「あと1時間…どうにか我慢できるかな」
「隣の人がぐっすり寝てる…起こすのは申し訳ないし…」
「着陸態勢に入りますのアナウンスが、もはや恐怖でしかない」
飛行機に乗ると、どうしてもトイレのことばかり気になってしまう。そんな経験、ありませんか?せっかくの空の旅なのに、機内映画も景色も楽しめない。フライト前から憂うつな気持ちになってしまう方も少なくないはずです。
でも、安心してください。トイレが近くなる悩みを抱えているのは、あなただけではありません。実は多くの人が同じような不安を感じていますし、ちょっとした知識と工夫で状況は大きく改善できます。
この記事では、飛行機でトイレが近くなってしまう根本的な原因から、航空券の予約段階でできること、搭乗前の準備、そして機内での立ち居振る舞いまで、あらゆる角度から対策をお伝えします。読み終わる頃には、次のフライトがきっと楽しみになっているはずですよ。
そもそもなぜ?飛行機でトイレが近くなる3つの原因
対策を考える前に、まずは「なぜ飛行機に乗るとトイレが近くなるのか」を理解しておきましょう。原因がわかれば、対策も立てやすくなります。飛行機という特殊な環境では、主に3つの要因が私たちの体に影響を与えています。
原因その1:気づかないうちに進む「体の冷え」
飛行機の機内は一定の温度に保たれているように感じますが、実際には思っている以上に「冷え」が進行しています。特に足元は空気が滞りやすく、温度が下がりがちです。
私たちの体は冷えを感じると、体温を維持しようとして血管を収縮させます。このとき、腎臓への血流量が増加し、結果として尿の生成が促進されることがあるのです。また、機内の空気は非常に乾燥しているため、肌や呼吸器から水分が蒸発し、その気化熱によって体温が奪われることも冷えの一因となっています。
つまり、座っているだけでも体は静かに冷えていき、それがトイレの回数に影響しているわけですね。
原因その2:「トイレに行けなかったらどうしよう」という心理的プレッシャー
「もしトイレに行きたくなったら…」「我慢できなくなったら恥ずかしい…」。こうした不安、いわゆる「予期不安」は、実は体に直接的な影響を与えます。
ストレスや緊張を感じると自律神経のバランスが乱れ、膀胱が過敏な状態になることがあります。一度でもフライト中にトイレで困った経験があると、その記憶が無意識のうちに体を緊張させ、「飛行機=トイレの不安」という条件反射のようなものができあがってしまうことも。精神的な要因が身体症状として現れるのは、決して珍しいことではありません。
この心理的なプレッシャーは、後ほど紹介する「事前準備」と「心構え」で大幅に軽減できますので、ご安心ください。
原因その3:高度1万メートルならではの環境変化
地上から上空約1万メートルへ。この急激な環境変化も、体に少なからず影響を与えています。
気圧の低下によって体内の組織がわずかに膨張し、これが膀胱への刺激になる可能性が指摘されています。また、機内の湿度は20%以下になることもあり、これは砂漠並みの乾燥具合です。喉の渇きを強く感じて一気に水分を摂ってしまうと、それが直接的なトイレの原因になってしまいます。
環境要因は完全にコントロールできませんが、後述する水分補給の工夫などで上手に付き合っていくことは可能です。
【事前準備編】フライト前にやっておくべき4つのこと
フライト中の安心感は、実は空港に着く前から作り始めることができます。ここでは、トイレの不安を根本から減らすための事前準備を4つご紹介します。どれも難しいことではないので、ぜひ次のフライトから実践してみてください。
準備1:座席は迷わず「通路側」を確保しよう
これが最も効果的で、即効性のある対策です。通路側の座席さえ確保できれば、トイレに関する悩みの大部分は解決すると言っても過言ではありません。
