親はどこまで関与できる?子どもの進路選びと大学受験サポートの正しい関わり方

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「出身校が就職に影響する」「大学を卒業すると給与が変わる」といった考え方は、今でも多くの人々の間で根強く残っています。

特に、男の子は大学に進まなければ評価が低く、女の子は将来結婚するから進学しなくても良いという意見がかつては一般的でした。

昔はこのように考えられていましたが、現在は男女が平等に扱われる時代に突入しています。

将来の大学進学を見据えて、小学校からすでに「お受験」が始まる時代です。

親は子どもの将来に真剣に向き合い、大学に進学し、自分の進む道を見つけてほしいと願います。

「国公立でないと費用は出せない…」や「一流企業に就職しなければ良い家庭は築けない」といった親の思いは非常に強いものですが、具体的に親は子どもの大学進学をどのようにサポートできるのでしょうか。

目次

大学受験における親の関与の範囲

こんな話を耳にして、思わずドキッとしたことがあります。

高校生の息子が風邪をひいて病院に連れて行ったときの出来事です。

久しぶりに診察室に一緒に入ったところ、先生に「お母さんは外でお待ちください。息子さん、高校生ですよね?自分のことは話せますよね?」と言われました。

その瞬間、やってしまった!と感じ、顔が真っ赤になりました。

子どもはいつまでも子どもだと感じるものですが、その感覚は一体いつまで続くのでしょうか。

ただし、考えてみれば、受験生の我が子は自立の過程にあるのです。

具体的に大学受験に向けて、親はどのように子どもの自立を支援できるのでしょうか。

その1:子どもの進路を共に考える

実際のところ、自分の将来について明確なビジョンを持っている子どもはほとんどいません。

幼少期に「将来何になりたいか」というテーマで作文を書く機会はよくありますが、実際にしっかりとした夢を抱いている子どもは、その夢に基づいて未来を考えることがあります。

しかし、現代は急速に変化しているため、かつての夢がいつの間にか消えてしまうことも珍しくありません。

子どもによって、自分が何をしたいのか、どのような職業に就きたいのか理解している場合もあれば、まだ迷っている子どももいます。

まずは、大学に進学する子どもの動機を親として理解しておくことが重要です。

親は、子どもからの真剣な回答を期待しますよね。

「医者になりたいから医学部に進みたい」や「社長になりたいから経営を学びたい」といった具体的な理由が望ましいのです。

もちろん、夢を語る子どもや、スポーツで成功を収めるために大学進学を目指す子どももいます。

友人の息子は「大学を卒業すると就職後の給料が高くなるから」と答えたそうです。

友人は「確かにそうかもしれない」と素直に同意したとのことです(笑)。

そのような動機を聞き入れ、親子で意見を共有することも重要です。

基本的には、子ども自身が向き合い、選択できる環境を整えることが肝心です。

公立か私立か、どの学部や学科を選ぶか、県内の大学にするか県外の大学にするかなど、最低限知っておきたいことです。

その2:大学情報の収集は不可欠!無知や無関心を避けよう

大学を探す際に、親として大学に関する知識や情報を全く持っていないというのは心配ではないでしょうか?(笑)

