着る虫よけとは?効く仕組み・洗濯での持ち・選び方をやさしく解説

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キャンプや庭仕事、秋の山歩きのたびに虫よけスプレーを塗り直すのは、なかなか手間がかかります。汗で流れてしまったり、子どもの肌に何度も塗るのが気になったりする方も多いのではないでしょうか。そんなときの選択肢になるのが、服そのものに防虫加工をした「着る虫よけ」です。

この記事では、着る虫よけが効く仕組みと効果の限界、洗濯でどのくらい持つのか、選び方とシーン別の使い方をまとめました。

着る虫よけは、防虫成分を生地に付けた服です。止まった虫に成分を嫌がらせて離れさせる仕組みで、守れるのは服で覆った部分だけ。顔や手首などの出ている肌は、肌用の虫よけ剤と組み合わせて守るのが基本です。

目次

着る虫よけとは?防虫成分を生地に付けた服のこと

着る虫よけとは、虫が嫌がる成分を繊維に付けた衣類のことです。Tシャツやパーカー、パンツのほか、帽子・手袋・アームカバー・靴下などの小物もあります。売り場では「防虫ウェア」「虫よけウェア」「防虫加工」といった名前で並んでいることが多いでしょう。

肌にスプレーするのではなく、着るだけで働くのが最大の特徴です。塗り直しの手間が減るうえ、肌に直接薬剤をつけたくない人にも選ばれています。ここではまず、どんな仕組みで虫を遠ざけているのかを見ていきます。

夏の林の中で、明るい色の長袖パーカーと長ズボンを着てハイキングを楽しむ親子

仕組みは「寄せつけない」ではなく「止まると離れる」

着る虫よけの多くは、虫が生地に触れたときに働く「接触型」です。においで遠くの虫を追い払うのではありません。蚊やダニが服に止まったとき、成分を嫌がって離れていくことで、結果として刺されにくくなります。

よく使われる成分の一つが「ペルメトリン」です。除虫菊に含まれる天然の殺虫成分をもとに作られた、ピレスロイド系と呼ばれる成分の仲間にあたります。蚊取り線香や家庭用の殺虫剤にも、同じ系統の成分が使われています。

つまり、虫が近くを飛ぶこと自体は防げません。「虫が寄ってこない服」と考えていると、期待とずれてしまいます。「止まっても長居させない服」とイメージしておくと、実際の働きに近いでしょう。

主な防虫加工の種類

防虫加工にはいくつかの方式があり、メーカーごとに名前が付いています。アウトドア用品店などでよく目にするのは、次の2つです。

加工の名前開発・展開特徴洗濯への強さ(メーカー公表)
スコーロン帝人フロンティアとアース製薬の共同開発ポリエステル繊維に防虫成分を付けた生地。国内のアウトドア・釣り用ウェアに多く使われている洗濯20回後も80%以上の防虫効果(アース製薬の社内測定)
インセクトシールドアメリカ発の防虫加工技術ペルメトリンを繊維に定着させる加工。国内のアウトドアブランドの製品にも採用されている約70回の洗濯まで効果が続くとされる

このほか、作業服やアウトドアの専門店が、独自の防虫加工をうたう製品も増えています。加工の名前が書かれていなくても、商品タグに「防虫加工」「有効成分」「対象の虫」などの表示があれば、選ぶときの手がかりになります。

洗濯への強さの数値は、どれもメーカーが自社の試験条件で示したものです。洗い方や着る頻度によって変わるため、目安として受け止めてください。

どこまで効く?着る虫よけの効果と限界

着る虫よけは、服で覆った部分を虫に刺されにくくするものです。出ている肌を守る力はなく、洗濯を重ねると効果は少しずつ落ちていきます。この2つの限界を知っておくと、使い方を間違えずにすみます。

守れるのは服に覆われた部分だけ

防虫成分は、虫が生地に触れたときに働きます。そのため、顔・首・手の甲・足首など、服から出ている部分には効果が届きません。半袖のTシャツなら、腕はまったく守られていない状態です。

蚊は出ている肌を狙ってくるので、着る虫よけだけで全身を守ろうとすると、どこかに必ずすき間ができます。着る虫よけを選ぶなら、長袖・長ズボンなど覆う面積の多い形にするのが基本です。

また、生地が薄く肌にぴったり張り付いている部分は、蚊が生地の上から刺すこともあります。体に密着するレギンスのような服より、少しゆとりのあるシルエットのほうが安心です。

洗濯を重ねると効果は落ちていく

防虫成分は生地にしっかり付けられていますが、着たり洗ったりを繰り返すうちに少しずつ減っていきます。先ほどの表のとおり、スコーロンにも「洗濯20回後に80%以上」という測定値があり、新品のときの効果がずっと続くわけではありません。

海外の研究でも、ペルメトリン加工の衣類は着用と洗濯を重ねると、生地に残る成分の量が減ることが報告されています。シーズンごとに買い替えるほどではありませんが、何年も着込んだ服は効果が弱まっている前提で使いましょう。

