「捨てる神あれば拾う神あり」ということわざ、意味はなんとなくわかるけれど、正しい使い方や由来まで自信を持って説明できる方は少ないかもしれません。
この記事では、意味・由来をわかりやすく解説し、すぐに使える例文から類義語・対義語・英語表現まで網羅しています。後半ではスピリチュアルな視点での解釈もご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
結論からいうと、「捨てる神あれば拾う神あり」は「見捨てる人がいても、必ず助けてくれる人がいるから落ち込む必要はない」という意味のことわざです。
「捨てる神あれば拾う神あり」の意味をわかりやすく解説
「捨てる神あれば拾う神あり」は、自分を見放す人がいたとしても、別のどこかに必ず手を差し伸べてくれる人がいるという意味です。困った状況に陥っても、くよくよする必要はないという前向きなメッセージが込められています。
語源と由来
このことわざは、日本古来の「八百万(やおよろず)の神」という考え方がもとになっています。
日本では山や川、海、木々など自然のあらゆるものに神が宿ると信じられてきました。それほど多くの神がいるのだから、あなたを見捨てる神がいたとしても助けてくれる神も必ずいる。そんな発想から生まれた表現です。
古くは「すつる神あれば引きあぐる神あり」という形で使われており、江戸時代の文学や浄瑠璃にも登場します。数百年にわたって人々の間で「世の中は捨てたものじゃない」という希望の言葉として親しまれてきました。
「捨てる」「拾う」は何を指しているのか
ここでいう「神」は、特定の宗教的な存在ではなく「人」の比喩です。
「捨てる神」とは、あなたを見放す人や去っていく環境のこと。たとえば、冷たい態度を取る上司や、突然離れていった友人がこれにあたります。
一方の「拾う神」は、助けてくれる人や新しいチャンスのこと。転職先で出会う良い上司や、困っているときに声をかけてくれる友人などが当てはまるでしょう。
つまり「世の中は広いのだから、一人に見放されたくらいで絶望しなくていい」という励ましの言葉なのです。
実際に、仕事で理不尽な異動を告げられて落ち込んでいたら、異動先で自分の能力を高く評価してくれる上司と出会った——そんなエピソードは日常でもよく耳にします。まさに「捨てる神あれば拾う神あり」を体現する場面です。
使い方と例文
「捨てる神あれば拾う神あり」は、落ち込んでいる人を励ましたり、自分自身を鼓舞したりするときに使います。場面ごとに例文を見てみましょう。
日常会話での例文
- 「彼氏に振られちゃったけど、捨てる神あれば拾う神ありだよ。もっといい人がきっと見つかるよ」
- 「就活で何社も落ちて落ち込んでいたら、友人が『捨てる神あれば拾う神ありだから気を落とさないで』と言ってくれた」
- 「引っ越し先では友達がゼロだったけど、捨てる神あれば拾う神ありで、すぐに気の合う仲間ができた」
- 「ずっと応援していた夢を諦めかけたとき、まさに捨てる神あれば拾う神ありで、思いがけない形でチャンスが巡ってきた」
ビジネスシーンでの例文
- 「大口の取引先を失ったが、捨てる神あれば拾う神ありで、翌月にはもっと好条件の取引先が見つかった」
- 「リストラされたときは目の前が真っ暗だったが、捨てる神あれば拾う神ありというもので、転職先のほうがやりがいのある仕事だった」
手紙やメッセージで使うときの注意点
- 目上の人に対して使うと失礼にあたる場合がある
- 相手がまだ深く傷ついているタイミングでは「大丈夫」というニュアンスが軽く感じられることもある
- まず相手の気持ちに十分寄り添ったうえで使うのがポイント