主要な学部だけでも15以上あり、さらにそれぞれの学部が学科に分かれ、場合によってはコースまで細分化されています。

これにより、取得できる資格や将来の進路が大きく異なる場合があります。

子どもが具体的な進路を決定した際には、親としてその先を見越して行動することが重要です。

子どもをサポートするということは、ただ彼らのために道筋を整えることだけではありません。

子どもが相談や連絡をしてきた際に、必要な情報を持っていることで、より建設的な話し合いができるようにしておくことが求められます。

どこにどのような大学があるのか、希望する学部が存在するのか、大学の雰囲気はどのようなものかといった情報を調べることが重要です。

大学は公式ウェブサイトを持っており、スマホやPCを使って簡単に検索ができます。

進学に関する情報を得るために、子どもは学校の先生や塾の教師に頼ることが多いのが現状です。友人も同じ立場ですからね。

しかし、最も身近にいるあなたが大学について多くの知識や情報を持っていると、子どもは「お母さんは分かっている!」と安心感を持つでしょう。

その3:勉強をサポートする

例えば、以下のようなシーンがあります。

  • 英語が得意な親を持つ子どもが大学の英文学科に進みたいと考えた場合。
  • 数学が得意な親の子どもが、なかなか数学の成績が上がらないとき。

すべてのケースに当てはまるわけではありませんが(笑)、意外と親が教えられることは多いのです。

親子関係において、子どもは言うことを聞かないと思うかもしれませんが、実際には様々なサポートが可能です。

「リビング学習」というスタイルをご存じでしょうか?自分の部屋ではなく、リビングで勉強する方法です。

有名大学の卒業生がこの勉強法を実践しているという話を聞いたことがあります。

以前、テレビでリビングにホワイトボードを設置し、子どもが親に対してホワイトボードを使って解答を説明するシーンを見たことがあります。

このような方法も一つの勉強スタイルであり、インプットした情報をアウトプットすることで理解が深まりますよね。

さらに、分からないことがあれば、親に質問できる環境が整っているのも大きな利点です。

リビングで勉強する子どもは、学年に関係なく、自然に分からないことを親に尋ねる傾向があるようです。

我が家でも何度か子どもと言い合いになったことがありますが、結局また質問してくるのです(笑)。

忍耐が必要ですが、コツはこちら側が受け身でいること。子どもが尋ねてくるまで手を出さないことが大切です。

その4:受験費用や塾にかかる支出のサポート

「とにかく大学に進んでほしいから、いろいろな試験を受けてみてほしい」と思う気持ちはよくわかります。

しかし、大学受験には多額の費用がかかることをご存じでしょうか?

受験料の概要

  • センター試験
    • 3教科以上:18,000円
    • 2教科以上:12,000円
    • 成績通知を希望する場合はプラス800円
  • 国公立大学・2次試験(平均):1校あたり17,000円
  • 私立大学・一般入試(平均):1校あたり35,000円
    • 歯学系・医学系の場合:40,000~60,000円がかかることがあります。

なお、2020年度からは大学入学センター試験が廃止され、大学入学共通テストに移行しました。

この金額を見て「ヒエッ!やっぱり私立は高いな…」と思う方も多いでしょう。

この時点で、もっと貯金しておけばよかった、学資保険に入っておいて良かったと感じるかもしれませんね(笑)。

受験にかかる費用はこれだけではありません。県外の大学を受験する場合には、交通費や宿泊費も発生します。

さらに私立大学では、願書代も必要となります。

費用シミュレーション

ここで、具体的なシミュレーションを行ってみましょう。

  • 地元の国立大学1校
  • 地元の私立大学1校
  • 遠方の私立大学2校

この場合の費用は以下の通りです:

  • 願書代(私立大学):1,000円×3校=3,000円
  • センター試験検定料:18,000円×1校=18,000円
  • 受験料(国立大学):17,000円×1校=17,000円
  • 受験料(私立大学):35,000円×3校=105,000円
  • 交通費(遠方往復):約30,000円×2回=60,000円
  • 宿泊費:約8,000円×2回=16,000円

合計は246,000円です!!

