「しわしわネーム」という言葉を聞いて、なんだか失礼な響きだなと感じた方もいるかもしれません。もともとはキラキラネームの反対語としてネット上で生まれた言葉です。
ところが最近、この古風な名前がふたたび注目を集めています。2025年の名前ランキングでも、和の情緒を感じさせる名前が上位に並びました。
この記事では、しわしわネームの意味と特徴、男女別の名前の例、そしてキラキラネームとの違いをまとめます。今また古風な名前が選ばれている理由も見ていきましょう。
しわしわネームとは?意味と言葉の由来
しわしわネームとは、昭和やそれ以前によく見られた古風な名前を指す言葉です。「〇子」「〇男」のような形や、漢字一文字の名前などが当てはまります。
辞書に載っている正式な用語ではありません。インターネット上で自然に広まった造語です。
「キラキラネーム」の対義語として生まれた造語
この言葉は、キラキラネームの反対語としてつくられました。輝く(キラキラ)に対して、しわが寄った(しわしわ)という対比です。
キラキラネームが読みにくく個性的な名付けを指すのに対して、しわしわネームは読みやすく落ち着いた名前を指します。まったく逆の方向を向いた言葉というわけですね。
表記は「シワシワネーム」とカタカナで書かれることも多く、どちらも同じ意味で使われます。
いつから使われるようになった?
しわしわネームという言葉が広く知られるようになったのは、2015年ごろとされています。キラキラネームが話題になった後、その反動として登場しました。
キラキラネームと呼ばれる名付けの傾向は、1990年代後半から認知され始め、2000年代に大きく広がりました。その流れへの反応として、あえて古風な名前を選ぶ動きが出てきたのです。

「しわしわ」って言い方はちょっと引っかかるけど、名前そのものは素敵なものばかりなんですよね。
揶揄する言葉から「褒め言葉」へ変わりつつある
登場した当初、しわしわネームには「古くさい」というからかいのニュアンスがありました。名前をけなす言葉として使われる場面も少なくありませんでした。
しかし近年は受け取られ方が変わってきています。読みやすい、落ち着いている、品があるといった長所のほうが語られるようになりました。
「レトロネーム」「古風ネーム」という、より前向きな呼び方も広まっています。同じ名前を指していても、言葉の選び方で印象は大きく変わりますね。
しわしわネームの特徴4つ
しわしわネームには、いくつかの共通した特徴があります。ひとことで言えば「読んで字のごとく」の名前が多いという点です。
ここでは代表的な4つの特徴を見ていきます。
(1) 読んだとおりに書ける
最大の特徴は、読み方に迷わないことです。漢字を見れば読みがわかり、読みを聞けば漢字が想像できます。
初対面で名前を間違われにくく、電話口で説明するときも手間がかかりません。書類の記入や読み上げの場面で困りにくいのは、実用面での大きな利点でしょう。
(2) 「〇子」「〇男」など昭和以前に多い形
女の子の「〇子」、男の子の「〇男」「〇夫」「〇郎」といった形は、しわしわネームの代表格です。かつては名前の大多数がこの形でした。
とくに「子」のつく名前は、大正から昭和にかけて女の子の名前の定番でした。時代が進むにつれて割合は減っていきましたが、今もその響きに惹かれる人は少なくありません。
(3) 漢字一文字・ひらがなの名前
「実」「誠」「進」「桜」「舞」のような漢字一文字の名前も、この分類に入ります。すっきりとした見た目で、意味がまっすぐ伝わるのが持ち味です。
「ふみ」「はな」のようなひらがな名も同じく古風な印象を与えます。やわらかく、やさしい雰囲気が生まれますね。


(4) 歴史上の人物や古典に由来する
昔の偉人や文学作品から取った名前も、しわしわネームに数えられます。由来がはっきりしているため、名前の意味を説明しやすいという良さがあります。
子どもが大きくなったとき、「この名前はこういう人にちなんでいるんだよ」と伝えられます。名前に物語があるのは、それだけで価値のあることかもしれません。
しわしわネームの核心は「読みやすさ」と「意味の明快さ」。派手さはなくても、日常のあらゆる場面で扱いやすい名前だといえます。


