とろけるような舌触り、鮮やかなオレンジ色、そして口いっぱいに広がる濃厚な甘み。高級食材として多くの人を魅了する海の幸「ウニ」は、日本の食卓を彩る特別な存在です。
実は日本は世界でもトップクラスのウニ消費国で、私たちにとってウニは昔からなじみ深い食材。お寿司屋さんで見かけるのはもちろん、最近ではスーパーやお取り寄せでも手軽に楽しめるようになりました。
でも、いざウニを買おうとすると「ムラサキウニとバフンウニって何が違うの?」「ミョウバン不使用って書いてあるけど、そんなに味が変わるの?」「せっかくなら失敗したくない…」なんて悩んでしまいますよね。
そこでこの記事では、ウニ選びに迷っている方のために、種類ごとの味の違いから、美味しいウニに出会うための「旬」「産地」「加工方法」まで、分かりやすくまとめました。読み終わる頃には、自分好みのウニを自信を持って選べるようになっているはずです。
あなたはどのタイプ?好みで選ぶウニ診断

ウニと一口に言っても、その味わいは種類によってかなり違います。まずは自分の好みを確認して、相性の良いウニを見つけてみましょう。
【タイプA】上品でさっぱりとした味わいが好き。繊細な風味を楽しみたい。
→ おすすめは「ムラサキウニ」。クセが少なく、ウニ初心者の方にもぴったりです。淡白な白身魚や日本酒との相性も抜群。
【タイプB】とにかく濃厚でクリーミーな味が好き。ガツンとくる旨味を求めている。
→ おすすめは「バフンウニ」または「エゾバフンウニ」。ウニらしい力強い甘みとコクを存分に堪能できます。
【タイプC】珍しいものを食べてみたい。旅先でしか出会えない味に惹かれる。
→ おすすめは「アカウニ」。九州地方で愛される希少なウニで、独特の強い甘みが特徴です。
自分のタイプが分かったところで、それぞれのウニについてもう少し詳しく見ていきましょう。
知っておきたい!食用ウニの代表5種類

日本近海には160種類以上のウニが生息していると言われていますが、食用として流通しているのはほんの一握り。ここでは、私たちがよく口にする代表的な5種類のウニを紹介します。
ムラサキウニ|ウニ入門に最適な定番品
黒くて長いトゲが特徴的なムラサキウニは、私たちが「ウニ」と聞いて最初にイメージする姿かもしれません。名前の由来は、太陽光に透かすと紫色に見えることから。全国の沿岸に広く分布しており、流通量も多いため、スーパーや回転寿司などでも見かける機会が多いウニです。
味わいは上品でクセがなく、すっきりとした甘さが持ち味。後味もさわやかなので、繊細な風味の日本酒や白ワインとも好相性です。価格も他のウニに比べると手頃なので、「まずはウニを試してみたい」という方の入門編としておすすめできます。ウニ特有の磯臭さが苦手という方も、ムラサキウニなら食べやすいと感じることが多いようです。
キタムラサキウニ|大ぶりで食べ応え抜群
ムラサキウニの仲間で、より北の海域で獲れるのがキタムラサキウニです。見た目はムラサキウニとよく似ていますが、一回り大きく、身もボリュームたっぷり。北海道では「ノナ」という愛称で呼ばれることもあります。
味わいは優しい甘さとクリーミーな食感が特徴で、ムラサキウニよりも少し濃厚な印象。身が大きいので、お寿司のネタとして軍艦に乗せると存在感があり、一口でウニの旨味をしっかり味わえます。高級寿司店で使われることも多く、そのボリュームと品のある味わいで人気を集めています。
バフンウニ|濃厚さを極めた味わいの王様
短いトゲがびっしりと生えた姿が馬糞に似ていることから、ちょっと残念な名前がついてしまったバフンウニ。しかし、その味わいはウニの中でもトップクラスの濃厚さを誇ります。
身は小ぶりながら、鮮やかなオレンジ色が美しく、ねっとりとした舌触りと力強い甘み、そして深いコクが口いっぱいに広がります。「ウニはやっぱり濃厚じゃないと物足りない」という方には、まさにうってつけの選択。ムラサキウニでウニの美味しさに目覚めた方が、次のステップとして挑戦してみるのもいいでしょう。
エゾバフンウニ|最高級の名を欲しいままにする逸品
バフンウニの近縁種で、主に北海道で漁獲されるエゾバフンウニ。「ウニの王様」と呼ばれることもある最高級品です。
バフンウニよりもさらに身が大きく、その色は燃えるような濃いオレンジ色。味わいも格別で、濃厚な甘みとコクがぎゅっと凝縮されています。特に良質な昆布を食べて育った利尻島や礼文島産のエゾバフンウニは、雑味がなく甘みが際立つことで有名。漁獲量が限られているため価格は高めですが、特別な日のご馳走として、一度は味わっておきたい至高の逸品です。
アカウニ|九州が誇る「幻のウニ」
全体的に赤みがかった色合いが特徴のアカウニは、主に九州沿岸で獲れる希少なウニです。流通量が非常に少なく、そのほとんどが地元で消費されてしまうため、東日本ではなかなかお目にかかれません。そのため「幻のウニ」とも呼ばれています。
味わいは他のウニとは一線を画す、非常に強い甘みと芳醇な香りが特徴。ねっとりとした食感と濃厚な後味は、一度食べたら忘れられないほど。長崎県の壱岐や熊本県の天草などが名産地として知られており、九州を旅する機会があれば、ぜひ探してみてください。
美味しいウニを選ぶための3つのポイント