これは受験時にかかる費用のみであり、合格すればさらに入学金や学納金が必要となります。

また、大学合格のために塾に通わせる場合、これもまた大きな出費となります。

平均的な大学進学講座の塾費用(高校3年生)は、集団指導塾で年間50万~70万、個別指導塾で年間60万~100万とされています。

子どもの夢を実現するためには、大学進学は不可欠であり、親として金銭的な支援が重要な役割を果たすことを感じるでしょう。

「お金のことは心配しなくていい」と費用について一切話さない親もいるかもしれませんが、それが必ずしも悪いわけではありません。

しかし、今の時代は情報が溢れています。大学進学にはお金がかかることを子どもも理解しています。

自立を目指す子どもに対して、お金の大切さや親への感謝、自分でできることを知ってもらうことが非常に重要です。

子どもが節約を考えながら本当に必要な判断をすることが、自立への第一歩となります。

その5:生活リズムと食事の管理の重要性

大学受験に限らず、受験期に親が特に気を使うべきなのは子どもの健康状態です。

インフルエンザが流行している時期や、模試会場など人が多く集まる場所では風邪をもらいやすいものです。

また、勉強に励むあまり睡眠不足が続いたり、部活動を引退した後にダラダラしてしまったりすることが、体調を崩す原因になりかねません。

そのため、規則正しい起床・就寝を心がけ、朝食をしっかりと摂り、手洗い・うがいを徹底し、たんぱく質や野菜を豊富に含む食事を考えることが大切です。

これこそが、親だからこそできるサポートです。

私が受験生だった頃、夜遅くまで勉強していると、母が温かい紅茶などを持ってきてくれました。

それがとても嬉しく、勉強机で飲む飲み物は特別な贅沢な気分でした。

冬の寒い時期には、足元が冷えるだろうと足元用の電気ウォーマーを用意してくれたこともありました。

まさに「ひと息つく」時間でした。受験は長期戦ですから、しっかりと休息をとることも必要です。

その6:受験日当日の付き添いと持ち物確認

私は非常に方向音痴です。高校時代、通学は自転車で、利用する公共交通機関はバスだけでした。

遠方の大学を受験したのは、希望する学部が県外にあったからです。

同じ大学を受験する友達はいなく、親も私を一人でどこかに行かせたことがなかったため、母が付き添ってくれました。

その際、受験時の保護者の付き添いが少ないことに気づきました。

多くの受験生は友達同士で来ていたり、一人でバスや電車を利用していたりしました。

その瞬間、少し恥ずかしさを感じましたが、母がいなければ何も分からなかったのも事実です。

だからこそ、親も子どもも納得できる付き添い方があると思います。

私のようなタイプの子どもは、受験当日に道に迷ったり、時間に遅れたりしないように親に付き添ってもらうのが良いでしょう。

同じ大学を受験する友達がいれば、親の出番は少なくなるかもしれませんが(笑)。

親の付き添いは時にマイナスに感じられることもありますが、必要かどうかは親子で相談して決めれば良いでしょう。

付き添いたくない子に無理に付き添う必要はありません。

もし付き添う場合でも、大学の近くで待ち合わせし、直前まで一緒にいるのは避けた方が良いでしょう。

できるだけ子どもに自分で行動させる(切符の購入やホテルのチェックインなど)ことが重要です。

子どもにもプライドがありますので、自立の妨げにならないように配慮するのが賢明です。

また、受験に必要な持ち物チェックも親が忘れがちです。

以下は考えられる持ち物リストです。

  • 受験票
  • 時計(無音のもの)
  • 財布
  • スマホ
  • 筆記用具(マークシートの場合は鉛筆必須)
  • 学生証
  • 飲み物(当日購入でも可。ただし利尿作用のあるものは避ける)
  • お弁当(親が作ったお弁当の方が安心感がある)
  • マスク
  • ホッカイロ
  • 試験要項
  • メガネやコンタクト
  • 参考書やノート

「持ったつもり」になりがちなので、最後に親が口頭で確認してあげると良いでしょう。

また、昼食はできるだけ親がお弁当を用意するようにしましょう。

やはり母の手作りお弁当は特別な存在です。

息子の場合、コンビニで買ってくると少し機嫌を損ねることがありますから(笑)。

緊張しやすい場面では、お弁当が心強いサポートになることもあります。

揚げ物は眠気を誘い集中力を低下させるため控えめにし、自然な素材と味付けで準備することが望ましいです。

大学受験のプロセスはどのようになるのか

2020年1月(2019年度)の実施をもって、大学入試センター試験は廃止されます。

このことを知っている親は多いものの、その詳細まで理解している人は少ないのが現実です。

2020年度(2021年1月)からは、新たに「大学入試共通テスト」が導入されます。

このテストでは、マークシート形式だけでなく、記述式の問題も加わるという大きな変更が行われます。

受験をするのは子どもですが、試験当日までの流れをある程度把握しておかないと、焦るのは親のあなたです。

まずはその流れを理解しておきましょう。

参考: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000030937.html

大学入試スケジュールから見る(1)総合型選抜(旧AO入試)

夏の時期になると、国公立・私立の両方で総合型選抜(旧AO入試)が実施されます。

この総合型選抜(旧AO入試)についてはご存知でしょうか?

面接や小論文、高校での成績を基に学生を評価し、入学の可否を決定するため、学力試験が課されない入試形態です。

親や子どもにとっては、推薦入試との違いが分かりにくいかもしれませんが、以下の点が異なります。

  • 基本的に高校の校長からの推薦は不要で、出願条件を満たしていれば誰でも応募可能。
  • 面接が重視され、複数回行われることが多い。
  • エントリー期間は5月から8月。
  • 大学独自の選考基準が設けられる場合もある。