通路側なら、隣の人に声をかけたり、起こしたりする必要がありません。自分のタイミングで、何度でも気兼ねなくトイレに行くことができます。この「いつでも行ける」という安心感が、心理的なプレッシャーを大きく軽減してくれるのです。
座席指定を成功させるためのポイントをいくつかお伝えしますね。まず、航空券を予約したら、できるだけ早く座席指定を行いましょう。通路側は人気が高いため、後回しにすると埋まってしまいます。航空会社のアプリやウェブサイトでチェックイン開始の通知を設定しておくと、指定開始のタイミングを逃しにくくなります。
また、機体後方の座席を狙うのもおすすめです。後方は前方に比べて空いていることが多く、トイレまでの距離も近いため、心理的な安心感が格段に増します。窓からの景色も捨てがたいですが、トイレの不安を抱えているなら、まずは通路側を優先しましょう。
準備2:機内の「冷え」に負けない服装と持ち物
原因のところでも触れましたが、機内の冷えはトイレが近くなる直接的なきっかけになります。服装と持ち物でしっかり対策しておきましょう。
服装の基本は「重ね着(レイヤリング)」です。Tシャツの上にシャツ、その上にカーディガンや薄手のパーカーといった具合に、着脱しやすいものを重ねるのがポイント。暑くなったら脱ぎ、寒くなったら着ることで、常に快適な体温を維持できます。
特に意識してほしいのが足元です。機内で最も冷えやすい場所なので、厚手の靴下やレッグウォーマーを持参すると安心です。靴も、きつく締め付けないスニーカーやスリッポンがおすすめ。機内では靴を脱いで携帯用スリッパに履き替えると、リラックス効果も高まりますし、足の血行も良くなります。
さらに万全を期すなら、大判のストールやブランケット、使い捨てカイロ(腰やお腹に貼るタイプ)なども準備しておくと良いでしょう。備えあれば憂いなしです。
準備3:フライト当日の食事と飲み物を見直す
フライト当日に何を口にするかは、機内での快適さを大きく左右します。特に飲み物の選び方は重要です。
避けたほうが良いのは、利尿作用のある飲み物です。コーヒー、紅茶、緑茶といったカフェインを含むもの、ビールやワインなどのアルコール類は、トイレの回数を増やす原因になります。また、オレンジジュースなどの柑橘系も、人によっては膀胱への刺激になることがあるので注意が必要です。
代わりに選びたいのは、水、白湯、麦茶など。カフェインレスのハーブティーもおすすめです。特にカモミールティーはリラックス効果もあるので、緊張しやすい方にはぴったりですね。
食事については、塩分の多いものを控えめにしましょう。塩分を摂りすぎると喉が渇き、結果として水分を摂りすぎてしまいます。また、体を冷やす生野菜や冷たい食べ物よりも、温かいスープなどを選ぶと体を内側から温められます。
準備4:どうしても不安なら市販薬という選択肢も
いろいろ対策をしても、やっぱり不安が拭えない…という方もいらっしゃるかもしれません。そんな場合は、市販薬を「お守り」として持っておくのも一つの方法です。
薬局では、頻尿や残尿感を改善する薬が販売されています。ただし、ここで大切なのは、絶対に自己判断で服用しないこと。必ず薬剤師に相談し、「飛行機に乗る際のトイレの不安を和らげたい」という目的を伝えて、自分の体質に合ったものを選んでもらってください。
薬はあくまで最終手段であり、「持っている」という安心感を得るためのお守りと考えるのが良いでしょう。実際に服用しなくても、バッグに入れておくだけで気持ちが楽になることもあります。
【機内実践編】フライト中に使える3つのテクニック
さて、いよいよ搭乗です。ここからは、機内でトイレの不安を感じたときに役立つ具体的なテクニックをご紹介します。
テクニック1:隣の人にスマートに声をかけるフレーズ集
