最近、集中できないことが多くなっていませんか?
集中力は、ストレスや環境の変化などによって変動しやすいものです。
しかし、運動や瞑想などの活動を取り入れたり、心の平穏を取り戻す方法を日常に取り入れることで、徐々に改善できます。
集中力不足時に有効だとされる情報を調べると、環境を整えたり、脳に良い習慣を継続することで集中力を高め、強化できることがわかりました。
今回は、集中力を奪っている原因と、それを高める方法を一緒にご紹介します。
集中力が低下する4つの原因
集中力が低下するには、いくつかの原因が考えられます。まずはそれを見ていきましょう。
周囲に気を散らすものがある
自分の周りに、注意をそらすものがあると、集中するのが難しくなります。
例えば、整理されていない書類やスマートフォンの通知音などがそれにあたります。
目に入ったり、音に反応してしまうだけで、注意がそらされてしまいます。
集中力がどの程度低下するかというと、以下のようになります。
- 集中する対象が1つ→100%の集中力
- 集中する対象が1つ+気を散らすものが1つ→50%:50%の集中力の分散
- 集中する対象が1つ+気を散らすものが2つ→33%:33%:33%の集中力の分散
このように、気を引くものがあればあるほど、集中力は低下してしまいます。
集中したいことに90%、気を散らすことに10%の意識を配分すればいいのではないかと考えるかもしれませんが、集中力はそう簡単に調整できるものではありません。
本当に100%集中したいのであれば、対象以外の情報を遮断することが唯一の方法です。
ストレス
ストレスを抱えていると、目の前のことに集中することが難しくなります。
集中するとは、目の前のことに没頭することですが、ストレスを抱えていると、その原因となっていることが頭をよぎり、没頭することができません。
さらに、ストレスを抱えると、心身ともに疲れやすくなり、交感神経も興奮状態になるため、気が散りやすくなります。
脳科学から見ても、ストレスは集中力の敵であることがわかっています。
疲れてくると、脳の感情や集中力をコントロールしている前頭葉がうまく働かなくなり、集中できなくなります。
前頭葉は1日に使えるエネルギー量に限界があり、ストレスはこのエネルギーを浪費することで知られています。
ストレスを抱えることは、何も良いことがありません。
睡眠不足
寝不足だと頭がぼんやりし、ふわふわした感覚になります。
実は、寝不足のときは脳がエネルギー不足に陥りやすいのです。
睡眠中には体中の細胞が修復されますが、睡眠不足だとその作業が中途半端に終わってしまいます。
その結果、体は傷ついた状態で次の日を迎え、日中に傷を修復しようとします。
細胞を修復する際には血中の糖分をエネルギーとして使いますが、本来は脳に送られるはずの糖分が他の部分で使われてしまうため、結果的に脳がエネルギー不足になってしまいます。
これが寝不足のときに頭がぼんやりする理由です。
寝不足でも集中できるということはありません。
エネルギーが不足している状態では、脳はうまく働かず、集中することはできません。無理は禁物です。
マルチタスクをしている
現代は情報社会と言われ、多くの人が様々な仕事に追われています。
しかし、注意すべき点があります。それは、人間はマルチタスクに全く向いていないということです。
作業効率を上げるためには、どうすればモノタスクのようにできるかが重要です。
モノタスクとは、一度に一つの作業だけを行うことを指します。
例えば、テレビを見ながらPC作業をするのはマルチタスクであり、PC作業だけを行うのはモノタスクです。
また、最近はカフェやレストランで仕事や勉強をする人が増えていますが、これも他の選択肢を減らすことでモノタスクに近づけ、集中しやすくなるために行われていると考えられます。
心理学の実験では、2つ以上のことを同時に行おうとすると、一つあたりの作業効率が50%を下回ることが多いことが示されています。
つまり、多くのことを同時に行おうとすると、かえって集中できず、効率が悪くなってしまうのです。
病気の可能性も考えられます
精神病などで集中力が落ちている可能性もあります。もし体調が悪いことが続く場合は、以下の病気に注意するとよいでしょう。
うつ病
うつ病の症状が軽度であっても、認知機能の低下や集中力の低下などの症状が現れることがあります。
うつ病になると、不必要に多くのエネルギーを使うようになり、その結果、集中力が低下することが考えられます。
また、気分が沈んだ状態が続くため、物事に積極的に取り組めず、集中力を維持できません。
- 普段できていたことが疲れるようになった。
- 新聞やテレビの内容が頭に入ってこない。
- 人の話が聞けなくなってきた。
これらの症状が見られる場合は、うつ病の傾向があると考えられます。
うつ病でなくても、自律神経が乱れている可能性が高いです。
長期間、心や体の調子が悪い場合は、早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。
ADHD
ADHDは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害です。
近年、大人になってからADHDと診断される人が増えています。
ADHDについて一般的に知られるようになったのは、90年代後半です。
それ以降、親が医師に診断を依頼し、子供の頃に発覚するケースが増えましたが、現在は大人になってから診断されるケースが増えています。
これは、ADHDがあまり知られていなかった頃は、単に「落ち着きのない子」として扱われることが多かったため、自身がADHDであることを知らずに育った人たちが多いためです。
ADHDの特徴は、症状や程度がさまざまであり、落ち着きがない、興味のないことに関心を持てない、飽きっぽい、時間を守れないなどがあります。集中力がないのもその症状の一つです。
ADHDは先天的なもので、後から発症するような病気ではなく、その人の個性の一部と言えます。