この総合型選抜(旧AO入試)を受けるか、推薦入試を受けるかは子どもの特性に応じて選ぶことができます。

大学入試スケジュールから見る(2)推薦入試

11月になると、国公立・私立の両方で推薦入試が開始されます。

推薦入試は、高校での取り組みや実績を基に、受験生の個性や意欲を評価する方式です。

この入試には学校長の推薦が必要で、学業成績やスポーツ・課外活動に対して一定の基準が設けられています。

選考基準としては、書類審査や小論文、面接が含まれますが、学力試験を実施する大学もあります。

多くの大学が「専願制」を採用しており、他校との併願は認められていません。

公募制と指定校制の推薦入試についても説明します。

  • 公募制推薦入試では、大学が求める条件を満たし、校長からの推薦があれば全国の高校から広く出願できます。
  • 公募制一般推薦入試では、成績基準が設けられることが多く、募集定員も比較的多いです。
  • 公募制特別推薦入試は、スポーツや文化活動での成績が優秀な場合に適用されます。
  • 指定校制推薦入試では、大学が指定した高校の生徒のみが出願資格を持ち、希望者が多い場合は校内選考が行われます。

評価の基準には成績や課外活動、生活態度が含まれます。

学校長からの推薦を受け、学力試験がない場合もあるため、普段の成績や行いが良ければ受験戦争の苦労を軽減できます。

大学入試スケジュールから見る(3)一般入試と大学入試共通テスト(旧センター試験)

推薦入試が終了した後、一般入試が始まります。

センター試験から移行する大学入試共通テストの出願時期や詳細はまだ明確ではありません。

ただし、入試日はセンター試験の実施時期とほぼ同じになる見込みです。

国公立大学の場合、大学入試共通テスト(1次試験)の得点と、各大学が実施する2次試験(個別試験)の得点の合計によって合否が判定されます。

私立大学の場合は、各大学ごとに一般入試を受け、その後に合否が判定されます。

大学入試共通テストを採用している大学もあります。

参考:https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/963

大学入試スケジュールから見える(4)個別試験(2次試験)

国公立大学を志望する受験生は、まず大学入試共通テストを受ける必要があります。

試験の翌日には解答や配点が発表されるため、自己採点を行った後、志望校への願書を提出する流れとなります。

ここで特に注意すべきは出願期間です。試験から約1週間後に出願が開始され、期間はおおよそ10日間です。

合否は共通テストと個別試験の合計点によって決まります。

もし共通テストで期待した得点が得られなかった場合は、出願校を変更する必要が出てくることもあるため、事前に複数の志望校を設定しておくことが非常に重要です。

2次試験は「前期日程」と「後期日程」に分かれており、各日程で1校ずつ出願が可能です。

つまり、同じ大学・学部を2回受験することもできれば、異なる大学を選択することもできます。

ここで注意が必要なのは、前期日程で合格手続きを行った場合、たとえ後期日程を受験中であっても、合格の権利を失うという点です。

そのため、第一志望校は基本的に「前期日程」で受験するのが望ましいです。

最近では後期日程の廃止や縮小が進んでおり、これにより後期日程での志望校選択肢が狭まり、後期志願者数も年々減少している状況です。

さらに、2次試験に出願しても受験できない場合があることも知っておくべきです。

それは「2段階選抜」という制度です。

この制度の意味については、何となく想像がつくのではないでしょうか?(笑)