類義語・対義語・英語表現
「捨てる神あれば拾う神あり」と似た意味や反対の意味を持つことわざを整理しました。使い分けの参考にしてみてください。
似た意味のことわざ5選
| ことわざ | 意味 | ニュアンスの違い |
|---|---|---|
| 渡る世間に鬼はなし | 世の中には情け深い人もたくさんいる | 「世間は基本的に温かい」という前提が強い |
| 禍を転じて福となす | 災いを逆に利用して幸福に変える | 自分から行動する能動的なニュアンス |
| 人間万事塞翁が馬 | 幸不幸はすぐには判断できない | 長い目で物事を見る深い視点 |
| 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり | 悪いときもあれば良いときもある | 人生の浮き沈みに焦点を当てている |
| 禍福は糾える縄の如し | 幸福と不幸は交互にやってくる | 幸不幸は表裏一体であるという教え |
反対の意味のことわざ
反対の意味を持つことわざも押さえておくと、理解がさらに深まります。
| ことわざ | 意味 |
|---|---|
| 人を見たら泥棒と思え | 他人を簡単に信用してはいけない |
| 明日は雨降り他人は泥棒と思え | 何事にも用心深く備えるべきという教え |
「捨てる神あれば拾う神あり」が人の善意を信じる楽観的な表現であるのに対し、これらは簡単に人を信用しないようにという警戒心を説いたことわざです。
英語での表現
英語にも同じような意味の表現があります。海外の方に説明するときや、英語のスピーチで使いたいときに役立ちます。
- When one door shuts, another opens.(1つのドアが閉まれば、別のドアが開く)
- Every cloud has a silver lining.(どんな暗雲にも銀の裏地がある=悪いことにも良い面がある)
- After a storm comes a calm.(嵐の後には静けさが訪れる)
とくに “When one door shuts, another opens.” は「捨てる神あれば拾う神あり」にもっとも近い英語表現として知られています。このフレーズは発明家アレクサンダー・グラハム・ベルの言葉として広く知られていますが、起源はさらに古く16世紀のスペイン文学にまで遡るとされています。

スピリチュアルな視点での解釈
「捨てる神あれば拾う神あり」をスピリチュアルな観点から解釈する考え方もあります。ここでは「こういう見方もある」という視点でご紹介します。
「捨てる」は手放しのサイン
スピリチュアルの世界では、人やものとの別れは「自分に合わなくなったものを手放すサイン」と捉えられることがあります。
たとえば、長く付き合っていた友人と自然に疎遠になったり、居心地が良かったはずの職場に違和感を覚えたりする経験は、多くの方に心当たりがあるのではないでしょうか。こうした変化を「失った」とだけ捉えるのではなく、「次のステージに進む準備ができた」と前向きに受け止める考え方です。
「拾う」は新しいステージへの招待
一方、古い環境を手放した後には新しい出会いやチャンスが訪れやすいとも言われています。
ふと手に取った本に心を動かされたり、思いがけないタイミングで仕事の話が舞い込んだりするのは、新しい流れに乗り始めたサインかもしれません。ことわざの「拾う神」を、こうした新しいチャンスや出会いに重ねて解釈する人も少なくありません。
辛い時期の乗り越え方
辛い状況にいるとき、以下のような考え方が心を軽くしてくれるかもしれません。
- ネガティブな感情を無理に抑え込まず、感じている自分をそのまま認める
- 小さなことに「ありがとう」と口にする習慣をつくる
- 一人で抱え込まず、信頼できる人やカウンセラーに話を聞いてもらう
- 回復には時間がかかることを受け入れて、自分のペースで進む
焦る必要はまったくありません。「捨てる神あれば拾う神あり」——この言葉が教えてくれるように、またあなたの味方になってくれる人や新しいチャンスは、きっと現れます。


よくある質問
- 「捨てる神あれば拾う神あり」は目上の人に使っても大丈夫?
-
励ましのニュアンスが強いため、目上の方に対して直接使うとやや失礼に聞こえる場合があります。上司や年長者には「きっと良いご縁がありますよ」など、柔らかい表現に言い換えるのがおすすめです。
- 「捨てる神あれば拾う神あり」と「渡る世間に鬼はなし」はどう使い分ける?
-
どちらも前向きな意味ですが、「捨てる神あれば拾う神あり」は一度見放された後に助けが現れるというニュアンスです。一方「渡る世間に鬼はなし」は、最初から世の中には温かい人がいるという意味合いが強いため、特に辛い経験をした人への励ましには前者が適しています。
- このことわざの「神」は特定の宗教と関係がある?
-
特定の宗教を指しているわけではありません。日本の「八百万の神」という自然信仰の考え方がもとになっており、「世の中にはいろいろな人がいる」という意味で「神」が比喩的に使われています。
まとめ
「捨てる神あれば拾う神あり」のポイントをおさらいしましょう。
- 意味は「見放す人がいても助けてくれる人は必ずいる」という励ましのことわざ
- 語源は日本の「八百万の神」の考え方に由来する
- 落ち込んでいる人への励ましや、自分を鼓舞するときに使う
- 類義語には「渡る世間に鬼はなし」「人間万事塞翁が馬」などがある
- 英語では “When one door shuts, another opens.” がもっとも近い表現
辛い状況にいるときこそ、この言葉を思い出してみてください。世の中は広く、あなたの味方になってくれる人は必ずどこかにいます。

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