虫よけスプレーとの違いと併用の考え方

着る虫よけと肌用の虫よけ剤は、守る場所も手間もまったく違います。違いを表にすると、次のとおりです。

比べる点着る虫よけ肌用の虫よけ剤
守れる場所服で覆った部分塗った肌の部分
効果の持ち洗濯を重ねるまで続く(製品による)汗や時間で落ちるため塗り直しが必要
使う手間着るだけ出かける前や汗をかいた後に塗る
肌への付き方肌に直接は塗らない肌に直接つける

どちらか一方を選ぶものではなく、役割を分けて使うのが現実的です。服で覆える場所は着る虫よけに任せ、出ている部分だけにスプレーやジェルを使えば、肌に塗る範囲をぐっと減らせます。肌用の虫よけ剤の成分(ディート・イカリジン)の違いは、次の記事で紹介しています。

失敗しない選び方5つのポイント

着る虫よけを選ぶときは、加工の中身・対象の虫・着心地・色・形の5点を見ておくと失敗しにくくなります。見た目が似ていても中身は製品ごとに違うので、タグや商品説明を確認してから選びましょう。

(1)加工の種類と洗濯への強さの表示を見る

まずは、どんな防虫加工が使われているかを確かめます。加工の名前や有効成分、洗濯に何回耐えるかの目安が書かれている製品は、中身を判断しやすく安心です。「虫よけ」とだけ書かれて根拠の説明がないものは、ほかの製品と比べて選ぶとよいでしょう。

(2)対象の虫を確かめる

製品によって、効果をうたっている虫が違います。蚊だけでなく、マダニやブユ(ブヨ)まで対象にしているものもあれば、蚊だけを挙げているものもあります。山や草むらに入る予定があるなら、マダニが対象に入っているかを必ず見ておきましょう。

(3)素材と涼しさで選ぶ

着る虫よけは、虫の多い夏に長袖で着ることが前提です。暑くて脱いでしまっては意味がないため、メッシュ素材や吸汗速乾の生地など、蒸れにくいものを選びましょう。紫外線をカットする加工を兼ねた製品なら、日差しの強い日の日よけにもなります。

(4)色は明るめを選ぶ

厚生労働省の蚊・ダニ対策のリーフレットでも、明るい色の服を着ることが勧められています。蚊は黒や紺などの暗い色に寄ってきやすく、明るい色の服ならマダニが付いたときにも見つけやすくなるためです。白・ベージュ・ライトグレーなどが選びやすいでしょう。

(5)袖口・裾の形を見る

袖口や裾が大きく開いていると、そこから虫が入り込みます。ゴムやボタン、ドローコードで絞れる形なら、すき間を減らせます。フード付きのパーカーは首まわりも覆えるので、首筋を刺されやすい人に向いています。

シーン別の使い方

着る虫よけが特に役立つのは、虫の多い場所に長くいる場面です。ここでは代表的な4つのシーンについて、組み合わせ方と気をつけたい点を紹介します。

キャンプ・釣り

水辺や林の中は蚊が多く、夕方から朝にかけては特に刺されやすくなります。防虫加工の長袖パーカーとパンツを基本にして、帽子と首まわりを覆う小物を足すと安心です。

注意したいのは、防虫加工のウェアにはポリエステルなどの化学繊維が多いことです。化学繊維は火の粉で穴が開いたり溶けたりしやすいため、焚き火のそばでは綿などの燃えにくい上着を羽織ると安心です。

庭仕事・草むしり

庭木の陰や植え込みは、日中でも蚊が潜んでいる場所です。しゃがんで作業すると腰まわりや足首が出やすいので、丈の長い上着と長ズボンを選びましょう。防虫加工の手袋やアームカバーなら、半袖の上から着けるだけで腕を守れるため、ちょっとした作業にも向いています。

草むらの手入れをするときは、ズボンの裾を長靴や靴下の中に入れておくと、足元から虫が入りにくくなります。

庭の植え込みのそばで、つば広の帽子と長袖・アームカバー・長靴を身につけて草むしりをする人

子どもの外遊び

公園や外遊びの最中に虫よけを塗り直すのは、子どもが嫌がってなかなか大変です。着る虫よけなら、出かける前に着せるだけで服の部分を守れます。子ども用サイズの長袖シャツやパーカー、帽子も売られています。

選ぶときは、対象年齢の表示がある製品を選びましょう。袖や襟を口に入れる癖がある小さな子の場合は、使ってよいかをメーカーの説明で確かめておくと安心です。

秋の山歩き・栗拾い

虫よけは夏のものと思われがちですが、マダニは春から秋にかけて活発に動きます。秋の山歩きや栗拾い、紅葉狩りで草むらややぶに入るときにも、着る虫よけは役に立ちます。

厚生労働省は、マダニ対策としてズボンの裾を靴下や長靴の中に入れるなど、肌を出さない服装を勧めています。帰宅後は早めに入浴し、体にマダニが付いていないか確かめましょう。栗拾いの服装と持ち物は、こちらの記事にまとめています。