具体的には、共通テストの成績に基づいて、2次試験の受験者が事前に選抜される仕組みです。

この2段階選抜の実施有無や方法は各大学の裁量に任されています。

つまり、共通テストで確実に得点を獲得する能力を養っておくことが非常に重要となります。

大学受験期間における親子のストレス

親は子どもの様子を気にしつつ、イライラや不安を感じることが多い一方で、子どもは日々の勉強や親からの注意に反発することがあります。

このように、受験期の親子関係には非常に緊張感が漂います。

大学受験における親のストレス要因

受験期間中に親が抱える主なストレス要因には、以下のようなものがあります。

  • 子どもとの接し方がわからない
  • 子どもの合格が心配(勉強しないことへの不安)
  • 経済的な不安

「受験うつ」や「親子受験うつ」という言葉が存在するほど、受験に伴うストレスは深刻な影響を及ぼすことがあります。

特に「子どもとの接し方がわからない」と「子どもが合格できるか不安(勉強しない)」という悩みは、多くの親が直面しているものです。

親は、どの程度まで干渉すればよいのか迷いながら日々を過ごすことになります。

基本的に親は過干渉になりやすいものです。

心配だからこそ、つい口を出してしまうのです。

しかし、親の意図が必ずしも子どもに受け入れられるわけではありません。

「親」という漢字は「木」と「立」と「見」で構成されていますが、これは小鳥が巣立つ際に、親鳥が少し離れた枝から見守る様子を表していると言われています。

ただし、これは字の成り立ちではなく、後から付けられた説明です。

それでも、親の語源として適切に感じることがあるのも事実です。

少し距離を置いて見守ることで、親には見えることもありますし、子どもも「見守ってほしい」と感じるものです。

親は以下のようなことを心掛けると良いでしょう。

  • 子どもの話を最後まで丁寧に聞く(否定的な発言は控える)
  • 子どもの意見を尊重する
  • 前向きに導く
  • 子ども自身にやるべきことを言わせる

このような「コーチング」スキルは、学校の先生や塾の講師だけでなく、親子間でも非常に役立つものと考えられます。

あなたの子どもなのですから、信じて関わることが重要ではないでしょうか。

金銭的な不安

もし片親の収入だけで生活している場合や、貯蓄があまりないとしたら、受験や入学にかかる費用はかなりの負担となります。

支払いが可能かどうか、働きに出た方が良いのかなど、さまざまなことを悩むこともあるでしょう。

そんな時は、子どもと一緒にお金について相談してみるのも良い方法です。

大学には、進学に必要な学費や生活費を支援してくれる「奨学金制度」が存在します。

  • 給付型奨学金:大学卒業後に返還の必要がありません。
  • 貸与型奨学金:大学卒業後に返還が求められます。

次に、主要な奨学金制度について見てみましょう。

  • 日本学生支援機構(旧:日本育英会):無利息と利息付きの2種類があり、どちらも返還が必要です。最も多くの利用者があり、経済的な理由で進学が困難な学生は、一定の学力条件を満たすことで給付型奨学金も受けられます。
  • 大学独自の奨学金制度:主に私立大学が提供しており、貸与型と給付型があります。2年次以降の学生が対象になることが多く、入試で優秀な成績を収めた場合には特待生制度も設けられています。
  • 地方自治体の奨学金制度:自治体が設けている奨学金で、保護者がその自治体に住んでいることが条件です。貸与型が一般的で、日本学生支援機構の奨学金との併用ができないこともあります。
  • 民間団体・その他の奨学金:保護者が亡くなったり障害を負ったりした際に子どもを支援する団体の奨学金制度や、新聞配達員として働くことで奨学金を受けられる制度などがあります。

さらに、2020年からは私立高校の無償化と大学などの高等教育の無償化が始まります。

これにより、全学生の約2割が対象になる見込みだそうです。

「うちも!」と思うかもしれませんが、対象となる学生の基準は厳しく、年収380万円未満の世帯に限られています。

奨学金制度を利用する場合、卒業後には長期返済が待っていますので、就職後の負担は大きくなります。

一方、無償化では返済の義務がない給付型奨学金や授業料減免制度による支援があります。

この制度を利用する本人に金銭的な負担は一切ありません。

この制度によって、国公立では入学金と授業料がほぼ全額免除されます。

「これほどの能力があるのにお金がないから大学に行けない」と嘆く必要はありません。

ただし、学生の意欲や成績が重視されるため、それらが満たされないと奨学金が打ち切られることがありますので注意が必要です。

奨学金を使ってでも大学に行きたいという覚悟が本人にあるのか、またそれを親が支える覚悟があるのかも重要です。

したがって、金銭に関することはしっかりと親子で話し合うことが大切です。

大学受験における子どものストレス

大学受験の際、子どもが感じるストレスの多くは母親から来るとされています。

…これは耳が痛い話ですね(苦笑)。

どうしても母親は子どもに対して干渉してしまいがちです。

子どもが抱える一般的なストレスの要因は以下の通りです。

  • 親の過干渉
    • 口出しが多すぎる
    • 志望校の選定に口を出す
    • 価値観の不一致
  • 無関心・無配慮
    • 相談に乗らない
    • 食事やイベントに無理に連れ回す
    • 不適切な発言をする
  • 金銭的な問題
    • 経済面から大学を選ばざるを得ない
  • 成績
    • 努力しているのに結果が出ない

