、真っ黒な入道雲。実はこれらの雲は、大きく分けて10種類に分類できます。
この10種類は「十種雲形(じゅっしゅうんけい)」と呼ばれ、世界共通の分類です。名前を知っておくと、空を見上げるのがぐっと楽しくなります。天気の変化を読むヒントにもなりますよ。
この記事では、雲の種類を「高さ」と「形」から整理して、初心者でも見分けられるコツまでやさしく解説します。あわせて、一度は見てみたい珍しい雲も写真のイメージとともに紹介します。

雲の種類は全部で10種類(十種雲形)
雲の種類は、基本的に10種類に分けられます。これを十種雲形といいます。1956年に世界気象機関(WMO)が刊行した国際雲図帳をもとに、世界共通で使われている分類です。
「たった10種類?」と思うかもしれません。でも、実際の空にはこの10種類が混ざり合ったり、形を変えたりして現れます。だからこそ、毎日ちがう表情の空が生まれるのです。
「高さ」と「形」で分けるのが基本
十種雲形を理解するコツは、2つのものさしで見ることです。ひとつは雲が浮かぶ「高さ」、もうひとつは雲の「形」です。
高さでは、上層・中層・下層の3グループに分かれます。形では、横に広がる「層状」の雲と、もこもこ盛り上がる「塊状(かいじょう)」の雲に大きく分かれます。この2つを組み合わせると、目の前の雲がどれなのか絞り込みやすくなります。
高さ:上層(高い)/中層(中くらい)/下層(低い)
形:層状(横に広がる)/塊状(もこもこ盛り上がる)
上層・中層・下層の3つのグループ
高さによる3つのグループを、先に一覧で整理しておきます。それぞれのグループにどんな雲が属するのか、全体像をつかんでおくと以降の解説が頭に入りやすくなります。
| グループ | 高さの目安 | 属する雲 |
|---|---|---|
| 上層雲 | 約5,000〜13,000m | 巻雲・巻積雲・巻層雲 |
| 中層雲 | 約2,000〜7,000m | 高積雲・高層雲・乱層雲 |
| 下層雲 | 地表付近〜2,000m | 層積雲・層雲・積雲・積乱雲 |
高さの数値はあくまで目安で、季節や場所によって多少前後します。まずは「高い・中くらい・低い」というざっくりした感覚でとらえて大丈夫です。

名前が漢字ばかりで難しそうに見えますが、それぞれに「うろこ雲」「わた雲」といった親しみやすい別名があります。まずは別名から覚えるのがおすすめです。
【上層雲】高い空に浮かぶ3種類
上層雲は、上空およそ5,000〜13,000mの高いところにできる雲です。この高さでは気温が氷点下になるため、雲は主に細かい氷の粒(氷晶)でできています。白く薄いものが多く、太陽の光を通しやすいのが特徴です。
巻雲(すじ雲)
巻雲(けんうん)は、刷毛(はけ)ではいたような、白く細いすじ状の雲です。「すじ雲」とも呼ばれます。十種雲形のなかでもっとも高いところにできる雲で、晴れた日の空によく見られます。
青空にすーっと伸びる姿はとても美しく、写真映えする雲のひとつです。
巻積雲(うろこ雲・いわし雲)
巻積雲(けんせきうん)は、小さな白い粒が空一面に広がる雲です。魚のうろこや、いわしの群れのように見えることから「うろこ雲」「いわし雲」と呼ばれます。秋によく見られ、季節を感じさせる雲としても親しまれています。
巻層雲(うす雲)
巻層雲(けんそううん)は、空全体に薄いベールのように広がる雲です。「うす雲」とも呼ばれます。この雲がかかると、太陽や月のまわりに光の輪が見えることがあります。これは「暈(かさ)」と呼ばれる現象です。
「巻」がつく雲は、いちばん高い空にできる薄い雲。すじ状なら巻雲、うろこ状なら巻積雲、ベール状なら巻層雲と覚えると整理しやすいです。
【中層雲】空の中ほどに広がる3種類
中層雲は、上空およそ2,000〜7,000mにできる雲です。水滴と氷の粒がまじってできており、上層雲より厚みがあります。天気がくずれる前ぶれとして現れることも多いグループです。