しわしわネームの名前一覧【女の子】
ここからは、しわしわネームとして挙げられることの多い名前を紹介します。どれも実際に使われてきた、由緒ある名前ばかりです。
特定の誰かを指すものではなく、時代ごとの傾向として見てください。
「子」がつく古風な名前
- よしこ(芳子・良子・佳子)
- はるこ(春子・晴子)
- みちこ(道子・美智子)
- さちこ(幸子)
- のりこ(紀子・典子)
- あきこ(明子・秋子)
- ふみこ(文子)
- ようこ(洋子・陽子)
漢字一文字・二文字の古風な名前
- ちよ(千代)
- とめ(登女)
- はつ(初)
- すみ(澄)
- きく(菊)
- うめ(梅)
- しの(志乃)
- かえで(楓)
今また人気が戻っている名前
古風な名前のなかでも、現代の名付けで再評価されているものがあります。読みやすさと和の雰囲気を両立した名前です。
- いろは(彩葉・色葉)
- つむぎ(紬)
- ことは(琴葉)
- すみれ(菫)
- ちなつ(千夏)
- しおり(栞)
- あやめ(菖蒲)
- なぎさ(渚)
しわしわネームの名前一覧【男の子】
男の子の場合も、読みやすくどっしりとした名前が特徴です。ひとつの漢字で意味が完結するものが多く見られます。
「郎」「男」「夫」がつく名前
- たろう(太郎)
- じろう(次郎・二郎)
- いちろう(一郎)
- かずお(一男・和夫)
- まさお(正男・正夫)
- てつお(哲夫・鉄男)
- ひでお(英夫・秀雄)
- しろう(史郎・四郎)
漢字一文字の名前
- まこと(誠・真)
- みのる(実)
- すすむ(進)
- いさむ(勇)
- ゆたか(豊)
- おさむ(修・治)
- まもる(守)
- たけし(武・剛)
今また人気が戻っている名前
- いおり(伊織)
- そう(爽・颯)
- げん(源・玄)
- りく(陸)
- しゅう(周・柊)
- とうま(冬馬)
- そうすけ(宗介・惣助)
- じん(仁)


キラキラネームとの違いを比較
しわしわネームとキラキラネームは、名付けの方向性がほぼ正反対です。どちらが良い悪いではなく、重視するポイントが違うと考えるとわかりやすいでしょう。
主な違いを表にまとめます。
| 比較項目 | しわしわネーム | キラキラネーム |
|---|---|---|
| 読みやすさ | 読んだとおりに読める | 読み方が推測しづらい |
| 漢字の使い方 | 一般的な音読み・訓読み | 当て字・独自の読みが多い |
| 印象 | 落ち着き・品格・安心感 | 個性的・華やか・現代的 |
| 年配世代の受け止め | 好意的に受け取られやすい | 戸惑われることがある |
| 書類・手続き | 手間がかかりにくい | 読み方の確認を求められがち |
| 名前の覚えられ方 | すぐに覚えてもらえる | 印象に残りやすい |
表にすると対照的ですが、実際の名付けはこの2つのどちらかに割り切れるものではありません。読みやすさを保ちつつ個性も持たせた名前が、今の主流になりつつあります。