これらのストレス要因は、親のストレスとも共通する部分があります。

悩みは似通っているのです。

「親の心子知らず」とは言いますが、高校生ともなればそんなことはないはずです。

「子の心親知らず」の方が問題になることが多いかもしれませんね。

親の過干渉

親が細かく口出しすることは、子どもにとってプレッシャーや煩わしさを感じさせることがあります。

興味深いことに、親世代は「質より量」を重視する傾向がありますが、今の子ども世代は「量より質」を重視しているようです。

以前は反復練習や数をこなすことが重要視されていましたが、現在の子どもたちは効率的な学び方を求めているのかもしれません。

子どもが見守られたいという思いは、自立のサインともいえるでしょう。

自分を信じて、自分の力で進みたいという気持ちの表れと考えられます。

親と子ども双方のストレスを軽減するためには、少し距離を置き、子どもの努力や実力を信じて見守ることが重要です。

無関心・無配慮

いくら子どもを尊重し、任せると言っても、全く放置するのは子どもの不信感を招くことがあります。

「自分には興味がない」「どうでもいい」と思われると、今後も親との関わりを持たなくなるかもしれません。

時折声をかけたり、「ちゃんと見ているよ、応援しているよ」という姿勢を示すことが非常に大切です。

また、子どもを他の誰かと比較したり、努力や実力を軽視する発言も、子どもの心に傷を与え、ストレスを生む原因となります。

子どもの未来を考え、親としてしっかりと受け止め、応援することが求められます。

金銭的問題

親としては、子どもが希望する大学に進ませてあげたい気持ちがある一方で、経済的な負担を感じることがあります。

そのため、「私立大学は認めない」とか「この大学に行け」といった言葉が出てしまい、子どもは自分の進路を制限されることに不満を感じるでしょう。

まずは子どもが希望する大学について話を聞き、その後に現実的な視点からの議論を進めることが重要です。

選択肢を広げたり、奨学金について話し合ったりすることで、オープンなコミュニケーションを持つことが大切です。

親の意見だけを押し付けても、子どもは納得しません。

成績

子どもが一生懸命勉強しているのに成績が向上しない場合や、模試を受けても合格圏に入れないという辛い状況が続くことがあります。

この状況は本当に辛いもので、同じ立場になったと考えると理解できます。

このような状態が続くと、勉強自体がストレスの原因となり、不安が膨らんでしまいます。

しかし、子どもはその悩みを自分から話すことは少ないでしょう。

親が心配して「もっと勉強しなさい」と言うことで、さらなるストレスを生むことをどこかで理解しているのです。

もし子どもが成績の不振について話を持ちかけたら、最後までしっかりと聞いてあげることが大切です。

その話を受け止めて、「頑張っているんだね」と認めてあげることで、子どもに応援している気持ちを伝えることができます。

元陸上選手(マラソン)の高橋尚子さんを育てた故・小出義雄監督は、常に選手を褒めるスタイルで知られていました。

彼は否定することなく、ポジティブな言葉をかけ続けた結果、高橋選手はオリンピックで金メダルを獲得しました。

考えてみると、子どもが成長するにつれて、親が子どもを褒める機会は減っているのかもしれませんね。

まとめ

子どもには必ず自立の時期が訪れます。

大学受験に向けては、親子でしっかりと考えを共有することが重要です。

親自身が受験をするわけではありませんが、子どもが興味を持った大学に関する情報を収集することは、今後の建設的な対話のために必要です。

もし親が勉強のサポートを行えるのであれば、リビング学習が非常に効果的です。

また、大学受験には早くからお金がかかることを親がまず認識し、子どもにもそのことを理解してもらうことが重要です。

生活リズムや食事の管理は親の役割です。

受験日当日の付き添いが必要かどうかは、親子で相談し、持ち物チェックは親からも口頭で行うことで、当日に慌てることがないようにしましょう。

大学受験の流れや関連用語に疎い親が多いので、子どもがあきれることがないように、しっかり把握しておくことが望ましいです。

受験期の親子のストレスは意外にも共通していることが多く、日常的なコミュニティが大切になります。

子どもの未来は親が握っているわけではなく、子ども自身のものです。

大学に進学するか就職するか、どの道を選ぶにしても、それはすべて子どもが決めることです。

しかし、だからこそ親は子どもが安全な道を進めるように支えたくなるものです。

この大学受験という重要な時期に、子どもの自立への第一歩を見届けることで、親の役割は一段落するかもしれませんが、支援は生涯にわたって続くものです。

「親」という字に由来し、少し距離を置いて広い視野で子どもの未来を見守っていきましょう。

親はみんな同じ気持ちを抱いています。

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