高積雲(ひつじ雲)
高積雲(こうせきうん)は、白や灰色の丸い塊が群れをなして並ぶ雲です。羊の群れのように見えることから「ひつじ雲」と呼ばれます。巻積雲(うろこ雲)とよく似ていますが、ひとつひとつの塊が大きく、影がついて見えるのが見分けのポイントです。
高層雲(おぼろ雲)
高層雲(こうそううん)は、灰色がかった雲が空全体を覆う、のっぺりとした雲です。太陽がすりガラスごしのようにぼんやり見えることから「おぼろ雲」と呼ばれます。この雲が広がると、雨が近いサインといわれています。
乱層雲(あま雲)
乱層雲(らんそううん)は、暗い灰色で空をすっぽり覆う、雨や雪を降らせる雲です。「あま雲」とも呼ばれます。しとしとと長く降り続く雨は、この乱層雲によるものが多いです。
【下層雲】低い空に広がる4種類
下層雲は、地表付近から上空およそ2,000mまでにできる、いちばん低いグループです。私たちにもっとも身近な雲が多く、天気の急変に関わる積乱雲もここに含まれます。4種類あるのが特徴です。
層積雲(うね雲・くもり雲)
層積雲(そうせきうん)は、灰色や白の大きな塊が、うね状や層状に並ぶ雲です。「うね雲」「くもり雲」とも呼ばれます。空一面に広がることが多く、くもりの日によく見かける、いちばん身近な雲のひとつです。
層雲(きり雲)
層雲(そううん)は、十種雲形のなかでもっとも低い位置にできる、灰色の霧のような雲です。「きり雲」とも呼ばれます。山の中腹にかかったり、地表に接したりすると、私たちはそれを「霧」と呼びます。
積雲(わた雲・綿雲)
積雲(せきうん)は、青空にぽっかり浮かぶ、綿菓子のような白い雲です。「わた雲」と呼ばれ、絵に描く雲といえばこの形を思い浮かべる人が多いでしょう。晴れた日の日中によく現れ、見ていて気持ちのよい雲です。
積乱雲(入道雲・かみなり雲)
積乱雲(せきらんうん)は、もくもくと高く盛り上がる、夏の代表的な雲です。「入道雲」「かみなり雲」と呼ばれます。強い雨や雷、突風をもたらすことがあるため、発達した積乱雲を見かけたら注意が必要です。
空が急に暗くなる、冷たい風が吹く、遠くで雷が鳴るといった変化は、天気が急変するサインです。屋外にいる場合は、頑丈な建物の中など安全な場所に早めに移動しましょう。最新情報は気象庁や気象警報を確認してください。
空を見てすぐ見分けるコツ
10種類の雲を見分けるのは難しそうに感じますが、順番に考えれば大丈夫です。「高さ」から絞り込み、次に「形」で判断する。この2ステップを意識するだけで、ぐっと見分けやすくなります。
「高さ→形」の順で判断する
まず、雲がどのくらいの高さにあるかをざっくり見ます。薄くて白い雲なら上層、空をどんより覆っていれば中層、もこもこと近くに見えれば下層です。次に、すじ状か・うろこ状か・塊状かといった形を見れば、10種類のどれに近いか絞り込めます。
薄く高い雲か、中くらいか、低く近い雲かをざっくり判断します。
すじ状・うろこ状・塊状・層状のどれに近いかを確認します。
「うろこ雲」「わた雲」などの別名と見比べて、雲の名前を特定します。
天気予報に役立つ雲
雲の種類は、これからの天気を読むヒントにもなります。たとえば、巻層雲(うす雲)や高層雲(おぼろ雲)が広がってきたら、雨が近づいているサインといわれます。逆に、青空にわた雲(積雲)が浮かんでいる日は、しばらく晴れが続きやすい傾向があります。
飛行機雲の残り方からも天気を予想できます。飛行機雲がすぐ消えるか、長く残るかで空気の湿り具合が分かるといわれています。くわしくは以下の記事で解説しています。


一度は見たい珍しい雲
十種雲形のほかにも、条件がそろったときだけ現れる珍しい雲があります。見られたらラッキーな、特別な空の景色を紹介します。どれも自然が生み出す美しい現象です。


- 彩雲(さいうん):雲が虹色に輝いて見える現象。太陽の近くの薄い雲で起こりやすいです。
- レンズ雲:凸レンズやUFOのような形をした雲。山の近くで風の流れによってできます。
- 乳房雲(にゅうぼううん):雲の底からこぶのように垂れ下がって見える雲。積乱雲に伴うことがあります。
- かなとこ雲:積乱雲が高く発達し、上部が金床(かなとこ)のように横に広がった雲です。
これらの珍しい雲は、SNSでも話題になりやすい存在です。空を虹色に染める彩雲などは、スピリチュアルな意味で語られることもあります。雲にまつわる言い伝えに興味がある方は、こちらの記事もどうぞ。


よくある質問
- 雲の種類は本当に10種類だけですか?
-
基本の分類が10種類(十種雲形)です。実際には、この10種類がさらに細かい「種」や「変種」に分けられます。ただし、日常で空を楽しむぶんには、まず10種類を覚えれば十分です。
- うろこ雲といわし雲は違う雲ですか?
-
どちらも同じ「巻積雲」の別名です。うろこのように見えれば「うろこ雲」、いわしの群れのように見えれば「いわし雲」と呼び分けられますが、雲の種類としては同じものです。
- 雲の写真を撮るときのコツはありますか?
-
空だけでなく、建物や木などを少し入れると雲の大きさや高さが伝わりやすくなります。また、太陽を直接写さないようにすると、雲の色や形がきれいに写ります。
まとめ
雲の種類は、基本となる十種雲形の10種類を覚えるところからはじまります。「高さ」と「形」の2つのものさしで見れば、初心者でも意外とすんなり見分けられます。
雲の基本は10種類(十種雲形)に分けられる。
上層・中層・下層の「高さ」と、すじ・うろこ・塊などの「形」で見分ける。
彩雲やレンズ雲など、条件がそろったときだけ現れる珍しい雲もある。
名前と別名を少し覚えるだけで、いつもの空がぐっと面白く見えてきます。次に空を見上げるとき、ぜひ「これは何雲かな?」と考えてみてください。









コメント