なぜ今、古風な名前が人気なの?
古風な名前が選ばれるようになった背景には、名付けの流行の変化と、制度面の動きの両方があります。順に見ていきましょう。
2025年の名前ランキングに表れた「古典回帰」
明治安田生命が毎年発表している名前調査を見ると、和の雰囲気を持つ名前の順位が上がっています。2025年生まれの女の子では「翠(すい・みどり)」が1位、「紬(つむぎ)」が3位に入りました。
「琴葉(ことは)」も2025年のランキングでトップ10入りするなど、和の情緒を感じさせる名前が順位を上げています。
読みやすさと季節感、和の情緒。この3つを兼ね備えた名前が、定番の位置を確保しつつあるといえます。
2025年5月の改正戸籍法で読み仮名にルールができた
2025年5月26日、改正戸籍法が施行されました。これにより、戸籍に氏名の読み仮名(フリガナ)が記載されることになりました。
同日以降の出生届で新たに戸籍に記載される場合、フリガナは「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」である必要があります。漢字とかけ離れた読みは認められにくくなりました。
- 漢字の意味と反対のもの(「高」を「ヒクシ」)
- 別人と誤解されるもの(「太郎」を「ジロウ」「マイケル」)
- まったく読むことができないもの
ただし、これは奇抜な名前を一律に禁止するものではありません。一般的でない読みでも、理由に合理性があれば認められる運用とされています。パスポートや預貯金通帳など、その読みが通用していることを示す書面の提出を求められる場合があります。
制度が整ったことで、読みやすさを意識する流れが強まったのは確かでしょう。古風な名前は、この点で最初から安心感があります。
「読める名前」が親世代の共通感覚になった
キラキラネームが広がった時期に子どもだった世代が、いま親になっています。名前を読み間違えられる経験を身近に見てきた世代でもあります。
その結果、「個性より読みやすさ」を重視する感覚が広がりました。とはいえ完全に昔へ戻るわけではなく、古風さと現代的な響きを混ぜたバランス型が支持されています。


しわしわネームのメリットと気をつけたい点
古風な名前には実用的な利点が多くあります。一方で、まったく気になる点がないわけではありません。両面を確認しておきましょう。
メリット
- 読み間違えられにくく、訂正の手間が少ない
- 電話や口頭で漢字を説明しやすい
- 年配の方にも受け入れられやすい
- 流行に左右されず、年齢を重ねても違和感が出にくい
- 就職や書類の場面で落ち着いた印象を与えやすい
- 名前の由来や意味を説明しやすい
気をつけたい点
- 同姓同名や同じ読みの人が出やすい
- クラスや職場で名前が重なる可能性がある
- 子ども時代に「渋い」と言われる場合がある
- 祖父母世代と同じ名前になり、家庭内で紛らわしくなることがある
とはいえ、これらは工夫で調整できます。読みは古風でも漢字を今風にする、逆に漢字は古典的でも読みをやわらかくするといった組み合わせです。
大切なのは分類にあてはめることではなく、その名前を一生使う本人にとって心地よいかどうか。しわしわかキラキラかという枠組みは、あくまで名付けを考えるときの物差しのひとつです。
よくある質問
- しわしわネームは悪口なのですか?
-
もともとはからかいのニュアンスを含む言葉として広まりました。ただし近年は「古風で品がある」という肯定的な意味で使われる場面が増えています。人に対して直接使うのは避けたほうが無難です。
- しわしわネームとレトロネームは同じ意味ですか?
-
指している名前はほぼ同じです。「レトロネーム」「古風ネーム」のほうが前向きな響きを持つため、雑誌やメディアではこちらの表現が使われる傾向があります。
- 「子」がつく名前は今つけると古く見えますか?
-
一概にそうとはいえません。「凛子」「杏子」のように、現代的な漢字と組み合わせることで新鮮な印象になる例もあります。組み合わせ次第で印象は大きく変わります。
- 改正戸籍法で、古風な名前が有利になったのですか?
-
特定の名前が優遇される制度ではありません。ただし読み仮名に一定のルールが設けられたため、漢字どおりに読める名前は手続き上つまずきにくいといえます。
- すでにキラキラネームの場合、変更はできますか?
-
名の変更は家庭裁判所への申し立てが必要で、「正当な事由」があると認められる必要があります。手続きの詳細や可否については、家庭裁判所や専門の窓口に確認してください。
まとめ:しわしわネームは「読みやすさ」という強み
しわしわネームは、キラキラネームの対義語として2015年ごろに広まった言葉です。昭和以前に多かった古風な名前を指し、読んだとおりに読めることが最大の特徴です。
登場当初はからかう文脈で使われていましたが、今では「レトロネーム」として前向きに語られる場面が増えました。2025年の名前ランキングでも、和の情緒を持つ名前が上位に並んでいます。
2025年5月には改正戸籍法が施行され、戸籍に読み仮名が記載されるようになりました。読みやすい名前の価値が、あらためて見直されるきっかけにもなっています。









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