自分好みのウニの種類が分かったら、次は「最高の状態」のウニを選ぶコツを押さえましょう。チェックすべきは「加工方法」「旬」「産地」の3つです。
ポイント1:加工方法の違いで味が変わる
ウニは非常にデリケートな食材で、殻から取り出すと自己消化酵素の働きで徐々に溶けてしまいます。そのため、私たちの食卓に届くまでには形を保つための加工が施されています。この加工方法によって、味わいがかなり変わってくるんです。
板ウニ(ミョウバン使用)
贈答品などでよく見かける、木箱に美しく並べられたウニが「板ウニ」です。この形をキープするために使われているのが「ミョウバン」という食品添加物。ミョウバンにはウニの身を引き締めて溶けるのを防ぐ効果があり、流通させるうえで重要な役割を果たしています。
ただし、ミョウバンを使いすぎると独特の苦みや渋みが出てしまうことがあります。「ウニは苦くて苦手…」という方は、もしかするとミョウバンの味が原因かもしれません。最近は技術の進歩により、ミョウバンの使用量を最小限に抑えた高品質な板ウニも増えているので、選ぶ際には「ミョウバン控えめ」「ミョウバン不使用」などの表示をチェックしてみてください。
塩水ウニ(ミョウバン不使用)
近年、ウニ好きの間で人気急上昇中なのが「塩水ウニ」です。ミョウバンを使わず、海水とほぼ同じ塩分濃度の塩水にウニを浸して流通させる方法で、ウニ本来の味をダイレクトに楽しめるのが魅力。
とろけるような食感と、雑味のないピュアな甘みは、まるで産地で獲れたてを食べているかのような感動があります。ただし、ミョウバンで保護されていない分、賞味期限が非常に短く(製造から2~3日程度)、価格も高め。お取り寄せや特別な日のご馳走にぴったりです。
塩ウニ(保存食・珍味)
生ウニに塩を振って水分を抜き、熟成させたものが「塩ウニ」です。水分が抜けることで旨味成分がぎゅっと凝縮され、生ウニとはまた違った濃厚な味わいに。長期保存ができ、少量でも塩気と旨味がしっかり感じられるので、日本酒のお供にちびちび楽しんだり、パスタや和え物の隠し味に使ったりするのに向いています。
ポイント2:旬を知れば美味しさ倍増
どんな食材にも「旬」があるように、ウニにも最も美味しくなる時期があります。ウニの旬は、産卵期の直前。この時期のウニは子孫を残すために栄養をたっぷり蓄えているため、甘みや旨味がぐっと増すんです。
産地や種類によって旬はリレーのように移り変わっていくので、一年を通じて日本のどこかで旬のウニを味わうことができます。以下に代表的な旬の時期をまとめました。
【ムラサキウニの旬】
北海道(利尻島・積丹半島など)では6月から8月の夏場がベストシーズン。本州(三陸、北陸、山陰など)も同様に夏が旬で、7月から8月頃に最も美味しくなります。九州では少し早く、4月から6月の春から初夏にかけてが狙い目です。
【キタムラサキウニの旬】
北海道の道南地域では9月から12月の秋から冬にかけてが旬。三陸地方では5月から8月の春から夏が食べ頃です。
【バフンウニの旬】
北海道の羅臼では1月から6月の冬から春にかけてが旬。本州では3月から4月の春先が最も美味しい時期です。
【エゾバフンウニの旬】
北海道の襟裳・日高地域では3月から5月の春が旬。利尻・礼文では6月から9月の夏場がベストシーズンです。
【アカウニの旬】
九州(長崎・熊本・佐賀など)では8月下旬から10月の秋口が食べ頃です。
ポイント3:産地で味が変わる理由
ウニの味は、育った海の環境に大きく左右されます。特に重要なのが、エサとなる昆布や海藻の質。良質な海藻が豊富な海域で育ったウニは、雑味がなく甘みが強い傾向があります。
ウニの名産地として特に有名なのが、北海道の利尻島・礼文島エリアです。最高級の「利尻昆布」を食べて育ったエゾバフンウニやキタムラサキウニは、全国にその名を知られるブランドウニ。雑味がなく、甘みが非常に強いのが特徴です。
同じく北海道の積丹半島も人気の産地。「積丹ブルー」と呼ばれる美しい海で育つムラサキウニは、夏の風物詩として多くの観光客を惹きつけています。漁期の6月から8月には、このウニを目当てに訪れる人も少なくありません。
本州では、岩手県の三陸海岸が有名です。豊かな海藻が茂る三陸の海で育つキタムラサキウニは、身が大きくクリーミー。牛乳瓶に詰められた「瓶ウニ」は三陸名物として知られています。
九州では、長崎県の壱岐・対馬がアカウニの名産地。暖流と寒流がぶつかる栄養豊富な海で育つアカウニは、濃厚な甘みとコクが格別です。
スーパーで美味しいウニを見分けるコツ