窓側や中央の席に座っている場合、席を立つには隣の人に声をかける必要があります。これが心理的なハードルになっている方も多いのではないでしょうか。
でも大丈夫。丁寧な声かけ一つで、相手の反応は全く違ってきます。状況別に使えるフレーズを覚えておきましょう。
まず基本的なフレーズとして、「すみません、お手洗いに行きたいので、前を失礼します」や「恐れ入ります、少しよろしいでしょうか。通していただけますか」が使いやすいです。シンプルですが、丁寧さが伝わります。
相手が起きていて、読書やリラックスしている様子なら、「お休みのところすみません。お手洗いに行かせていただけますか」と声をかければOKです。軽く会釈しながら身を乗り出すジェスチャーを加えると、より伝わりやすくなります。
相手がPCで作業中だったり、イヤホンをして映画を見ていたりする場合は、少し配慮を加えて「お忙しいところ申し訳ありません。お手洗いに行きたいのですが、よろしいでしょうか」と伝えましょう。イヤホンをしている相手には、軽くジェスチャーを交えると気づいてもらいやすいです。
最も難しいのが、相手が寝ているケースですよね。この場合は、まず肩を軽くトントンと叩いて起こしてから、「すみません、お休みのところ大変申し訳ないのですが、お手洗いに行きたくて…」と伝えます。申し訳なさそうにしつつも、堂々とお願いして大丈夫です。
何度も席を立つことになってしまった場合は、「度々申し訳ありません。少し席を立たせていただけますか」や「本当にご迷惑おかけします。どうも体調が優れなくて…ありがとうございます」といったフレーズが使えます。
ポイントは、申し訳ないという気持ちを丁寧に伝えつつ、「生理現象なんだから仕方ない」と堂々としていること。ほとんどの人は快く協力してくれますし、お互い様だと理解しています。過度に恐縮する必要はありませんよ。
テクニック2:正しい水分補給とセルフケア
トイレを気にするあまり、水分を全く摂らないのは実は逆効果です。脱水状態になると、エコノミークラス症候群のリスクが高まるだけでなく、頭痛やだるさといった体調不良を引き起こします。
大切なのは、水分の「摂り方」を工夫すること。一度にたくさん飲むのではなく、「一口ずつ、こまめに」が鉄則です。ペットボトルのキャップ1杯分くらいの量を、30分に1回程度口に含むだけでも、乾燥対策として十分効果があります。
また、長時間同じ姿勢で座り続けると血流が悪くなり、冷えやむくみの原因になります。自席でできる簡単なストレッチを取り入れてみてください。足首をぐるぐる回したり、かかとの上げ下げを繰り返したり、ふくらはぎを軽く揉んだり。こうした小さな動きが血行を促進し、体を温める効果も期待できます。
さらに、深呼吸も効果的です。緊張しているときは呼吸が浅くなりがちですが、意識的にゆっくりと深い呼吸を繰り返すことで、自律神経が整い、リラックスできます。鼻から4秒かけて吸い、口から8秒かけて吐く。これを数回繰り返すだけでも、気持ちが落ち着いてきますよ。
テクニック3:困ったら客室乗務員に相談する
客室乗務員(CA)さんは、飲み物を配るだけの存在ではありません。彼らは保安要員であり、乗客が快適に過ごせるようサポートするプロフェッショナルです。トイレのことで困ったら、遠慮なく相談してみましょう。
「申し訳ありません、少しお腹の調子が悪くて、トイレが近いのですが…」と伝えるだけで大丈夫です。そうすれば、比較的空いているトイレの場所を教えてもらえたり、状況によってはトイレに近い空席への移動を検討してもらえたりすることもあります。体調を気遣って、白湯など温かい飲み物を持ってきてくれることもあるでしょう。
「相談する」という行為そのものが、実は大きな安心感につながります。一人で抱え込まないでくださいね。
トイレに行くベストタイミングとは?