親のしつけや教育で症状が緩和されることもあります。
集中力を高める7つの方法
これまでに集中力が低下する原因を見てきました。
では、どうすれば集中力を高めることができるのでしょうか。
瞑想
瞑想は宗教的な印象を持たれることもありますが、近年その効果が科学的に証明されており、注目されています。
姿勢を正し、呼吸に集中する瞑想は、脳の前頭葉を鍛えることができ、集中力の向上に効果的です。
研究によると、1日30分の瞑想を8週間続けると、脳の偏桃体が変化し、共感力の向上や性格の改善が見られたとのことです。
ストレスによって集中力が低下しがちな現代社会において、瞑想は集中力を高めるのに最適な方法と言えるでしょう。
最初は30分も続けるのが難しいかもしれませんが、1日5分から始めてみるのも良いでしょう。
短い時間でもリラックス効果があり、心身をリフレッシュできます。
運動
ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士の研究によると、運動は脳を鍛えるのに最適な行動です。
ランニングなどの軽度の運動でも、脳内の神経伝達物質の量が増え、バランスが整うことがわかっています。
また、運動は精神疾患の治療に使われる薬と同じくらいの効果があるとされています。
最近では「アクティブレスト」という言葉も登場しています。
これは積極的な休息を意味し、軽い運動をすることでストレスや疲れを取り除くことを指します。
また、血行が良くなるため、疲労物質が溜まりにくくなる効果もあります。
お昼休みに椅子に座って休むよりも、少し歩いたりする方が、午後も元気に過ごせるというわけです。
本格的なランニングも良いですが、ちょっとした空き時間に軽い運動を取り入れるだけでも、体が軽くなり、快適に過ごせるようになります。
休日には森林浴に出かけるのもおすすめです。
姿勢を正す
最近よく見かける「マインドフルネス」という言葉は、自分の体や気持ちに気づくエクササイズのことで、集中力の向上に効果があります。
姿勢を正すことで、自分の体がどのような状態にあるかに注意を向けることができ、集中力を取り戻すことができます。
姿勢を正してみると、意外と猫背になっていたり、頭がうつむきがちで首に負担がかかっていたりすることに気づくことがあります。姿勢が悪かった場合は、呼吸が楽になることもあります。
運動と合わせて、集中力が低下したと感じたら軽くストレッチをするなどして血流を促し、姿勢を正して呼吸に集中してみるとより効果的です。
アイビー・リー・リストを使う
先にお伝えしたように、マルチタスクではなくモノタスクを心がけることが大切です。
しかし、具体的に何をすれば良いかわからないかもしれません。
そこでおすすめなのが「アイビー・リー・リスト」です。
これは非常にシンプルなTo Doリストで、以下のような手順で行います。
- 前日に、紙に「明日やるべきこと」を6つ書きます。
- 6つ書いたら、重要な順に1から6まで番号をつけます。
- 翌日、メモを取り出して1から順番にこなしていきます。
- 1が終わるまでは絶対に2に移らないようにします。
- 全て終わらなくても大丈夫です。翌日またメモを書きます。
タスクをこなす方法はたくさんありますが、この方法は非常に分かりやすく、すぐにでも始められる上に効果的です。
また、重要なことから順に行うため、他のことを考えずに目の前のことに集中しやすくなります。
心配事を紙に書き出す
仕事が忙しくなると帰りが遅くなりがちですよね。
夜、疲れた状態でいると、つい悲観的になりがちです。
ネガティブな気持ちが続くと、夜寝づらくなり、寝不足に陥ります。
そこで、心配事を紙に書き出し、一緒に解決策も3つ書いてみましょう。
悩みに対して解決策を書くことは、解決に向けて一歩前進したことを意味し、安心感を得られます。
ストレスは、一時的なものよりも長期間放置されたものの方が悪影響が大きいことがわかっています。
悩みに対して行動を起こすことで、その悪循環を断ち切りましょう。
環境を整える
集中すべきことが目の前にあっても、視界に集中力をそらすものがあれば、集中力を維持することは難しくなります。
一つのことにのみ意識を集中させることが大切なので、まずは集中したいこと以外のものに目が行かないように工夫してみましょう。
十分に睡眠をとる
睡眠不足は集中力の大敵です。
睡眠不足になると、エネルギー不足だけでなく、不誠実な性格や考え方になりがちで、集中から遠ざかってしまいます。
実は、インターネット上のポルノサイトは、夜ではなく日中の方がよく見られています。
これは、睡眠不足になりがちな現代人が目の前のことに集中できず、不誠実なことをしている結果と考えられます。
最近では、短時間睡眠の方法を紹介する本や情報が多く出回っていますが、ショートスリーパーになるためには特別な遺伝子が必要で、通常は3~4か月以上続けることは難しいです。
研究では、1日7時間以上8時間以下の睡眠が理想的とされています。
6時間が健康を保つための最低限の睡眠時間とされていますが、実際には7時間以上の睡眠をとったときと比べて、3~5時間しか寝ていない人と反応性が変わらないという結果もあります。
可能であれば、毎日十分に睡眠をとって、最良の状態で一日を過ごしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
集中力がない状態で仕事や課題に取り組むと、普段の倍以上の時間がかかってしまうこともあります。
しかし、適切な対策をすれば、必ず克服できます。
集中力をしっかりと維持できれば、前向きに、そして、意図した目的に対して多くのエネルギーを注ぐことができ、受け取る喜びも増えていきます。
少しずつで構いませんので、今回ご紹介した集中力を高める方法を試してみてください。
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