せっかくウニを買うなら、できるだけ新鮮で美味しいものを選びたいですよね。パック詰めのウニを選ぶときにチェックしたいポイントを紹介します。
まず見るべきは「身の状態」です。新鮮なウニは身の形がしっかりしていて、角が立っています。逆に、溶けてダレているようなものは避けましょう。時間が経つとウニは自己消化で溶けてしまうので、身がしっかりしているかどうかは鮮度の良い指標になります。
次にチェックしたいのが「色」です。オレンジ色や黄色が鮮やかで、ツヤがあるものを選びましょう。黒ずんでいたり、色がくすんでいたりするものは鮮度が落ちている可能性があります。ただし、種類によって本来の色味が違う(バフンウニは濃いオレンジ、ムラサキウニは淡い黄色)ので、同じ種類の中で比較するのがポイントです。
パックの底に溜まった「ドリップ(液体)」も要チェック。液体が多く出ているものは、時間が経っている証拠。できるだけドリップの少ないものを選ぶのがコツです。
ウニの美味しい食べ方アイデア

新鮮なウニが手に入ったら、いろいろな食べ方で楽しんでみましょう。
王道はやっぱりお寿司やウニ丼。シンプルにご飯と合わせることで、ウニ本来の味わいをダイレクトに堪能できます。わさびを少し添えると、甘みがより引き立ちます。
洋風にアレンジするなら、ウニのクリームパスタがおすすめ。生クリームとウニを合わせれば、濃厚で贅沢なソースが完成します。仕上げにウニをトッピングすれば、見た目も華やかな一皿に。
和の一品として楽しむなら、ウニとイカの和え物はいかがでしょう。イカの甘みとウニのコクが絶妙にマッチして、醤油をちょっと垂らすだけで絶品の酒肴になります。
ちょっと意外かもしれませんが、焼きウニも美味。醤油をひと塗りして、オーブントースターなどで表面を軽く炙ると、香ばしさが加わって甘みが一層引き立ちます。
究極のシンプル料理として、ウニを乗せた卵かけご飯も試してみてください。熱々のご飯に卵黄とウニを乗せ、だし醤油をかければ、背徳感と幸福感が同時に押し寄せる至福の一杯が出来上がります。
ウニに関するよくある疑問
ウニにまつわる素朴な疑問にお答えします。
- ウニのトゲには毒がある?
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日本で食用にされているムラサキウニやバフンウニのトゲには毒はありません。ただし、沖縄などの南の海に生息する「ガンガゼ」というウニは、トゲに毒を持っているので注意が必要です。海で遊ぶときに見かけても、むやみに触らないようにしましょう。
- ウニの可食部分って何?
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私たちが食べているオレンジ色の部分は、実はウニの「生殖巣」です。オスの精巣とメスの卵巣で、まとめて「生殖巣」と呼ばれています。一般的にメスの卵巣のほうが味が濃厚で美味しいとされることもありますが、市場では区別されずに流通していることがほとんどです。
- ウニの保存方法は?
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ウニは非常に傷みやすい食材なので、できるだけ早く食べるのがベスト。冷蔵庫で保存する場合は、購入したパックのまま、チルド室など温度の低い場所で保管し、2~3日以内に食べきりましょう。塩水ウニの場合は特に賞味期限が短いので、届いたらすぐに食べるのがおすすめです。
- 冷凍ウニってどうなの?
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最近は冷凍技術の進歩により、品質の良い冷凍ウニも増えています。生のウニに比べると多少食感は変わりますが、解凍後すぐに食べれば十分美味しく楽しめます。長期保存ができるので、お取り寄せなどで利用する際には選択肢の一つになります。解凍は冷蔵庫でゆっくり行うのがコツです。
まとめ|自分好みのウニを見つけよう
この記事では、美味しいウニを選ぶためのポイントを紹介してきました。
まずは「ムラサキウニ」と「バフンウニ」の味の違いを知ることが第一歩。さっぱり系が好きならムラサキウニ、濃厚派ならバフンウニと覚えておけば、ウニ選びで迷うことが減るはずです。
味を追求するなら、旬の時期を意識して、可能であれば「塩水ウニ」を選んでみてください。ミョウバンを使わないウニ本来の味わいは、一度体験すると忘れられない感動があります。
そして旅先では、その土地ならではの産地のウニに挑戦してみましょう。北海道の利尻・礼文で食べるエゾバフンウニ、積丹で味わう夏のムラサキウニ、九州で出会うアカウニ。産地で食べるウニは、また格別の美味しさです。
知識があると、食の世界はぐっと広がります。ぜひこのガイドを参考に、あなたにとっての「最高のウニ」を見つけてみてください。きっと新しい美味しさとの出会いが待っているはずです。

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