フライト中、トイレに行くタイミングにも実はコツがあります。混雑を避けて、スムーズにトイレを済ませるためのポイントをお伝えしますね。
飛行機のトイレが最も混雑するのは、機内食が配られた後と、着陸前の時間帯です。多くの人が同じタイミングでトイレに向かうため、長い列ができることも珍しくありません。
狙い目は、フライトが安定してシートベルト着用サインが消え、多くの人が映画を見始めたり、眠り始めたりする「中盤の時間帯」です。この時間は比較的トイレが空いていることが多いので、ゆっくり用を足せます。
また、機内食が配られる前のタイミングもおすすめです。食事後は混雑が予想されるので、先に済ませておくと安心できます。
そして最も重要なのが、着陸態勢に入る前に必ずトイレを済ませておくこと。機長から「あと20~30分ほどで着陸態勢に入ります」といったアナウンスがあったら、それが最後のチャンスと思って、すぐにトイレへ向かいましょう。シートベルト着用サインが点灯してしまうと、安全上の理由から席を立つことができなくなります。
よくある質問にお答えします
ここからは、飛行機のトイレに関してよく寄せられる疑問にお答えしていきます。
- シートベルト着用サイン点灯後にどうしても我慢できなくなったら?
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基本的に、シートベルト着用サインが点灯した後は席を立つことができません。これは安全上の絶対的なルールです。だからこそ、前述のとおり早めにトイレを済ませておくことが大切なのです。
ただし、どうしても我慢できない緊急事態の場合は、すぐに呼び出しボタンで客室乗務員に相談してください。状況によっては対応してもらえることもあります。決して我慢しすぎて体調を崩さないようにしましょう。
- 長距離フライトの場合、何回くらいトイレに行っても大丈夫?
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何回行っても全く問題ありません。トイレに行く回数を気にして我慢するほうが、体にとっては良くないことです。長距離フライトでは、健康な人でも数時間おきにトイレに行くのは自然なことですし、エコノミークラス症候群の予防のためにも、定期的に席を立って体を動かすことが推奨されています。
通路側の席を確保していれば、周囲を気にする必要もありません。自分の体のサインに素直に従ってください。
- 海外の航空会社でも同じように対応できる?
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大丈夫です。基本的な対応は世界共通ですし、「トイレに行きたい」という意思表示は言葉が通じなくても伝わります。
英語で伝える場合は、「Excuse me, may I get through to the restroom?」(すみません、お手洗いへ通していただけますか?)が基本のフレーズです。「Sorry」と「Thank you」を添えれば、丁寧な気持ちは必ず伝わります。ジェスチャーを交えれば、言葉に自信がなくても心配いりませんよ。
- 機内のトイレが怖い・苦手な場合はどうすれば?
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機内のトイレは狭くて独特な空間なので、苦手意識を持つ方もいらっしゃいます。そんな場合は、搭乗前に空港のトイレでしっかり済ませておくことが一番の対策です。
また、機内トイレに慣れるコツとしては、フライトの序盤、まだ気持ちに余裕があるときに一度使ってみることをおすすめします。「案外大丈夫だった」という経験が、その後の安心感につながります。
まとめ:準備と心構えでトイレの不安は解消できる
飛行機でのトイレ問題は、精神的にも肉体的にもつらいものですが、決して解決できない悩みではありません。この記事でお伝えした内容を振り返ると、大切なのは次の3つです。
まず、原因を理解して的確な事前準備を行うこと。座席は通路側を選び、冷え対策をしっかりして、飲み物や食事にも気を配る。これだけで不安の大部分は軽減できます。
次に、機内では体を冷やさず、こまめな水分補給と軽いストレッチで体調を整えること。一気飲みを避け、少量ずつ摂取することで、トイレの回数をコントロールしやすくなります。
そして、一人で抱え込まず、必要なときは周囲や客室乗務員に協力をお願いすること。隣の人に声をかけるのは勇気がいるかもしれませんが、丁寧にお願いすればほとんどの人は快く応じてくれます。
トイレのタイミングを計ってハラハラする日々は、もう終わりにしましょう。次のフライトでは、この記事で得た知識を自信に変えて、どうぞ素晴らしい空の旅をお楽しみください。きっと、今までとは違う気持ちで機内の時間を過ごせるはずですよ。

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