効果を長持ちさせる洗い方としまい方

着る虫よけの多くは家庭で洗濯できます。ただし、洗い方しだいで防虫成分の減り方が変わるため、洗濯表示とメーカーの案内に従うことが大前提です。そのうえで、次の点を意識すると長持ちさせやすくなります。

洗う前に確認したいこと
  • 洗濯機で洗えるか、手洗いが指定されているか
  • 漂白剤・つけ置き洗いを使ってよいか
  • 乾燥機やアイロンを使ってよいか
  • ドライクリーニングに出してよいか

洗うときは洗濯ネットに入れ、生地どうしのこすれを減らしましょう。泥や汗がついたまま長く置いておくと汚れが落ちにくくなり、強い洗い方が必要になります。着た日のうちに洗っておくと、結果的に生地にやさしい洗濯ですみます。

シーズンが終わったら、よく洗って乾かしてからしまいます。買った時期をタグの近くにメモしておくと、何年着ているかがわかり、買い替えどきの目安になります。洗濯の回数を厳密に数える必要はありませんが、「何シーズン着たか」は覚えておくと役立ちます。

防虫成分が残っているかどうかは、見た目やにおいでは判断できません。着る年数が長くなってきたら、効果が弱まっている前提で使いましょう。

使う前に知っておきたい注意点

着る虫よけは手軽な一方で、肌に触れる服であることに変わりはありません。肌の弱い人やペットのいる家庭では、次の点を押さえてから使いましょう。

肌が敏感な人は様子を見ながら

着る虫よけは肌に薬剤を塗るものではありませんが、服は一日中肌に触れています。肌が敏感な人は、まず短い時間だけ着て様子を見ると安心です。赤みやかゆみが出たときは着るのをやめ、症状が続く場合は皮膚科で相談しましょう。

猫がいる家庭は置き場所に気をつける

猫はピレスロイド系の成分に弱いとされ、ペルメトリンを含む犬用の製品を猫に使ってはいけないとされています。着る虫よけの成分は生地に固定されていますが、猫が服の上で寝たり、かじったりしないよう、脱いだ服は猫の届かない場所に置きましょう。

猫がいる家庭で気をつけたい虫よけは、ほかにもあります。手作りで人気のハッカ油スプレーも、猫のいる部屋では使わないほうがよい理由を次の記事で説明しています。

万能ではないと知っておく

着る虫よけは、あくまで刺される機会を減らす道具のひとつです。家のまわりの水たまりをなくして蚊が育つ場所を減らしたり、網戸や窓のすき間をふさいだりする対策と組み合わせると、より効果的です。室内に入ってくる蚊の対策は、こちらの記事が参考になります。

よくある質問

着る虫よけを着ていれば、虫よけスプレーはいりませんか?

服で覆った部分には効果が期待できますが、顔や手首など出ている肌は守れません。出ている部分には、肌用の虫よけ剤を使いましょう。

普通の洗剤で洗っても大丈夫ですか?

家庭で洗える製品が多いものの、使ってよい洗剤や漂白剤、乾燥機の可否は製品ごとに違います。洗濯表示とメーカーの案内を確認してから洗ってください。

効果が切れたかどうかは見分けられますか?

見た目やにおいでは判断できません。メーカーが示す洗濯回数の目安と、着ている年数を手がかりにしましょう。

子どもに着せても大丈夫ですか?

子ども用サイズの製品も売られています。対象年齢の表示を確かめ、着せたあとに肌の赤みやかゆみが出ていないか様子を見てあげてください。

秋や春でも着る意味はありますか?

蚊は涼しくなると動きが鈍りますが、マダニは春から秋にかけて活発です。山歩きや草刈り、栗拾いなどで草むらに入るときは、季節を問わず役に立ちます。

まとめ

着る虫よけは、防虫成分を生地に付けた服です。虫が止まったときに成分を嫌がって離れていく仕組みで、塗り直しの手間を減らしたい人や、肌に塗る薬剤を少なくしたい人に向いています。

  • 守れるのは服で覆った部分だけ。長袖・長ズボンなど覆う面積の多い形を選ぶ
  • 効果は洗濯を重ねると少しずつ落ちる。メーカーの数値は目安として受け止める
  • 選ぶときは、加工の種類・対象の虫・涼しさ・明るい色・絞れる袖口と裾を見る
  • 洗濯表示に従い、ネットに入れて早めに洗うと長持ちしやすい
  • 肌の弱い人は様子を見ながら使い、猫のいる家庭では置き場所に気をつける

着る虫よけは、夏のキャンプだけでなく、庭仕事や秋の山歩きまで幅広く使えます。仕組みと限界を知ったうえで取り入れれば、虫の多い季節の外出がぐっと楽になります。

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